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第7話 王子とお祭りデート

西の村に着いた後のシーンが

まるごとなかったので

2019/9/2追加しました。

レシア王子とお城で別れてから2週間。

3日に1度の割合でレシア王子と

ウィルさんは『フォーチュンキャット』に

遊びに来ている。


どうやらレシア王子が町の視察をする際に

帰る前に休息ついでに寄っているみたい。


「ミーシャ、猫カフェだから猫耳を

つけているのかい?」


レシア王子が興味深そうに私の猫耳を見ている。


「え?あはは、そうなんです~!」


やっぱりレシア王子の前に出るとドキドキして

猫耳や尻尾を抑えることが出来ない。

でも、ペンダントのおかげで魅了の力は

レシア王子には届いてないみたい。


「似合ってるよ。とても可愛いね。」


レシア王子がにっこり微笑む。

そんな顔でそんなことを言われたら

すっごい照れちゃうんですけど!!


「そ、そうですか?ありがとうございます。」


レシア王子との会話はいつも弾むんだけど、

レシア王子の隣にいるウィルさんは常に無言だ。


「ウィルさん、紅茶のおかわりいかがですか?」


「大丈夫だ。」


ううう、にらまれてる。ウィルさんとは

ずっとこんな感じで話にならない。


『ミーシャ、このお兄ちゃんとあそんでいい?』


黒猫のリリがウィルさんのひざに乗る。


「こ、こら!リリ!ダメじゃない!」


リリを降ろそうと手を伸ばそうとすると

ウィルさんに止められる。


「だ、大丈夫だ。」


あれ?なんかちょっと嬉しそう?

その様子を見てレシア王子が微笑んでいる。


「ウィルは猫が大好きなんだ。本当はスリスリ

したいと思ってるはずだよ。」


「レ、レシア様!!私は!!」


うわあ、ウィルさんがうろたえるところを

はじめて見たかもしれない。


「リリ、お腹なでさせてあげて?」


『うん!いいよ~!』


そういってウィルのひざでコロンとお腹を見せる。


「リリ、お腹もふもふしていいみたいですよ。」


ウィルさん、触りたくてムズムズしてる。

結局猫の魅力に負けて、ウィルさんは

お腹をなでて嬉しそうにしている。

おお、すごいあのウィルさんが微笑んでる!


レシア王子が定期的に来てくれるおかげで

お店は大繁盛でお母さんとお父さんは

忙しそうなんだけど、私はレシア王子の

専属接客ということでレシア王子の向かいに

座って接客している。


「そう言えば、ミーシャの次の休みはいつだい?」


「えっと、あさってです。」


「ちょうどいいね。あさってから西の村でお祭りが

始まるんだけど、一緒にどうだい?」


お祭りかあ…レシア王子と一緒だなんて楽しいけど…

ウィルさんの視線が怖いなあ…。


「えっと…私なんかでいいんですか?」


「もちろんだ。じゃああさって迎えに来るよ。」


あさってのお祭りかあ、楽しみだけど

やっぱりウィルさんもいるんだろうなあ。

そして、猫耳と尻尾が出てる状態を

どうにかしないと何かあったら困るよね…


結局具体的な解決方法は見つからず、

レシア王子をなるべく意識しないで

亜人化を抑えるということしかなさそう。

最近、気持ちの強弱をコントロールできて

レシア王子に絡まないときは亜人化しない

程度には意識できるようになったけど。

レシア王子の前だとドキドキが収まらないで

猫耳と尻尾が生えてきちゃうんだよね。


そしてお祭り当日、

いつもの馬車でお迎えに来てくれたけど

あれ?いつもならウィルさんが御者を

してるのに、今日はおじいさんが御者を

やっているんだけど…


「やあ、ミーシャ迎えに来たよ。」


馬車からレシア王子が降りてくる。


「レシア王子、今日はよろしくお願いします。」


誘われたのだから挨拶はしっかりとしないとね。


「さて、では行こう。」


レシア王子は私を先に馬車に乗せるよう先導

してくれる。こういう所が素敵なんだよね。

レシア王子が馬車に乗り、馬車が走り始める。

私はウィルさんのことを聞いてみた。


「今日はウィルさんは一緒ではないんですね。」


「ああ、ウィルはトリア兄さんの所に

仕事に行っているんだ。しばらく向こうで

頑張ってくれるだろう。」


トリア王子、確かレシア王子の双子の兄で

レシア王子が右目が青、左目が緑のオッドアイ

トリア王子は右目が緑、左目が青のオッドアイ

双子で分け合う感じになっているって有名な

話だったよね。兄弟仲もいいって話だけど。


「ウィルは僕たち兄弟と一緒に育った

幼馴染だからね、トリア兄さんもウィルを

頼りにしている所があるからね。」


ウィルさん王子たちの幼馴染なんだ…


「え?じゃあウィルさんも40代なんですか!?」


どう見ても20代前半にしか見えないけど。


「ああ、そうだよ。僕たちより3つ上だったかな。」


もう50代?ということはエルフの血族?


「彼はちょっと特殊な生まれでね。

エルフの血は流れてるんだけど

妖精王の加護を外れた一族の子なんだ。

長寿ではあるが、魔力を持たない生まれで

王族を守る親衛隊として仕えてもらってる。」


なにか、聞いちゃいけないこと聞いたような。

レシア王子もさらっと言っちゃっていいの?


「そんな秘密、私に話してもいいんですか?」


「秘密というほどではないからね。

ミーシャにも今後はウィルとも仲良く

なってもらわないとね。僕の直属だから

君との接触もどうしても多くなるしね。

最近、2人の様子もよくないみたいだし

ウィルとは仲良くしてやってほしい。」


レシア王子がそういって頭を下げる。

突然のことで私は軽くパニックになる。


「あ、頭なんて下げないでください!

恐れ多いです!ウィルさんとはこれからも

仲良くしますから!どうか頭上げてください!」


「ありがとう、ミーシャ。これで

安心して祭りを楽しめる。」


本当、レシア王子にはいつもドキドキ

させられるから耳も出たまま戻らないよ~

その後はたわいの無い話などをして

西の村に到着したのでした。


村に到着した私達は村長から歓迎を受ける。


「レシア王子様わざわざ村の祭へ

ようこそいらっしゃいました。

昨年の大凶作の時に税の免除を

していただけたおかげで、今年は

豊作になりました。寛大な処置

本当にありがとうございます。」


西の村は去年大嵐の影響を受け

畑が壊滅的被害にあった。

話に聞いてたけど、レシア王子は

免除するという普通じゃ考えられない

対応をしたのだ。

北の第一王子が同じように大凶作の村に

通常通りに税の徴収を行ったせいで

その村は老人や病気の村人などが

多数亡くなるという事態になって

結局その村は廃村になったと聞いた。


「レシア王子、村のことを考えて

善政をひいたんですね。」


私はレシア王子の優しさに感動して

笑顔でそう言ったら、レシア王子は

軽く首を横にふる。


「別に善政なんて話じゃないよ。

その年に無理に回収する必要はない。

今回みたいに豊作の時に去年の分を

回収するだけで、税の徴収をなくした

訳じゃないさ。それに本当に善政なんて

いうんなら、復興支援位してるさ。」


「いえ、去年免除していただけたおかげで

種もみも確保でき、我々の生活もなんとか

慎ましくも出来たおかげで今に至ります。

本当に感謝しかありません。」


そういって村長は深々と礼をする。


「感謝の形は今年の税の徴収と

来年の徴収で返してもらうから

気にしないでいい。」


少し照れた感じでレシア王子は村長に

元に戻るよううながす。


「来年も豊作になるよう村一丸で

頑張ります。今日はごゆっくり

楽しんでいって下さいませ。」


村長はそう言いながら村人の集まってる

広場へと戻っていった。

あれ?こういうのって村長が王子の

案内とかするものじゃ?


「あの、村長の案内とかないんですか?」


「ああ、それは断ったんだ。せっかく

ミーシャと2人で祭りをまわれるのに

もったいないじゃないか。」


レシア王子がそういって微笑んでくる。

あ~そんなこと言われたら尻尾が

ブンブンとふりたい衝動が~


「もしかしてウィルさんがこないのも

そのためなんですか?」


「いやいや、それは兄上に依頼されたこと

だから、今回のためじゃないよ。」


今回のお祭りに来るタイミングに

わざわざ誘ってくれたのが嬉しい。

そっか。なんで今日休みになったのか

わかった気がする。

レシア王子が祭の視察に行くことは

両親ならわかってたのだろう。

だからその日に合わせて休みに

してくれたんだ。

せっかく両親も気をつかってくれた

このチャンス楽しまなきゃ!


「レシア王子、あそこの屋台に

美味しそうな焼き肉串があります!」


「お、本当だね。じゃちょっとつまもうか。」


「あ、私買いにいきます!」


「女の子に行かせちゃ僕の立場が

なくなるだろ?ここで待ってて。」


まさか王子様に買いに行ってもらうなんて

私はどれだけすごい立場なんだろう。

でも、嬉しくてつい、お願いしちゃう。


「ありがとうございます。」


しばらく待っていると、焼き肉串を2本

持ってきて、1本渡してくれる。


「はい、まだ熱いから気を付けて。」


ああ、この笑顔を独り占めできるなんて

私はなんて幸せ者なんだろう。


その後も、色々な屋台のものを

2人で食べ歩く夢のような時間を

たっぷりと過ごしたのでした。




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