16分割の一生
ホラーだけど全然怖くないです。
途中で飽きておちが締まらない感じ
一応怖くないエンド
このへんも寂れて久しいこのごろ
同棲中の彼氏と喧嘩してひっこみがつかなくなった私は実家のある町に帰ってきていた。
私が学生だったころは栄えていたこの町も隣の町に大きなショッピングモールができたのをかわきりにどんどん寂れていって
かつての賑わいはみる影もない
子供の頃は都会だと思っていたんだけど今見ると全然田舎だ
よく見るとそこらへんに畑とかいっぱいあるしね
帰ってくるのも久しぶりだし懐かしい場所をぐるっとまわって見ることにした。
昔から変わらない場所もあればすっかり変わってしまった場所もある。
更地になってしまった場所、そのあと新しい建物がたった場所、お店がつぶれてそのままの場所。
懐かしさよりも寂しさが増してきた頃
道の向こうから見知った顔が歩いて来るのが見えた。
向こうもこちらに気づいたらしく手をふりながら小走りでこちらへ向かってくる。
「やだー久しぶりー超懐かしいんですけどーいつ以来?卒業式以来?」
成人式でも会ったんだけど
すっかりと忘れ去られているようだ。
彼女とは中学生の頃は仲がよかったが卒業以降は疎遠になっていたせいかもしれない。
まあそんなことはどうでもいい
めんどくさくなるようなら適当に切り上げて帰ろうとしかたなく立ち止まる。
「今何してんの?私はねー実は結婚してたんだけどー旦那がマジでダメなやつだってわかってー離婚してーいわゆるバツイチ?出戻りってやつぅ?」
正直どうでもいい
「あ、それよりさぁあの噂覚えてる?」
さっきまで自分のことを話してたと思ったら急に聞いてくるもんだから何か一瞬わからなかったけど
すぐに思い出せた
それというのも当時その噂は学校中知らないひとはいないのではないかというほどに流れていた噂だったから
「プリクラのやつ?」
町にある当時はそこそこの客入りのあったデパートの地下にあったゲームコーナーにプリクラがあり
そのプリクラがお店の閉店しているはずの夜中に電源がついてて0時ちょうどにプリクラを撮るとその日から死ぬまでの自分の姿がちょうど16分割されて印刷されるという噂だ。
そのプリクラをとるために閉店後の店に侵入しようとしたものや
店の中に隠れていようとしたものがいて全校集会で校長がやめるように言ったこともある。
たいていは昼間や夕方くらいに行って
このプリクラだよーとかいいながら普通にとったり
お祭りとかで夜遅くなった日に閉店ギリギリにとりにいってみたりする程度のものだった。
私も何回かとったことがある
「そのプリクラがねーまだあるんだってーお店自体はつぶれちゃったんだけど機種が古すぎて売れないしつぶれる直前も経営ギリギリだったらしくて廃棄するお金もないとかで建物はそのままだし中のもちょっと残ったまんまらしいよー」
昔よく行った場所がなくなるのも寂しいものだが廃墟として残るのはなんだか怖いものがある。
「でね、もちろんしっかり扉は閉じられてたんだけど不良とかが壊したみたいで非常階段の2階のドアがカギ壊れててはいれちゃうんだって」
今日ちょっと行ってみない?
なんて誘いになんでのってしまったのか
好奇心から?
彼氏と喧嘩してこの先の人生に不安があったのかもしれない。
なげやりになってたのかもしれない
懐かしい気持ちもあったし
悪いことだという自覚もあったが
とうとう断らずに夜の11時半に待ち合わせの場所に向かった。
待ち合わせの時間になっても彼女はあらわれなかった。
私はそのまま帰ることも考えたがプリクラをとりに行ってみることにした。
ドアはあいてないかもしれない
開いても不良がいてあぶないかもしれない
何事もなく入れてもたどりつけないかも
いろいろ考えつつ向かう
いざ向かってみるとドアのカギにはばまれることもなく、不良にでくわすでもなく、通れない道もなくスムーズにプリクラまでたどりついてしまった。
覚えていたより若干奥にそのプリクラはあった。
外観に懐かしさを覚えたがそれ以上に恐ろしい
電源がついていたのだ
コンセントがささっていたとしても、そもそもつぶれた店に電気が供給されているはずがないのだ。
待っていても彼女がやってくる気配もない
刻々と時は過ぎて0時が近づいてくる
悩んでる暇はなかった
ここまできて怖じ気づいて帰ってどうするのだ
私は勇気を振り絞ってプリクラに近づいた。
震える手でお金を入れる
画面の指示にしたがって背景を選ぶ
その間聞こえるのは機械の動作する低い振動音とペンでタッチするためのカチカチという音だけ
BGMも案内音声もない
すべて選び終われば撮影に入る
普段写真をとるようにポーズをきめたりピースなどしてられるわけもなく
まるで証明写真のような、むしろそれよりももっとこわばった表情で撮影は終わった。
落書きはできなかった
しなかったのではない
画面がぶれて何も見れなくなってしまったのだ
機械は受付、撮影、ラクガキがずっと同じ場所で行われる古いタイプの機械で
撮影中は今とられている自分の顔がちゃんと映っていたのだがラクガキに入った瞬間ぶれたのだ。
ぶれてるのは写真の部分だけだがスタンプやペンの項目をタッチしてみてもきいてないらしく変化は見られない
写真のあたりをペンでタッチしてみたが書けたかどうかブレでわからなかった。
そうこうしてるうちにラクガキの時間は終わったらしく画面が切り替わり印刷中となった。
印刷されたシールが出てくるのは機械の側面だったので場所を移動する
カーテンに囲まれた場所からでただけでもなんとなく解放感があった。
できあがるのをじっと待つ
いやな時間だった
何事もなくでてきてほしいような噂のようなのがでてきてほしいような
なんとなく不安な気持ち
そしてとうとうコンッという音をたててシールが払いだされた
16分割された画面の異常に私は凍りついた。
一番左の一番上
そこには今の私が写っていた。
当たり前だ
なにせたった今撮影したところなのだから
おかしいのはそれ以外だ
右横の写真は違和感程度の違いだが、下の列のはあきらかに違う
確かに自分が老けている
それだけではなく下の列からは何故か
自分以外の人間が写っていた
最初は小さい子供だった
自分が老けていくにつれてその子供はだんだん成長していく
そして最後の右下の一枚には、おばあちゃんといった感じの自分と中年の男性が写っている。
たしかに一人で撮影したのだ
ほかの人が入る余地などなかったはずである。
しばらく呆然と立ち尽くしていると
プリクラの電源が落ちたらしく、真っ暗になってしまった。
慌てて携帯を確認すると時刻は0時半になっていた。
携帯のディスプレイしか明かりのない状態では心許なく、急に寒気もしてきて怖くなった私は足早にその場を後にした。
来たときよりも暗くて大変ではあったが迷うことなく外に出ることができた。
外にでた解放感からか、ほっとしたら一気に眠気がおそってきたのでその日は家に帰ってすぐに眠ってしまった。
次の日の朝
起きてあらためてプリクラを見て
夢じゃなかったんだと妙に落ち着いた気分になった。
昨日の恐怖は薄れて今は謎だけが残る
一緒に写ってるのはいったい誰なのか
なんとなく喧嘩した彼氏に似ている気がする
子供の頃の写真を見たことがあるけれどこんな感じだった気がする
とはいえ彼氏本人でないことはたしかだ
撮ったときそばにはいなかったし同い年なのに年齢が違い過ぎる
途中から急に写っているのも不思議だ
小学生くらいだろうか私の肩のあたりくらいまでの身長のようだ
当たり前かもしらないが私が年をとった同じ分その子供も年をとっているようだ。
私がハッとしてまさかと思いつつも視線を落とした時
母に呼ばれて玄関に向かった
玄関には喧嘩したまま置いてきた彼がいた
怒りはとっくにおさまっていた私は彼の顔を見てやっぱりプリクラに写った子に似てると思った。
お互いに謝って仲直りしたあと実家に一泊してから二人で帰った。
帰ってからプリクラを見せて私の考えを話して病院に行った。
その結果は思った通り
私は妊娠していたのだ
プリクラに一緒に写った子供はお腹の中にいたのだ。
彼も喜んでくれてお互いの両親に報告して籍をいれることになった。
彼や母は安静にしてなさいと心配するけれど私に不安はなかった。
なにせプリクラにはしっかりと成長していく子供が写っているし最後の一枚の私は誰が見たってかなりのおばあちゃんだからじゅうぶん長生きできるみたいだしね。
あのプリクラはしまっておいて時々見返そうと思う。
怖い感じにもってこうとした蛇足をどうしたもんかっていう




