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第5話 父の愛母の愛娘の愛

翌日の早朝、晩御飯を食べていなかったので

空腹で目を覚ます。でも、1階には

ちょっと行きづらいなあって思っていると


トントンとドアをノックされる。

お母さんかな…?


「あいてるよ…。」


ドアを開けて顔をのぞかせたのはお母さん

ではなくお父さんだった。


「おはようミーシャ。おなかすいてるだろ?」


サンドウィッチ乗せたお皿と紅茶のカップを

机において、お父さんはベッドの横のイスに

腰かけて私をじっとみつめる。


「ど、どうしたのお父さん。」


お父さんが私の部屋に来るなんて

何年ぶりだろう?


「ミーシャ、色々大変だっただろ?」


そういいながら頭をなでてくれる。


「お父さん…うん。」


色々ありすぎて私はそのまま

お父さんの優しさに身をゆだねた。


そして軽く食事を済ませた後

私が落ち着いたのをみて

お父さんが私に話しかけてくる。


「ミーシャ、お父さんやお母さんを

恨んでいるかい?お父さんたちの

子供で生まれなければそんな苦労を

しないですんだんだ。」


私は、首を横に振る。


「私、お父さんもお母さんも大好き。

お母さんが亜人だって知らなかったけど

そんなの関係ないよ。」


そう、亜人になったことに戸惑ったけど

それを両親のせいだなんて思いたくない。


「私のことたくさんたくさん愛してくれた

お父さんとお母さんの子供でよかったよ。」


私がそういうとお父さんは微笑みながら


「お父さんもミーシャが生まれてきてくれて

本当によかった。亜人は子供が生まれにくい

ミーシャが生まれてきたのはまさに奇跡だった。

ミーシャが産声を上げたとき、

お父さんはこの世界に感謝したよ。」


「うん。私は2人の娘でよかった。」


「ミーシャはいい子だね。だから、

お母さんにもミーシャの本当に思ってること

正直に伝えてあげてほしい。

お母さん、昨日からミーシャのことを

思って思い悩んでいるんだ。」


そういえば、いつもならお母さんが

こういうこと相談に乗ってくれるのに

今日はお父さんが来たのはそういうこと?


「私、お母さんのところ行ってくる!」


「わかったよ、お母さんは寝室にいるから

行って来なさい。お父さんは1階で

お店の準備をしてくるから。

終わったら、お父さんと今後のことを

一緒に考えよう。いいね?」


私はうなずいた後、お母さんの所へ向かう。



寝室についた私はトントンとノックをする。


「貴方?ミーシャはどうだった?」


私は黙ってドアを開ける。そこには

目の下にクマを作って猫耳をたらした

お母さんがベッドに座っていた。

精神コントロールが出来てないみたい。

尻尾もだらんとしたまま生えていた。


「ミーシャ?」


「お母さん…」


お母さんは私に抱きつき、肩を震わせながら

静かに泣き始める。


「私がお母さんでごめんね…。

お母さんのせいでミーシャにも

つらい思いさせて亜人の私が親になんか…」


私は、亜人になったことがつらかった。

だけどそれのせいでお母さんを

悲しませるのはもっとつらかった。


「お母さん、私、お母さんの娘で

よかったよ。亜人に生まれたことは

正直ショックだったけど、

お母さんが私のことで泣くことの方が

もっとショックなんだ。

だから、私これから亜人をしっかり

受け入れるから!」


私とお母さんは抱き合ったまま静かに

涙を流したまま時間が過ぎていった。



「ミーシャ、魅了や亜人の力のことなんだけど

お父さんに相談してみなさい。きっと

力になってくれるから。」


お母さんが落ち着きを取り戻し

お父さんの元に行くように言われ

1階のお父さんがいる場所へ向かう。



「お、ミーシャ。お母さんと話せたか?」


お父さんが自慢の紅茶を入れている。

また新しい茶葉のブレンドを探してるのかな?


「うん。それで魅了や亜人の力のことで

お父さんに相談しなさいって。」


「ああ、ミーシャは気が付いてないかも

しれないが、猫耳と尻尾が生えている

状態は運動能力の限界が人間の数倍に

増大しているんだ。たとえば本気で

走れば人間の数倍の速さで走れる。」


あ~そういえばウィルさんよりかなり

早く目的地にたどり着けたよね?


「普段からそのような人を超えた力は

必要ないし、レシア王子へ魅了をかけ続ける

その状態は色々な意味で問題がある。

だから、ミーシャの持つそのペンダントを

利用してその力を抑えることが出来るんだ。」


「本当!?どうやるの!?」


「そのペンダントをもって、南の森の奥に

ある小屋を訪ねなさい。

そこにオシノという魔女が住んでいるから

その人に、ペンダントに力をつけてもらうよう

お願いしてくるんだ。話はお父さんから通して

いるけど、あくまで本人の意思を聞きたい。

そう言われてしまってね。ミーシャが直接

オシノさんに話をしてくるんだ。」


南の森…小さい頃、悪さをすると南の森に

住む魔女に指の爪をはがされるぞ!

悪いことした時に、アルと私が怒られるとき

そういわれた事を思い出す。


「オシノさん…うん。分かった行ってみる。」


「おう、今日は店のほうは大丈夫だから

しっかりやってもらうんだぞ!」


私は白い帽子とワンピースに着替えて

南の森へと向かう準備をするのであった。



家を出ると、入り口前にアルが立っていた。


「よう、どこ行くんだよ。」


「ちょっと、南の森まで…。」


昨日のことがあるのでちょっと気まずい。


「昨日は悪かった、ごめん。」


「え?」


アルがあやまるなんてどうしたの?


「これ、やるよ。誕生日プレゼント。」


そういって木彫りの猫のペンダントを

私の前に差し出してくる。


「これ…アルが作ってくれたの?」


「そのペンダントに比べたら安っぽいけど…」


私はつけていたペンダントを外して

猫のペンダントをつける。


「ううん。これ店の制服に合うよね。

アル、あの服に合うように作ってくれたの?」


アルが珍しく笑顔でうなずいてくれる。


「そうだぜ!あの服可愛かったから!

猫カフェに合うようなもの…あ。


い、いらないなら返せよ!!」


「ううん。ありがと。仕事のときに

付させてもらうね。」


アルとこんな風に話したの、久しぶりかな。

そして、気付いたけど、アルってもしかして

私のこと好きなのかな…。


アルと別れた私は南の森へと改めて向かう。




南の森は自然豊かな森に囲まれた広い森で

動物もたくさんいるので狩人の人がよく

狩りにくるところらしいんだけど

魔女のオシノさんが住む場所は

森の最奥にある小屋にいるらしい。

森の入り口からまっすぐ道なりに進むと

道がなくなり、川沿いに南に向かって

ずっと歩いていくと小屋らしきものが

ようやく見えてくる。


「はあ、はあ。ここでいいのかな?」


小屋の前に到着した私はドアをノックして

中にいる魔女のオシノさんに声をかける。


「すいません!ミーシャ・ミルアルド

ですけど、オシノさんいらっしゃいますか?」


しばらくの沈黙のあと、


「入っておいで。」


奥のほうから声が聞こえてくる。

私は覚悟を決めて小屋の中に入る…。

中には色々な本や魔法の道具らしきもの

がゴチャゴチャになっており

いかにも魔女の家というイメージだ。


「おじゃましま~す。」


奥には黒いローブを頭からかぶった

鼻の長いしわくちゃの老婆がいた。


「あんたがリューイの娘のミーシャかえ?」


「は、はい。実は私…」


「亜人の娘、なるほどなあ。ミーナの時と

同じく魅了と亜人の力を抑える力を

お前さんはほしいのかえ?」


お母さんのことを知ってる?


「はい、そうです。」


「そのエメラルド、かなりのものだね。

それなら何とかできるかもしれないよ。」


「本当ですか!じゃあ!!」


「ただし条件があるよ。森の中から

私が必要とする素材を用意しな。」


そういって素材の名前を書いた紙を

私に渡してくる。


「よろしく頼んだよ。」


有無を言わさず私は小屋から追い出された。

仕方ないなあ…素材を集めるため

私は森の中を歩き始めた。

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