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⑻『残像の行く先』ー水彩ー
⑻『残像の行く先』ー水彩ー
㈠
実験的輪廻というやつだろうか、水彩画を見ていると、下書きに水彩を描いているのが、輪廻の様に見える。勿論、残像の行く先は、見えないことはない。ただの、感傷的鑑賞の中で、ライトに照らされて浮かび上がる正体が、何とも言えず、息苦しいまでに、残像足り得ている。
㈡
不可能が怖かった訳ではない、単純に、回転する輪廻が、ビタビタと、足音に乗せて、妖怪の様に脳髄を動くのが、叫びとともに消えた、というべきか。分からない輪廻も、やはり、残像の一部なら、せめて実質的価値くらいは、現してくれよとの、思いに至る。
㈢
結局、矛盾は矛盾なのだろう。しかし、我々には、立ち向かわなければならない、宿命という現象がある。いつ死ぬかなんて、運命を裏切って、自分で変えてしまえば良いと、残像が呟いたから、自分はただ、水彩画用の水彩を持ちながら、絵の方向ではない、現実へと、水彩を跳ね飛ばした。