サバイバル【三語即興文】
三語即興文です。お題は『ミサイル』『日の出』『落ちる』。制限時間は二時間。
二時間あってもこれだけしか書けませんでした……。また後ほど加筆したいと思います。
「だだだだだだっ! だだだだっ!」
まばらな木々を縫うように、低い声が響いていた。
白く湿った靄の中、ごつい半長靴が草地を蹴る。陸上用の戦闘服に身を固めた人影は、隙のない動きで木の陰から陰へと走り、周囲を見回し、時に何かを目に留めては手にした突撃銃を構え、叫ぶ。
「だだだだだだだ!」
その声が途切れた後には、答えるものの物音一つない。ただ、チキチキ、チチチチ、と、木々を飛びかう小鳥の声が時折耳に入るばかりだ。
それを確認した戦闘者は、用心深く木の陰に身を隠したまま、チャッと音をたてて突撃銃を下ろした。
「……敵性体、全て沈黙」
黙って突撃銃の弾倉を外し、残弾を確認し始める。まあ、実際は撃っていないのだから弾数が変わるはずもないが、そこはリアリティ優先というものだ。その作業と平行して、何回「だ」と叫んだか――つまり脳内設定で何発撃ったのか――を正確に記憶から拾い上げ、さらに、そのうち何発が有効だったかを疑似中枢神経系システムに組み込んだ戦闘シミュレーションプログラムに通し、厳正に判定する。
――問題なし。自分の撃った弾は模擬敵性体の全てを確実に葬った。無駄弾の数も想定範囲内に収めることができた。次は、これらの弾丸を実際に消費した場合の金銭的シミュレーションを行わなければ――
「おーい、ガッツ君、ごはんだよー」
靄の奥から
「こらー、ガッツー。……ったく、
聞き慣れた声。ザク、ザク、と草を踏み分ける音。
「補給地点到着」
ガッツは草地の中、間伐材らしき丸太の山の陰に飛び込み、隠してあったバッグを取り上げた。
「敵性体視認。20メートル級のSDVと判定、ただし型式は不明。」
ガッツは
「ミサイル発射!」
「敵性体、沈黙」
「いや、沈黙してないし! てゆーか飯! 朝飯食わないとリヴァイヴァに怒られる!」
「……ミサイルが命中したにもかかわらず落ちないとは」
「……ゾンビめ」