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オーク35歳(♂)、職業山賊、女勇者に負けて奴隷になりました ~奴隷オークの冒険譚~(完結)  作者: 熊吉(モノカキグマ)
第4章「復活の時」

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4-17「オプスティナド4世」

4-17「オプスティナド4世」


 ウルチモ城塞の南の城門が開かれ、諸王国から派遣されてきた最初の軍勢が到着すると、守備についていた警備兵たちから一斉に歓声が上がった。


 騎乗した16名の完全武装の騎士と、80名の槍兵、そして80名の弓兵と、騎士の従者たち。


 それは、たった200名程度の軍勢に過ぎなかったが、ウルチモ城塞の兵士たちにとっては頼もしい援軍だった。


 隊列の先頭にはその軍勢が所属する家の家紋が描かれた隊旗が堂々とかかげられ、角笛を吹き鳴らして自分たちが到着したことを触れて回りながら城門をくぐるその姿は、小勢であっても勇ましく力強い。

 そして彼らは、兵力としては頼りない限りだったが、彼らはこれからウルチモ城塞に集結する人類軍のほんの先駆けに過ぎなかった。


 後から、続々と軍勢が行進してくる。

 古くから受け継がれてきた盟約に従い、装備を整え、隊伍を組んだ騎士と兵士たちが、色とりどり、様々な紋章が描かれた隊旗を掲げながら、魔王軍と戦うためにウルチモ城塞へと向かってくる。


 角笛、ラッパ、太鼓がかき鳴らされる音が幾重にも重なり、ウルチモ城塞の城兵たちは援軍が到着するたび、歓呼の声をあげた。


 きらびやかな甲冑を身にまとった隊伍の後には、無数の荷馬車たちが続いている。

 その全てに、ウルチモ城塞で魔王軍を迎え撃つためにかき集められた物資が山の様に積まれていた。


 食料はもちろん、予備の武器や甲冑、矢、兵士たちの日用品。

 それらがウルチモ城塞の倉庫へと運び込まれ、あっという間に、長期間の籠城戦に対応できるだけの物資が積み上げられていく。


 諸王国からの援軍はその日以降も続々と到着した。

 最初はすぐに動員を完了できる小国の軍勢が中心だったが、徐々に規模の大きな国の軍勢が増え、ウルチモ城塞の守備兵力と備蓄物資はさらに充実した。


 大国は経済力もあるため、小国では用意できないような兵器類も持ち込んでいた。


 例えば、バリスタと呼ばれる、槍を撃ち出すことができる巨大な機械式の弓。

 加えて、大きな石などを投擲とうてきすることのできる投石器。

 そして、それらの兵器を製造、修復、運用できる技術者たちの集団。


 一際壮観だったのは、諸王国の中での大国、最大の規模を誇るアロガンシア王国の軍勢が到着した時だった。

 総勢22000名にもなる大兵力が、街道を途切れることなく行軍し、何時間もかけながら続々とウルチモ城塞の南門をくぐっていった。


 アロガンシア王国の国王、オプスティナド4世が自ら率いてきた軍勢によって、ウルチモ城塞の守備兵力はそれまでの2倍以上に膨れ上がった。


 兵力だけでなく、質も伴っている。

 アロガンシア王国は諸王国の中でも最大の国家であり、持ち込まれた兵器類も多種多様で豊富だった。


 中でも特徴的だったのが、従軍している魔術師の数の多さだ。

 これまでに到着した諸王国の軍勢にも魔術師が同行している例はいくつもあったが、アロガンシア王国軍では、魔術師をもっと大勢、組織の規模で同行させていた。


 「神から分け与えられた力」とされている魔法は、リーンが炎の魔法を操って敵を攻撃するような攻撃系の魔法、ルナの様にバフや治療を行うような補助魔法、回復魔法が存在している。

 アロガンシア王国ではそういった魔術師の適性ごとに集団を作り、攻撃魔法を用いる魔術師の部隊、補助魔法を操る魔術師の部隊、回復専門の魔術師の部隊などを、通常の軍隊と同じように編成していた。


 総勢数百名を数える魔術師たちの部隊は、他国の軍勢には存在しない、真似をしたくてもできないものだった。

 全て、大国であるアロガンシア王国であるからこそできることなのだ。


 とりわけ目を引いたのは、「空を飛ぶ」魔法を得意とする魔術師たちの部隊だった。

 オプスティナド4世によって「天の裁き(ネメシス)隊」と命名されたこの魔術師たちは皆、飛行魔法に使用する箒と魔法攻撃に使用する杖を装備し、魔術師のローブの上に胸甲を身に着けるという、特徴的な姿をしている。

 オプスティナド4世はこの空飛ぶ魔術師たちを、魔王軍を相手とする際の切り札として考えている様だった。


 強力な軍勢を率いてきたオプスティナド4世は、諸王国の中でも最大の規模を誇る大国の王であることもあって、魔王軍と戦う人類軍の総大将として推戴すいたいされた。

 オプスティナド4世は形式上、3度この地位を辞退したものの、諸侯からの強い要請があり、最終的にその地位に就くことを受け入れた。


 オプスティナド4世の指揮下に入ることは、諸王国内に存在する力関係から言って当然のことではあったが、ほとんど異論のないことでもあった。

 なぜなら、今年で42歳になるオプスティナド4世は「戦上手」として広く知られていたからだ。


 オプスティナド4世は大柄なたくましい体つきに、金髪に茶の瞳を持ち、ごわごわとした髭を豊富に持つ、見るからに豪傑風の人物だった。

 実際、オプスティナド4世はまだ王子であったころから数々の武勲を打ち立てており、中でも、諸王国の中で第2位の規模を持つ隣国、バノルゴス王国とはこれまでに5度戦い、いずれも勝利している。


 オプスティナド4世は政治家としては平凡な人物だったが、戦場における勇猛さと指揮の巧みさは人並み外れており、魔王軍と戦う際に諸王国の軍隊を統率することに不安を抱く諸侯は誰もいなかった。


 ウルチモ城塞の内城に設けられた指揮所で最高司令官の椅子についたオプスティナド4世は、ウルチモ城塞の城主としてこれまで籠城戦の準備を進めてきたバンルアン辺境伯の助言も得ながら、より強力に戦いの準備を推し進めていった。


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