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B MAIN  作者: 半半人
人間界編
86/173

第三者の買収②

 アリルは目を見開き、エーティルはアイゼン睨んだ。


「分からないんだ。反対方向にあるゼムレヴィンを倒す利点がヴェントガーデンにあるのか、と。しかし、金があれば話は別だ」

「そういう話をするってことは。(これ)は用意してるんだよね?」


 エーティルはいやらしく笑うと指で硬貨の形を作った。


「まぁ、そう急かすな。お前たちはジェストレインかレブーフモルゲンから莫大な金を貰っているんだろう?そうでなければ同盟に加わったりはしない」

「そうだけど…。ゼムレヴィンとは戦いたくないんだけど…」

「つまり、金でそっちに付けってこと?」

「そうだ」

「もちろん貰ってるより多く払ってくれんだよね?」

「エーティル、顔が怖いよ」

「うるさいなぁ。でも、これは結構おいしい交渉だからさ。できるだけいっぱい貰いたいじゃん」

「お前たちはいくら貰ったんだ?」

「80億フィル」

「エーティルってば!」


 多少のことなら目を瞑ると思っているな。ずる賢い奴だ。だが、その失言に後悔するんだな。


「案外安いな」

「「えぇっ!?」」

「流石に今は持ち歩いてはいないが必ず用意できる」

「マジで言ってんの!?」

「いや、後々文句を言われるのも面倒だ。倍額払お…」

「待って待って!確かにとってもいい話かもしれないけど、そんなことしたらレブーフモルゲンとジェストレインに攻撃されちゃうよ!」

「…そっか。危ないからこの話はナシで」


 二人の反応はアイゼンが予想した通りのものだった。それもそのはず。80億を一人で用意できるはずがない。

 しかし、謎多きバーキンス・アイゼンなら有り得る。そう思い込んでしまう。

 私は次の言葉をすぐに発し、余裕の表情と最善の言葉選びをすることで、


「はぁ…。仕方ない。では、80億フィルを払う代わりに、ゼムレヴィンを攻めるのを先延ばしにしてくれないか?」

「でも…」

「ちょい待ち」


 エーティルはアリルに顔を近付け、小声で喋りかけた。


「これってかなり良いじゃん。どっちも裏切らずに金だけ貰えるし」

「先延ばしって言っても…」

「準備不足とか言っとけばいいって。ゼムレヴィンは攻めたくないんだよね?」

「うん」

「レナードがいるからだよね?」

「…うん」

「じゃ、決まり。それに、先延ばしにしたって結果は見えてるしね」


「バーキンス。その提案、乗った!」

「勝手に決めちゃっていのかなぁ…」

「ウチらが偉いんだからいいの」

「うぅ…」

「そうだな…二年、いや、三年。約束通り三年経ったら支払おう」

「三年は無理。二年にして」

「エーティル……」

「二年、か…」


 アイゼンはエーティルの目を見た。その意思を全く変える気がないのが伝わってきた。


「仕方ない。二年でいい。少しでも時間が稼げれば上出来だ」

「んじゃ、お金の方用意しといてね」


 エーティルは悪人のような笑みを浮かべ、手を差し出した。私も渋々手を伸ばし、握手を交わした。


 エーティルは考えていた。

 この交渉にはメリットしかないと。最初の提案は受け入れられないが、次に関しては旨すぎる話であった。

 二年経てば計160億フィル以上。もし、バーキンスとの約束を果たせなくても元の80億フィルは手に入る。口約束のため必ず守る必要はない。


 エーティルはこれから手に入るお金のことを考えると自然と笑みが溢れた。



 対するアイゼンは予想通りに事が運べて満足していた。

 あの場にいた二人は気付いていないようで助かった。これがレナードやオルドとなると上手くはいかなかっただろう。

 まず、実物の金を用意していないこと。これでは相手は警戒してしまう。だが、それをアイゼンは話術で解決した。ヴェントガーデンと五国同盟は金以外での繋がりが無い。そのため、餌を撒けばすぐに食らい付くと分かっていたのだ。

 そこでわざと五国同盟の脱退を話題に出した。これは当然無理に決まっている。そんなことをすれば他の国から制裁を受けてしまうかもしれないからだ。だが、この話を出すことで次の提案を簡単に承諾させた。

 エーティルが色々と条件を出しているように見えたが、全てはアイゼンの思惑通りなのである

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