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B MAIN  作者: 半半人
人間界編
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耐久と始動

 五国同盟から七ヶ月。


 ヴィンガーとスリンディオはゼムレヴィンを見上げていた。


「あいつらどんだけ空中(あそこ)にいるつもりだ?」

「長くは持たないだろう。空中じゃ食料はもちろん、水だって手に入らない。焦らず待とう」

「だといいんだけどよ。どうもそう簡単にいかねぇ気がすんだよなぁ」


 短期で攻め落とすつもりだったが仕切り直しだ。兵の移動を早めるために食料はあまり持ってこなかったことも裏目に出ちまった。


 二人は物資の輸送してもらいこの場に留まるか、一度帰国するか考えた。


「帰る、とは言わないよな?」

「当たり前だ。もし、帰ってる時に着陸して補給されたらめんどくせぇからよ。このまま待つぜ」

「指令だ。物資を送らせろ。そして、それを奴等に気付かせるな」


 部下に指示を与え、二人は身を潜めた。



 一方、ゼムレヴィンでは。


「はい。並んで、並んで。水は魔法で無限に出せるから焦らなくてもいいよ」


 ケイニーは魔法で水を生成していた。


「食料はどうするんだ?」


 水を受け取っている最中、その問題について言及された。


 だが、ケイニーはそのことも頭に入れていた。


「安心してください。土魔法で土壌作れば自給自足も可能です」


 おぉ!!


 魔法でその様子を見せることで人々を魅了した。そして、安心感を与えることで住民の信頼を得ることに成功した。戦争の最中に内部崩壊を避けるための対策の一つを密かに達成していたのだった。


 ふぅ。バレてないよね…。


 ケイニーは少しだけ心が痛かった。高所では限られた植物しか生息できないという事実を伝えなかったのだ。さらに、水は魔法で産み出したものではなく、空中に漂う雲を利用していたことも。


 ゼムレヴィンを浮かせる。住民の協力を得る。飲食での不安を取り除く。と、様々な面で活躍するが、あと一ヶ月しか持たないということだけはどうしようもない。魔力が切れれば地上に降りるしかないのだ。それからはどうする?二国と真っ向からぶつかることは避けられるのか?


 アイゼンを信じて、残り四ヶ月。防衛戦を強いられるこちらにとっては長すぎる。


「ケイニー。話があるんだけど」

「何、シナ?」

「私が十日、いいえ、一週間稼ぐからその間に魔力を回復して打開策を考えて欲しいの」

「一週間もあれば全快するけど…その間シナ一人でゼムレヴィンを浮かし続けることになるけど大丈夫?」

「ええ。任せて」


 風魔法使いとして、第二階申としてシナは役割を果たそうと考えた。ケイニーはレナードとは違う思考で解決策を模索した。



◇◇◇◇◇


 天元界、ボルート領。


 一通りの説明を聞いたボルートは混乱していた。


「えっと…オレが近くの人間界の国を襲うフリをして襲わない。ついでに、近くの仲間に呼び掛けして…で、えっと…」


 反対に、ノーリアは楽しそうだった。


「ノーリアは色んな所に行って、あの時のメンバーを集めればいいんでしょ?簡単簡単」


 少し不安だが頼るしかない。


「じゃ、行ってきまーす!」


 能力、ラピッド・ランナー!


 ノーリアは挨拶と共に姿を消した。


「じゃ、オレも行くとするか。お前の期待は裏切らないさ」

「…」

「…今の台詞カッコ良くね?」

「…まぁ、そうだな。そういえば、さっきのノーリアのことで思い出したんだが、お前たちは兄妹なのに能力は違うんだな」

「あぁ、よくあるよくある。オレは母さん似で、ノーリアは父さん似だから。能力も似てる方のやつが使えるんだ」

「なるほど」


 そこも人間の遺伝と似ているな。


「お互いに両方を使えるということはないか?もしくは同時に使えることも…」

「ないない。そんなの奴がいたらズルすぎだって」

「そうか。やはり、あいつは稀だということか…」

「あいつって?」

「実はな…」


 アイゼンは能力の遺伝についてのことと、イーリスのことをボルートに説明した。


「マジかよ…!」

「あぁ。だが、まだ未熟のようで能力を完全に扱うことはできないように見えた」

「そりゃあ大変だな。で、そのイーリスって誰だ?そんなに強いんなら天元界でも噂になってると思うんだけどさ聞いたことないな」

「誰、と言われてもな。そうだな…サイリスは知ってるか?そいつの娘だ」

「サイリス!!!おまっ、マジかよ!!」

「その反応は、やはりそういうことか」

「それはヤバイことになってんな」

「詳しく教えてくれ。天元界の情報には疎いのでな」

「天元界には六つの領がある。そして、それをまとめるリーダーがいる」

「前は五つじゃなかったか?」

「前はね。で、サイリスはその一つ、グラウス領のNo.2だ。もちろん、リーダーのオレよりも全っ然強い」

「なるほど」

「だけど、そんなに強い奴に子供がいるとなったらもっとヤバイ。だって、同じ強さの奴が増えるってことになるから。でも、隠してるってことはどういうことなんだろ?」

「…力を持ちすぎれば仲間からも疎まれる」

「何か言ったか?」

「何でもない。ところで、天使の生殖行為はどうするんだ?人間とは違うのか?」

「…それオレに聞く?」

「何かの参考になるかもしれないと思っただけだ。答えたくないなら答えなくてもいい」

「…じゃあパスで」

「そうか…。悪魔も同じだったりするのかどうか……」


 人間と天使の間に生まれたカリヴァンのように、天使と悪魔の子がいたとしたら…。

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