唐突な提案
「世界征服したい」
「いつにも増して唐突ですね……それはまた、どうして?」
「やっぱり魔王たるもの、世界征服の一回や二回しておかないとな!」
「世界征服は二回もするものじゃありませんし、そんなの無理ですよ」
「俺の力とお前の頭脳があれば、世界なんてすぐに征服できるだろ?」
「スライムに負けて死ぬほど悔しがってた魔王はどこの誰でしたっけ?」
「俺。……って、あれは100年も前の話で……!」
「100年間、全く訓練していなかったでしょう」
「ぐぬぬ……」
「それに、世界征服をする金なんてありません」
「えっ、俺魔王なのに金欠!? なんで!?」
「あんたが娯楽に使ったからでしょう」
「そーでしたー。春は花見、夏は祭り、秋は体育祭、冬は温泉……その度に魔王城の魔族全員ごしょーたーい」
「思い出しました?」
「いい思い出だった……」
「そんなわけで、世界征服は諦めてください」
「むぅ……いや待て、何か解決策はあるはずだ……!」
「大体、魔王だからって世界を支配する必要なんてないじゃないですか。先代も先々代も、普通に魔族を治めるだけでしたよ?」
「おかげで人間にはすっかりなめられてるもんなー。ここ数百年間勇者も来てないし」
「わざわざ勇者を選出して魔王を倒す必要性はないと見なされてるんですね」
「くっ……だが今勇者が来てもあっさり負ける自信がある……!」
「というか、どうして仮にも魔王がスライムに負けるんですか。スライムといえば、最弱モンスターの代名詞ですよ?」
「そんなこと言ったって……あいつらプニプニしてて爪も牙も効かないんだぞ? あんな奴らをあっさり倒せるなんて、やはり勇者はただ者じゃないな」
「爪と牙が駄目なら剣や魔法を使えばいいでしょう」
「!! そ、その手があったか……!」
「……(ため息)……いつも手合わせや勝負で勝てないのは、力より頭の問題ですね。ということで、早速勉強に取り組みましょう。まずはこの世界の歴史から……」
「う゛っ……いや、俺ちょっと急用ができたような気がする……!」
「……成績がよかったらおやつを二倍にしようと思っていたのですが……」
「! よし、すぐにやろう!」
「やれやれ……」