青の魅力
万年筆にはお手入れが欠かせない。
そのひとつに、定期的な水洗いというものがある。
インクのつまりを防ぎ、万年筆を長持ちさせるために必要なものである。
コンバーターやインクカートリッジを取り外し、丁寧に水洗いをした後、水に一晩つけておくのである。
…という話は以前させていただいた。
しかし、水洗いには、もう一つの目的がある。
それは、インクを入れ替えることだ。
わたしはお気に入りのインクに似合う新しい万年筆を購入したため、親の持っているインクを1種類使わせてもらうために、元々お気に入りのインクが入っていた万年筆を洗ったのである。
青色のインク、は奥が深い。
万年筆メーカー各社がブラック、ブルーブラック、ブルーのインクを発売しているが、メーカーによって色味が微妙に違うのである。
黒の色味の違いは最早マニアックすぎるので話題にすることは避けるが、ブルーブラックやブルーの色味のバリエーションの多さは目を惹く。
同じ青、と言っても、紫がかっていたり、緑がかっていたり、鮮やかだったり、くすんでいたり、水色寄りだったり、黒よりだったり…。
ちなみにわたしのお気に入りの青インクは色彩雫の『月夜』というものだ。少しくすんだ夜空のような色合いのブルーブラックで、筆圧や書き方によってインクの濃淡がはっきりと出るインクである。
そのためにわたしはペン先が固めで、筆圧の差が出やすく、デザインが星空のような黒いラメの入った万年筆を購入したのである。
代わりに空いた万年筆─カクノに入れるインクには、お父さんの持つ数々の青インクを拝借する許可を取り、その中から、色彩雫の紺碧を選んだ。
何より青は便利だ。手紙にはもちろん合うし、ブルーブラックのインクなら公的文書にも使うことができる。
黒いインクももちろん便利で万能だが、お気に入りの青いインクも持っていて損はないし、むしろ青の違いを楽しむことができる。
だから、わたしは青インクが好きなのである。
久しぶりになってしまいました。申し訳ありません。
多忙だったり小説執筆中により不定期更新になります。ご了承ください。