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B MAIN  作者: 半半人
人間界編
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停戦と共闘


 司令塔であるスリンディオが倒され、ロブロン・ランスの軍の統制が乱れた。その隙にヘイヴェンスは強化兵を切り倒し無力化した。ほとんどの敵を倒したヘイヴェンス腰を下ろし、刀を地面に突き刺した。


「全員峰打ちだ。死にはせん」


 階申は国を守る責任はあるが、その手法は問われていない。


 これは手加減ではない。一人の武人としての優しさであった。


 しかし、これでヘイヴェンスの役目は終わりであった。兵の損失と体力の限界でこれ以上の戦果を挙げることができないと自覚していた。


 他の軍も目の前の敵に集中し、それぞれの役目を終えていた。戦いは量より質だが、戦争では数が全てだ。人も武器も数が多い方が勝つ。

 ゼムレヴィンの全員が力を出すもその戦況は徐々に悪くなっていた。


 このままでは陥落する。


 誰もがそう思ったその時、軍を統べる者に全く同じ情報が届いた。


 自国に接近する巨大生物がいる、と。


 その情報が全員を悩ませた。目前の敵国を落とすのは時間の問題だ。だが、それに全戦力を割いているため自国の防衛が疎かになっている。


 目の前の勝利か、自国の存続か。


 今すぐにでも戦いを止めるべきだが、ゼムレヴィンを打ち倒せるとなると話は変わる。おそらく、今しかない。二度とない勝利を見逃すことになる。その機会を全員が惜しいと思った。


 そして、全員が攻撃を継続する決意した。自国よりも優先する価値がある。そう思ったからだ。


「「「全軍進め……!」」」


 その指示を伝え、ゼムレヴィンを完全に打ち負かそうとした時。


 レナードは高台から白旗を掲げた。それを見た者は徐々に動きを止め、その白旗の意味を理解した。少し遅れて気付いたケイニーはただ事ではないと判断し、風の魔法を使ってレナードの声を拡散した。


「降参します。ここで争う以上に大事なことがありますから」


 そう言うとレナードは旗を投げ捨てた。


「何故、この低俗な戦争を優先しているんですか?別の敵が、今、自分の国に、いや、人間界に襲いかかっているんですよ。それよりも僕たちに勝つことが大事なんですか?」


 人間だから仲良くしようとは言わないが、せめて共通の敵に対しては団結して立ち向かうべきではないかとレナードは問う。


「シナ、ヴェントガーデンへ。ロッドールはレブーフモルゲン。ヘイヴェンスはジェストレイン。ケイニーはもう少ししたらロブロン・ランスへ向かってください」


 この時はレナードではなく、第一階申として全員に指示を出していた。それに気付いた階申とロッドールは何も言わずに指示に従った。


 その行為に残る四国が驚いた。敵を目前にし自国を明け渡すようなものだったからだ。


「これで僕がいかに本気か分かったはずです。分かったら、さっさと国に戻れ。それぐらいはできますよね?」


 ゼムレヴィンは僕がいる国ですが、それ以上のこだわりはありません。多くの敵を殺すのに丁度良かっただけで、捨てようと思えばいつでも捨てられる存在なのだから。


 そもそもレナードは自分と同じ人間を敵として認識していなかった。そのため、何の躊躇いもなく指示を出すことができた。レナードの眼中にないと分かったエーティル、ヴィンガー、オルトはそれを察した。そして、各軍に撤退を命じた。




 しばらくして、目覚めたスリンディオを加え主宰会議の面子が揃った。


 あの時の唯一の違いは、全員が仲間であることだった。


「あなた方が仲間はずれにしたハインシスの人が国を捨て、他の四国の援護に回っています。早く戻ってあげてください」


 レナードは事前にハインシスへ指示を出していた。国が無くなったとしてもその後を保証すると約束していた。そして、ハインシスはそれに応えたのだった、


「分かった」

「分かったよ」

「…ちっ」


 三人が事態を受け入れ、レナードに協力を示した。


「レナードよ。ここに来て物資が不足している。途中で補給したいが最速で帰るには一週間は掛かる。それをする時間すら惜しい。何か方法はないか?」


 魔法を使うレブーフモルゲンの消費はかなり激しい。それも含め、全員を代表しオルトが口を開いた。


「その点は心配ありません。ゼムレヴィンには各国の武器と食料を備えさせてありますから」


 その言葉に安堵し、少し遅れて全員が疑問を持った。輸出入の経路は遮断したはずなのに、何故ゼムレヴィンが各国の物を有しているのか?だが、聞かなくても結果がそうなっているということから、レナードはすでに何らかの対策を行っていたということでそれぞれが自己完結した。


「予想以上の働きでした。あとで追加報酬を用意しましょうか」


 そう言うとレナードは36=36と書かれた明細書を折り畳んでポケットにしまった。


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