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B MAIN  作者: 半半人
人間界編
81/173

交差する起点


 主宰招集、および盟主会議は防衛設備の整ったレブーフ・モルゲンで行われることとなった。


「御待ちしておりました」


 各国を迎えたのはレブーフ・モルゲンの大臣、オルト・ホバックと第四王子のシーフス・カリヴァンだった。


 ゼムレヴィンからは第一階申のレナードと国政担当者のスフィード・シンシアの二名。

 ハインシスからは国政のセントラとダミア・オービスの二名。

 ロブロン・ランスからは首相のスリンディオ・リッカーと大臣のリトリム・シューセントの二名。

 ジェストレインからは軍略門のヴィンガー・イングリッドと統政門のギーテ・スフミス。

 ヴェントガーデンからはアリル・マーリンとエーティル・アンバーの二名。


 そして、


「何で君がここにいるんだい…!」


 ヴィスティンハイム代表、バーキンス・アイゼンが一名。


 それぞれの国のトップが集まっているため、私の存在に驚いているものがほとんどだった。

 一般人のほとんどが知らないというのに。いや、情報操作がとてつもなく上手なのかもしれないな。


 アイゼンは話が円滑に進むなら何でも良かった。


◇◇◇◇◇


「特例ですけど。ゼンさんを第五階申にするので盟主会議に参加してもらえませんか?」

「断る」

「人間界の貴重な情報が得られるチャンスですよ」

「それは魅力的だが。私はヴィスティンハイムの人間だ。お前に手を貸すことはあっても、そこは変わるつもりはない」

「仕方ないですね…。そうだ。じゃあ、ゼンさんがヴィスティンハイム代表で行けば良いじゃないですか」

「ヴィスティンハイムは国ではない。発言力はともかく、話を聞くことすらできないだろう」

「そこはちゃんと考えてますから」


 レナードは一通の手紙を書くと部下に手渡した。


◇◇◇◇◇


 妙に視線を集めているが関係ない。レブーフ・モルゲンからの許可証を左の胸ポケットに着けているため、誰も言及はできない。


「オルト!なぜなんだ!?」

「カリヴァン。以前のことを忘れたのか?」


 アイゼンには弱味を一つ握られている。それに、ゼムレヴィンの階申からの圧力もあった。


「あまり発言はしないと聞いてある。こちらに不利になることはない」

「でも…!」

「小僧が私情を挟むな。ここは選ばれた人間の集まりだ。無意味な発言は自らの首を絞めるのと同じよ」

「…っ!」

「申し訳ない。これから規律ある会議を始めたい。よろしいだろうか?」


 オルトは淡々と進行役を勤め、盟主会議が始まった。


 会議の内容は午前が経済。午後は軍事に関わるものと予定されていた。そのため各国から二名の主宰が呼ばれたのだ。

 途中でアイゼンに話が振られることがあったが、ヴィスティンハイムは国ではないし、輸出入等の権限は無いという理由で全て断った。


 輸出入、人口の推移、関税などの議論が白熱し、予定より一時間遅れて午前の会議が終わった。


「ゼンさん。一緒に食事でもどうですか?」

「悪いが話したい相手がいるんだ」

「…分かりました」

「第一階申様。護衛を…」

「いらない、いらない。スフィード、行きましょう」

「はい」

「さっきのプレゼンしながらの解説。良かったですよ」

「ありがとう……ございますっ!!」


 レナードとスフィードは会議室を後にし、しばらく歩くと、


「レナード様ぁ!」

「ちょっ、やめなよアリル!」

「いいじゃん別に!あの、この後…一緒に食事でも……」

「すいません」

「あ、ですよね…」

「女性からの誘いを断る男性がいますか?スフィード。僕はこの方と()()きりで行ってきます。すいませんね」

「いいえ、承知しています…っ!」

「いいんですか!?」

「えぇ、もちろん。では、行きましょう」

「はぁい!!」


 テンションが上がり照れるアリルの手を引き、レナードはその場から去った。


「…あんた、名前は?」

「スフィード・シンシアだ」

「ふーん」

「お前はエーティルだな。相方には苦労させられると思うが頑張れ」

「え?あんたメッチャ良いヤツじゃん」

「…まあな」


 お互いに苦労しているということでスフィードとエーティルには妙な親近感が生まれた。


 その頃、アイゼンは。


「久しぶりだな」

「お久しぶりです。隊長」


 その呼び方はエスティアーナの頃を彷彿とさせる。


「今はただのバーキンス・アイゼンだ。隊長はやめろ」

「そう言うと思いました。自分もまだ、あの頃と踏ん切りがつかないので…」

「レナードといい、お前といい。あれからよくここまで成り上がれたな。随分と老けたようにも見える」

「ジェストレインは移民の受け入れにも力を入れているので。ここまで支援してもらいました。隊…アイゼンはあまり変わっていないようですが」

「まあな」

「レナード副将もいるとあの頃が懐かしくなります…」


 昔を思い出したのかヴィンガーはアイゼンから視線を逸らした。


「…お前はあの頃の敵に、天使に強い恨みを抱いているか?」

「何故ですか?あの敗戦を二度としないために今頑張っているので復讐とか怒りはほとんどありません」

「そうか。いや、ただ聞いてみただけだ。悪いな」

「はい。では、午後の会議でまた会いましょう」


 レナードのようでなくてよかった…。アイゼンはヴィンガーが極端な思考ではないことにほっとした

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