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B MAIN  作者: 半半人
人間界編
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無二の魔法使い


 ジェストレインとロブロン・ランスと交戦する前夜。浮遊するゼムレヴィンの操作はシナが担当していた。


 魔力を回復させたケイニーは時を待ち、夜を迎えると同時に雨雲を発生させ、空を遮った。これにより、月明かり、星の光で照らし出されるゼムレヴィンを隠した。更に雨を降らせることで二軍の攻撃力と士気の低下を謀った。

 それに加え、ゼムレヴィンが完全に視認できなくなってから、土魔法で宙に浮くゼムレヴィンと全く同じ形の土塊を産み出した。それと本物をすり替え本物は別の場所に着地させた。偽物は同様にシナに浮かせてもらいケイニーとレナードと兵士達は二軍の元へ奇襲を仕掛けた。


 この時、すり替えの現場が目撃されてしまうことを考慮し、わざと高度を下げることで地上にいる全人物の視点を一点に集めた。その結果、ゼムレヴィンは何も変わらず浮遊していると思い込ませることに成功した。


 更に、雨を降らせることで二軍の視覚と聴覚に負荷を掛け、ケイニーの水魔法、リブルスの海原の発動時間を短縮することにも成功した。


 レナードの戦略とケイニーの魔法。二人の連携による高等魔法戦術が展開されていたのだった。


「第一階申が口だけじゃないってことがよく分かったでしょ?ボクもここまで上手くいくとは思ってなかったし」


 ペラペラとネタバラシをするケイニーはリブルスの海原を解いた。相手を死なせるわけにはいかないと思ったからだ。


「はっ!はっ!」

「…てめぇ……っ!!」

「リブルスの海原」


 ある程度の空気を吸わせ、もう一度魔法を放った。


「あと二回はいけるよ」


 そこへ魔法騎士団、レナード、シナが合流した。


「よくやりました。天才魔法使いの名は伊達ではありませんね。で、どうしますか?戦いを続けますか?」


 レナードは考えていた。ここで二軍全員を殺すことはできる。だが、人間界に存在する数少ない強者とその軍を失うのは勿体無い。


「選択によっては見逃すことも考えています。どうしますか?答えが出ないようならこのまま溺死してもらいます。ケイニー」

「了解」


 ケイニーは再び魔法解いた。


「次は解除しません。引くか死ぬか。どっちですか?」

「ま、待ってくれ…!」

「待ちません」

「…ったよ!!引けばいいんだろ!」

「良い選択をしましたね。全軍、攻撃態勢を解いてください」


 レナードの合図で魔法騎士団が警戒を解いた。


「雲を作れるとケイニーから聞いた時、雷雲も作れるんじゃないかと思いまして」


 すると。雨雲が晴れ、緊迫していた場に光が射し込んだ。


「本当に良かったです。僕の愛する人間界の人を最新の魔法の実験台にしたくはありませんから」


 戦う以前の問題で、最初から相手にしていない。レナードは遠回しにそう言った。それは事実であり、戦う前にそこまで考えられなかった二人への呆れを表していた。


「そういえば、五国同盟というのがあったと思ったのですが。ジェストレインとロブロン・ランス…あれ?五つの国のはずなのに二つしかないのはおかしいですね?他の三国は何をしているのか。僕には全く分かりませんね」


 その前の発言に加え、更に煽りを重ねた。わざとらしく嫌らしくすることで立場がいかに違うのかを強調した。


「一度帰った方が良いですよ。本気でゼムレヴィンを落とすつもりなら、まだ足りませんよ。数も戦略も」


 覚悟も非情さも。



 レナードには絶対の自信があった。



 エスティアーナでの敗戦から何度も考え、何度も試行した結果が今なのだ。

 レナード自身が技術を磨き、個と集の戦術も洗練させた。そして、エスティアーナには無かった魔法を取り入れた軍を作り、あらゆる分野の天才を階申にした。


 個人の考えや意地はどうでもいい。敵も味方も何を思って戦っているかなんてもってのほかだ。


 勝つために必要なものは、圧倒的な力だ。筋力、知力、何でもいい。誰にも負けない自分だけの力が全てだ。自分以外を信用するな。利用しろ。卑劣に、残酷になれ。


 感情を失ったレナードは、誰よりも勝利を欲していた。それしかなかった。


 それが強者である理由だった。



「覚悟、か。まだ足りないのか…」

「てめぇの説教はどうでもいいんだよ。次は殺す。自慢の騎士団もボロクソにしてやるからよ」 

「次の機会を楽しみにしてます」


 レナード達は退却する二軍の背を見送った。


「全員いなくなりましたね」

「そうだね」

「そうね」

「…危ないところでした。偽物作成に時間が掛かるうえに、ゼムレヴィンを隠してここまで戻ってくるのにも時間が掛かるし、ケイニーの魔力はもう空、と一か八かでしたね」

「空ではないよ。あと、二回はいけたね」

「私はもう駄目だわ。相当魔力を使うし、それを続けなきゃいけないなんて。もう二度としたくないわ」

「やっと分かった?ボクがどれだけ大変だったか」


 通常、魔法は一度に一つと決まっている。その理由は複数の魔法を同時に発動させるのが非常に難しいからだ。それぞれを完璧に操ることは不可能である。


 しかし、ケイニーは。五属性を完璧に扱えることに加え、五属性を同時に発動することができる。


 今回の水魔法と土魔法は本当力のほんの一部に過ぎないのだ。



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