表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
B MAIN  作者: 半半人
人間界編
94/173

激震の開闢


 天元界のとある古城。


 そこには相容れぬはずの三種が集っていた。それぞれの意思や文化が全く異なる敵であるにも関わらず、全員に敵意は無い。それは一つの共通点があったからだ。


「全員、揃ったか?」


 アイゼンはさっと人数を確認した。


「皆に声掛けてきたから、多分大丈夫!」

「そうか。無茶をさせてすまなかったなノーリア」

「全然!」


 少し言葉を交わし立ち上がった。


 天使四人、悪魔三人、人間一人。


「レニア、マファリス、ボルート、ノーリア、ザック、ホバック、ピリアルト。お前たちの力を借りる」


 全員が真剣の面持ちでアイゼンの言葉に耳を傾けた。


「ホバック。お前の能力で人間界全体に圧力を掛けてくれ」


 梟の悪魔、ホバックが目を細くしてアイゼンを見た。


「全体にとなると完全な状態で場を操ることは不可能になるが、それでもいいのならやろうか」

「手加減はいらない。他の六人もホバックの補助を頼む、それと天元界と魔人界に嘘の情報を流せ」


 アイゼンの指示に七人全員がそれぞれ表情を変えた。


「最悪、殺しちゃってもいいんかい?」


 狼の悪魔、ピリアルトが楽しそうな笑みを浮かべた。


「分かっているだろう?」

「あぁ。聞いてみただけさ」


 そこにいる全員がアイゼンの意思を受け入れていた。三年前に出会った時から何一つ変わっていなかったから。


「二年、いや三年ぶりに会ったんだ。ツラ貸せよ」


 蛙の悪魔、ザックがアイゼン睨んだ。


「…まさかとは思うが皆も同じことを考えてるのか?」


 集まってもらったことには感謝しているが、それに対しての対価を払うつもりは無かった。


「ビビんなって。ちょっと話そうぜ」


 全員が何も言わず、私は上の階の廊下でザックと向かい合った。


「そっちも大変だったらしいじゃねぇか。大丈夫か?」

「それは気にするな。お前たちを仲間にした時からこれぐらいの苦労は覚悟していた」

「天魔大戦を止めた次は三界戦争か?笑えるな」

「ザック…」

「おれぁ笑わねぇよ。あんたが本気だって分かってっからよ。それより、あれだ。これから好きに暴れて良いってんだ。乗るに決まってんだろ」


 ザックは三年前の出来事を思い出した。


 前もそうだっけな。突然やってきて、おもしれぇこと言って、すげぇことやってみせて。あんなに驚いたのも面白かったのも他にはねぇ。


「今回もそれと同じなんだろ?」

「さぁな。ただ、先に言っておくがこれから死ぬかもしれないうえに、それ以上に苦しい思いをするかもしれない。それでも…」

「分かってる。そんな確認はいらねぇだろ?」

「…そうだな。後はお前の好きにしろ。ただし」

「死ぬな、だろ?分かってるって。んじゃ、おれぁは行くぜ。他の奴にもよろしく言っといてくれ」


 ザックはアイゼンの背中を強く叩き、窓から飛んで行った。


 アイゼンはザックの言葉に少しだけ励まされた。自分の行いを肯定してくる仲間はとても心強い。


「…あいつらのために頑張らないとな」


 下の階に降りようとすると、扉の後ろに隠れている少女、天使のレニアがいた。


「何だ。そこで見ていたのか」

「う、うん…。三年ぶりだから……我慢できなくて……」

「突然で悪かったな」

「ううん…。大丈夫…多分……」

「…隠れてないでこっちに来い。話しづらいぞ」

「ううん…!ここで…いい。…ここで……」

「そうか。お前がそう言うなら強制はしないが。だが、大事なことだ。しっかりとお前にも伝えたい」

「うん…!」


 レニアは三年前のことを思い出した。


 前に会った時から…すごいと思ってた。誰もできないことに挑んで、失敗しても諦めなかった。その時からアイゼンを……。ううん。今も、少し後ろであなたのことを見ているだけで…。


「同じ意思を持つ仲間を失いたくない。だから、死ぬな」

「…うん!」


 レニアはアイゼンの瞳をじっと見た。


 今は…これが限界…。


 しばらく見つめ合った後、レニアは頬を赤くして階段を下っていった。


 しばらくすると入れ替わるようにボルートとノーリアがやって来た。


「アイゼン、オレらめちゃ強くなったからさ。頼ってくれよな。あと、貸した能力もガンガン使ってくれよ」

「ノーリアのも使ってね!」

「そう、だな。考えておく」


 二人の無邪気な向けられるとはっきりと断れないな。いずれな、と付け加えた。


「で、これが終わったら本当の戦いになるんだろ?お前は」

「アイゼンは順序を大切にするって言ってたもんね」

「オレの台詞…」

「ふっ、そうだな。なら、言うまでもないな」


 ボルートとノーリアは三年半前のことを思い出した。


 アイゼンが二人を助けた時、その行為に善悪や損得といったものは一切感じられなかった。理由もなく助けたいと思った、という衝動的な理由に二人は感動し、深く感謝した。表に出さないアイゼンの優しさを感じた、数少ない出来事であった。


「当たり前だよバカ野郎。お前は、オレらの全部を信じてりゃいいんだよ…。今のカッコ良くね?」

「…そうだな。では、ホバックと連携を取って、人間界を襲う素振りを見せろ」

「「了解!!」」

「絶対に死ぬなよ」

「気にすんなって。オレらの二人の能力はそういうんじゃないしね」

「うん!でも、アイゼンも死なないでね。もし、死んじゃったら…すっごい悲しいから!」

「…私もだ」


 らしくないな。アイゼンはそう思いながら二人を見送った。見送られた二人はアイゼンの照れのようなものを感じとり、少しだけ笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ