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オーク35歳(♂)、職業山賊、女勇者に負けて奴隷になりました ~奴隷オークの冒険譚~(完結)  作者: 熊吉(モノカキグマ)
第9章「魔王」

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9-8「再び北へ」

9-8「再び北へ」


 双子丘陵で行われた決戦の結果、連合部隊は諸王国を蹂躙じゅうりんしつつあった魔王軍の本隊を壊滅させることに成功した。


 逃げ散って行った魔物はゼロではなかったが、それでも、連合部隊にとっての脅威きょういとなり得る様な数はもはや存在せず、また、生き延びた魔物たちが再び合流して軍勢となることは、難しいはずだった。


 連合部隊の勝利を決定づけたバノルゴス王国のディロス6世と戦いの指揮をとったエフォールとは、占領した丘の上で握手を交わし、勝利を喜び合った。


 バノルゴス王国は長く音信不通となっていたが、完全に滅亡していたわけでは無かった。

 ディロス6世は王都に籠城し、総力をあげて魔王軍に対して抵抗を続けていたのだが、魔王軍からの妨害によって連絡の手段を失ってしまっていただけだったのだ。


 戦況は苦しく、バノルゴス王国の王都であるプルトスの外側の城壁は破られ、バノルゴス王国軍は王宮を中心とした内側の防衛線に後退して抵抗を試みているところだった。


 だが、突如として、プルトスをもう1歩で陥落かんらくさせるという段階まで追い詰めていたはずの魔王軍が、後退を開始した。

 ディロス6世はこの動きから、戦況に大きな動きがあり、魔王軍が後退せざるを得なくなった、つまり、人類側の大規模な軍勢が諸王国に出現し、その対処をしなければならなかったということに気がつき、即座に出撃を決意した。


 ディロス6世はプルトスに最低限の守備兵力だけを残し、自身は主力軍を率いて間道かんどうから魔王軍を追跡し、そして、双子丘陵で連合部隊との決戦に臨んでいた魔王軍の後背から奇襲攻撃をしかけた。


 双子丘陵における戦いは、パトリア王国に差し向けていた魔王軍の部隊が敗北したことに対応しようと後退を開始した魔王軍の本隊と、バノルゴス王国を救援するために進軍してきた連合部隊が接触することで始まった戦いだった。

 両軍とも予期しない位置での決戦となったが、その結果は、人類側の勝利となった。


 連合部隊は魔王軍の大半を討ち取ることができたが、自身が受けた損害も少なくは無かった。

 一時包囲状態に置かれたパトリア王国軍からは、騎兵1000、歩兵3000の被害が生じ、先行して突出していた部隊は、ドワーフたちを中心に1000以上の損害を出してしまっていた。

 特に、パトリア王国軍の騎兵部隊は途中から下馬して戦い、馬を失ってしまった者が多くいるため、騎兵として戦うことのできる兵士は元の半数にまで減ってしまった。


 この他の損害も合計すると、全体での死傷者は10000名近くにも及んだ。

 その内、戦死者は4000名ほどで、その中で3000名ほどが、苦しい戦いをすることになったパトリア王国軍とドワーフたちから生じていた。


 また、この戦いで、一部の部隊が突出するきっかけを作ってしまったアクストは、マハト王から3日間の謹慎処分を言い渡され、その身分も1人の戦士に降格された。

 エフォールは、自分の統率にも良くない点があったと言って、アクストに対してあまり厳しい処罰を求めることは無かったが、マハト王は「それでは示しがつかない」と、断固としてこの処置を行った。


 もっとも、アクストの方には、この処分に不満は無い様だった。

 彼は、自分が命令違反をしたということをよく理解しており、処分があるのは当然、という考えでいるようだった。


 アクストは最初から、自分が全ての責任を取るという覚悟を固めて、命令違反をしたのだろう。


 連合部隊が負った損失は少なくは無かったが、幸いなことに、連合部隊には回復術が使える魔術師たちが数多く従軍していた。

 このおかげで負傷者の多くは命が助かり、すぐに戦線に復帰することができる。

 また、魔法だけでは回復しきれない様な負傷、傷害を負った兵士たちは、帝国本土へと移送された。


 加えて、連合部隊にはバノルゴス王国軍の残存兵力が加わることとなった。


 エフォールはディロス6世にバノルゴス王国の国民を帝国で受け入れると申し入れ、この提案を喜んだディロス6世はさっそく王都プルトスへと伝令を走らせ、王都に避難していた民衆にそれを知らせた。

 10万以上にもなる人々を安全に避難させるためにバノルゴス王国軍はその一部を割かなければならなかったが、ディロス6世は残った兵力の中から特に勇敢で戦闘技術に優れる者から順に5000名の精兵を選び、自身も連合部隊に加わることとした。


 負傷者の治療と、疫病の発生を防ぐために魔物たちの死体を焼却処分する時間を利用して、連合部隊では今後の方針を定めるべく、新たに作戦会議が開かれた。


 と言っても、なるべく早期に魔王城まで進軍するという大方針には、何の変更もない。

 問題となったのは、どの道で進軍するか、ということだった。


 魔王軍によって侵攻を受けた諸王国が荒廃したことで、連合部隊には1つの問題が生じていた。

 それは、補給問題だ。


 誰もが知っている通り、生物は生きていくために多くの物資を必要とする。

 通常であれば、そういった物資は進軍した先の街や村から調達し、後方から遠路はるばる運搬してくる量を減らすことができるのだが、魔王軍の侵攻によってほぼ無人の野と化している今の諸王国では、それは難しかった。


 なるべく早く魔王城に、というのであれば、軍をいくつかに分けて、複数の街道を使用して進軍する方が早く済むはずだった。

 だが、後方から、具体的に言うと帝国本土から長大な馬車の列を連ねて補給を実施するためには、そういった馬車の使える道しか進軍ルートには選べない。


 サクリス帝国は巨大な国家だったから、魔王城に向かって進軍する連合部隊に補給できるだけの馬車を準備することはどうにか可能だったが、そういった馬車がスムーズに通過できる道は、諸王国では限られていた。


 結果として、連合部隊はここからまずアロガンシア王国へと向かい、諸王国の中で最大の国家であり、多くの太い街道が交わる交通の結節点でもあったその場所を制圧し、後方からの補給の手段を確保してから、改めて進軍するという方針が定められることとなった。


 魔王軍によって完全に制圧されてしまったアロガンシア王国にはまだ多くの魔物たちがたむろしているはずだったが、その主力部隊はすでに壊滅しており、連合部隊が進軍すれば、容易に制圧することができるはずだった。


 そこで補給ルートを確保し、それから、連合部隊は魔王城に向かって進軍する。

 その進路は、北方へ、かつて一行が魔王城へ向かうために旅をした道に沿って進むことになった。


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