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第9話 お嬢様と勝負です!?

「えっと、勝負ですか?

でも何を勝負するのですか?」


「それはもちろん、どちらがレシア様にふさわしい

お嫁さんになれるかを比べるのですわ!」


なんだろう、シャルロッテさん同い年の

はずなんだけどとっても可愛らしくて微笑ましい。

ちょっとほほを膨らませてる顔なんてキュートで

守ってあげたくなる雰囲気は流石貴族の娘って

ことなのかな?


「お嫁さんにふさわしいって言われても。

何がふさわしいんですか?」


「それは、もちろん王族の妻としての気品と

何よりも次代に伝えるための魔力量かしら。」


「気品はともかく魔力量ってどうするんですか?」


私がそう聞くとふふんと笑いながら、後ろに

控えている執事らしきお爺さんを呼び寄せる。


「サイガン、あれを持ってきなさい。」


「かしこまりましたシャルロッテお嬢様。」


白髪に白い口ひげを生やす少し厳しそうな

サイガンと呼ばれた執事さんが馬車の中から

透明な水晶を丁寧に扱いながら運んでくる。


「これは我がルシアフィール家に代々伝わる

魔力感知の水晶。この水晶を見つめながら

両手で触るとその魔力量によって

光り輝くのかしら。その力を比べるのよ。」


へ~そんなものこの店に持ってきていいのかな?

まあ、執事さんが大事に扱ってるし何かあっても

店の責任じゃないよね?


「では、紅茶を持ってきなさい。

その取り扱い方で気品を判定するのよ!」


「あの、判定は一体だれがなさるんですか?」


シャルロッテさんはふふんと笑うと


「当然わがルシアフィール家の執事長

サイガンに判定させるわ。」


「あの、それってひいきとかされる気が…」


私がそういうと、サイガンさんが1歩前に出て


「ご安心ください。ルシアフィール家に

仕える者としてそのようなひいきなど行いません。

私の名誉と信条にかけて公平に

判断させていただきます。」


う~ん真剣な様子だから

本当かもしれないけど…

そもそも、貴族のお茶会とか知らないし!

何が作法で何が正しいのかも

わからないんですけど!?



「平民では作法も知らないかしら?

では、まずはわたくしの作法を見て

いかに自分が無作法なのかを知りなさい。」


紅茶のカップの持ち方、紅茶を飲んで

戻すまでの一連の動作は一言、キレイだった。

カップを口に持っていく際にも見ていても

その美しさについつい私も見とれてしまった。


「素晴らしい作法でございます。私から何も

注意する所はございません。」


サイガンさんは拍手をして褒め称えている。


「まあ、当然なのかしら。さあ次はあなたが

わたくしに見せる番ですわ。」


私にも同じことしろってこと?

あんな上品に紅茶飲んだことないよ~。

とりあえず、見よう見まねで自分なりに

最大限上品に飲んでみた。


「まず、カップを持つ際カチャと音が鳴りました。

飲む際に少し飲み込む音が聞こえました。

カップを置いた際にカップの位置が少し斜めに

ずれており、カップのふちが少し汚れています。

まあ、50点というところですかな。」


ええ?そんな厳しいの!?紅茶なんてただグッと

飲んでサッとお代わりするものじゃないの?

そもそも飲み物飲むのに作法なんて必要?


「サイガン、あなたにしては甘い裁定ですわね。

わたくしからみたら論外なのですけど?」


「お嬢様、ミーシャ様は作法を知らない状態で

行っておりました。初めて行ったうえである程度の

基礎が出来ていたと私は裁定いたしました。」


サイガンさん、公平にってそういう

ハンデも考えてくれてたのね。

まあそれでも勝ててないけど。


「作法はわたくしの勝ちですわね!しかし

王子の妻になるのによりふさわしいのは自身の

魔力量、将来の王族にふさわしい子を産むため

魔力の有無は絶対に必要なのですわ!」


テーブルの上に水晶を置きシャルロッテさんは

両手を水晶にあて真剣に見つめる。

すると、オレンジ色に明るく光り始める。

最終的にはまぶしい位の光となる。


シャルロッテさんが手を離すと光は消え

水晶に文字が浮かび上がってくる。


「お見事でございます。魔力量50MP

過去最高値でございます。流石お嬢様ですな。」


どうやら水晶に魔力量の数値が出るみたい。

50って多いの?少ないの?


「サイガンさん、50って多いんですか?」


「そうですな。私がやったとして5がせいぜい

王族で100前後という話ですが。

王国魔術師で7~80程度と聞きましたが。」


ええ?それ50ってかなりすごい気が!?

私魔法使えないし、勝てっこない気がするけど…


「オーホホホ!さあ、ミーシャ・ミルアルド!

大した魔力も無いでしょうけれど

やってごらんなさい!」


「うう、わかりました…。」


両手を水晶に触れ、水晶を見つめると…

両手から水晶に向けて何かが流れる感じが。

次の瞬間、緑色の閃光が店全体を包む。

あまりのまぶしさに周りが緑1色になってしまう。


「きゃ!」


私はあわてて手を離すと、水晶に文字は

浮かんでいない。やっぱり魔力0だったのかな?


「あなた…何者なのかしら?」


シャルロッテさんが驚きを隠せないという目で

こちらを見ている。え?どういうこと?


「ミーシャ様、あなたの魔力量は199以上です。

この水晶は199以上の力を受けてしまうと

割れてしまうので、自動的に魔力放出するのです。

異様な光の放射はその副産物です。」


「私の魔力量が199以上?

でも私魔法使えませんよ?」


「魔力量とは体に蓄えられる

魔力の器と考えてください。

ミーシャ様は大変大きな器ですが、

それを引き出す出口が構築されていない

状態なのです。王族の妻として

必要とされるのは放出量ではなく

内蔵量ですのでミーシャ様は…」


「サイガン!ライバルを褒めてどうするかしら!

ま、まあ、今日は引き分けということで

後日改めて勝負を申し込みますわ!」


あわただしく帰っていくシャルロッテさん。

その様子を見ていたお母さんが心配そうに

私のもとにやってきた。


「ミーシャ、さっきの光の時亜人状態だったの?」


「ううん。ふつうの状態だったよ?」


どういうことだろう?

亜人状態と違いがあるのかな?


「あのねミーシャ。あなたの魔力量は人間の限界を

はるかに超えている可能性があるわ。

亜人化した時に魔力量は跳ね上がるのだけど、

さっき亜人ではないということはあなた自身の

魔力量が桁違いということそのことは、

レシア王子にも、その周りにも

伝えない方がいいわ。」


「どうして?魔力量が多いほど

王族の妻にふさわしいって」


「その王族よりもはるかに多い魔力量の

持ち主なんて王族は不信感しか持たないわ。

亜人ということを知られてしまう

きっかけになるかもしれないから、

秘密にした方がいいと思うわ。」


「でもシャルロッテさんとサイガンさんには

魔力量のこと知られちゃったけど…」


「そこは心配ないとお母さんは思うわ。

ライバルの有利なことを王族にわざわざ知らせる

なんてことするはずないし、執事の方が

他人にその秘密を話すとは思えないしね。」


結局私自身はどうすることもできないので

いつも通りの生活をするしかないんだけど…

なんでこんな魔力量を持ってるんだろう?

やっぱり亜人の血の影響なのかな?


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