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神話世界に転生した少年が神に対しても無双して平和を享受する  作者: 斎藤晃輔
世界大戦と神々の怒り
4/4

決闘開始

俺は宿舎の居間をあとにして寝室に向かった。今日は本当にいろいろなことがあった。

初の戦闘からの帰還。特に体調の変化などは感じられずいたって絶好調だが長時間の移動で疲れがたまって眠い。


早く寝たい一心で部屋のドアをあけると、ヒルドが俺のベッドに腰かけていた。


「なにやってるんだ。他人の部屋に許可なく侵入することは兵則で禁止されているぞ。用があるなら明日にしてくれ、今日は」


「特別な用じゃないけど...その....謝りたくて」

俺の言葉を途中で遮ってヒルドが口を開いた。


「人間が神よりも劣っているという話か?その話なら別に気にしていない。さあ早く部屋から..」


「ちがうの!」

ヒルドが大きな声を出した。迷惑なので他人の部屋で大きな声を出さないでほしい。

「さっき居間で話してるの聞いたの。ファヴニールがあなたに決闘を申し込んだこと。....わたしがみんなの前であんなこといったから...」

ヒルドにしては珍しくしおらしくなっている。


「それのどこに謝る必要がある。お前は事実を報告しただけだ。なにも責任を感じるような点はないが」


「でも相手はファヴニールよ!彼女は半神で人間よりもずっと強力な魔法が使えるの。あなたは知らないかもしれないけど彼女は黄金の魔女の異名を持っていて...」


「もう寝たいのでつづきは明日聞くことにする。それじゃあおやすみ」

ぶつぶつ文句を言っているヒルドを無理やり部屋の外に追い出し、鍵をかける。こっちはまだまだ一仕事あるというのに...。


俺は速攻でベッドに入り眠りについた。

****

曖昧な世界。大きな神殿のようななにかの建造物の中。すべてが曖昧な世界で俺と"その方"だけはしっかりした輪郭をたもっている。


「調子はどうかな。今日は初の戦闘だったようだが。」

"その方"が口を開く。その声は若者とも老人ともいえない不思議な音で構成されている。


「はい。さらに言えば人間から決闘を申し込まれました。いやはや...」


"その方"が少し笑う。しかしその目は厳しいままだ。


「時間の余裕はない。それは最終戦争(ラグナロク)の回避に役立つのか。」


「必ずや。」

俺は声が震えそうになるのを必死にこらえる。いま対面している"もの"の威圧感で目を合わせることもできない。


「一日たりともお前を召喚した理由を忘れないように。」

そういうと周りの世界が大きくゆがみ始めた。すべてが無に戻る。俺は再び眠りにつく。


*****

次の日の朝、俺が兵士食堂のドアを開けると全員の視線が俺に向けられた。どうやら朝食の席で俺とファヴニールの決闘の話は全兵士に伝わってしまったらしい。

俺が朝食を食べていると通りがかる兵士はみな俺に声をかけた。


「おまえのその勇気はしかと心に刻んだぜ!」

「よく決闘なんて了承してもらえたな、俺たちは最後まで見てるから全力で悔いがないように頑張れよ!」


まったく好き勝手に話しかけてくる。さらにいえば噂に尾ひれがついて俺が決闘を申し込んだことになっているようだ。あまり気にはしないが。

隣に座っているヒルドも食事の最中何度も俺に謝っている。どうやらみんなに決闘が知れ渡ったことで俺が恥をかくと思っているらしい。


人生で一番うっとうしいと思える食事を終えて俺は席を立とうとした。

すると待ち構えたように後ろに立っていたファヴニールが俺に話しかけてきた。

「あなた、都合がいいのはいつかしら。もちろん決闘の話よ。」

食堂にいた兵士全員の視線を感じながら俺は答える。

「いますぐでも構わない。」


「いいわ。じゃあ今すぐにしましょう。場所はわかっていると思うけど模擬戦闘訓練所よ。」

そういうとファヴニールは颯爽と食堂を出ていった。

食堂のあちこちから大きな歓声が聞こえる。

「俺このあと監視についてるんだよお!ついてないな!」

「はやく見に行くぞ!いい席を確保するんだ!」


本当にどいつもこいつも勝手である。やれやれと思いながら俺も食堂をでて模擬戦闘訓練所へと向かった。

****

模擬戦闘訓練所は簡素なつくりの施設であり、草原にいかにも弱そうな柵をつけただけの一辺50m程の正方形の形をしている。しかしその柵にはかなり強力な魔法障壁が展開されていて柵の中から外への干渉を防いでいる。


俺が模擬戦闘所につくと人だかりができていた。非番の兵士のほとんどが観戦にきているのだろう。

さんざんヤジをかけられながら人の波をかき分けて進む。

「別に負けても気にするなよ!貴重な経験だぞ!」

「おまえの全力をぶつけてこい!おまえなら実力以上のものがだせるはずだ!」


はなから俺が勝てるとは思っていないのだろう。この神と人間の差別意識を取り除くことが重要だと、俺の使命に役立つと思っている。


柵のなかにはいるとファヴニールと、そして驚くことに訓練所長である盲目の神(ヘズ)がいた。

盲目の神(ヘズ)はその名の通り盲目の神であり、常に両目を目隠しで隠した青年である。


「どうして訓練所長がこんなところに....」


「私が呼んだのよ!」

俺のつぶやきにファヴニールが大きな声で返事をした。

「今回の戦闘訓練にあたって障壁の管理をお願いしたわ。なにか文句でも?」


なるほどな。様々なことに合点がいった。

本来は模擬戦闘訓練の障壁管理など人間でも十分なほどの簡単な仕事だ。それをわざわざ訓練所長に依頼するとは、今回の決闘をの様子をヘズに見せつけたいのだろう。おそらく卒業試験の点数が人間と近かったことを恥だと考えていたのかもしれない。


「両名とも準備はいいか?模擬訓練のやり方は知っているね?」

ヘズが柵の外に出て魔法障壁を展開させる。場内に広域発声魔法でヘズのアナウンスが入る。

「それでは今から黄金の魔女ファヴニールとシグルス・ジークフリードによる模擬訓練を開始する。開始の合図はわたしが放つ閃光だ。両名とも準備はいいか?」


俺たちは10mほど間をあけて向かい合う。そして片手をあげる。"準備完了"の合図である。


次の瞬間に大きな閃光が場内を尽くした。模擬訓練開始である。

評価など継続執筆のはげみになります

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