金稼ぎ
「んー……」
「……珍しく真剣に本を読んでいると思ったら……シンデレラですか。たまには子供向けの絵本ではなく、政治経済の本も読んでください」
「気が向いたらな。それより見ろ、これ。王子って嫁探しのためだけに舞踏会なんて開くんだな」
「……まさか、自分もやりたいなんて思っていないでしょうね」
「やりたい」
「却下です」
「なんで」
「そんな金がありません」
「またその問題に戻るのか!? 俺、ここ数年は大人しくしてたのに……」
「だとしても、国中の娘を集めた舞踏会なんて開く余裕はありません。花嫁探しはまだ先ですね」
「はぁ~……金欠魔王ってカッコつかないよなぁ。勇者の方が金持ってるんじゃないか?」
「どうしてそこで勇者が出てくるんですか」
「だってあいつら、ここに乗り込んでくるとき全員装備がすごいだろ。剣は立派だし、鎧はキラキラだし、アクセサリーはジャラジャラついてるし……」
「まぁ、以前に言った窃盗や追い剥ぎの他にも、ダンジョンの宝箱なども全て回収しますからね。たまに人助けをしては報酬という名目で金やアイテムをもらったりもしているようですし」
「……というか、魔物に金を持たせるから奪われるんじゃないか?」
「たとえ魔物が金目のものを持っていなくても、牙とか爪とか毛皮とかを剥ぎ取って換金しますよ」
「ええ? 俺は金目のものなんて持ってなかったけど、何も取られなかったぞ?」
「魔王を倒す=旅の終わりですから、もう金稼ぎをする必要はないでしょう。それに、『魔王の爪』とか『魔王の牙』なんてアイテム、あっても邪魔で不気味なだけです」
「ぶ、不気味ってお前……!」
「何となく凄そうなのは、『魔王の血』、『魔王の心臓』、『魔王の魂』……呪いのアイテムみたいですね」
「ギャ――――! と、ということは……俺はバラバラ死体になってたかもしれないのか!?」
「ふむ……もしかしたら、マニアに高く売れるかもしれませんね。丁度よかったじゃないですか、これで財政難から抜けられますよ」
「いや、こんな方法で金稼ぎはちょっと……って待て、早まるな! そのナイフとビンは何だ!?」
「大丈夫です。血の2リットルや3リットルなくなっても」
「大丈夫じゃな――――い!!」