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B MAIN  作者: 半半人
フリッド・フラン編
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理想とは違う

 彼女、ルキエラはフリッド・フランでのことを後悔していた。天使が人間や悪魔と対立することは分かりきっていた。そのため、今回のことは当然のことだと目を瞑ってきた。だが、それは苦しいだけだった。


 そして、これもそうだった。城の上階でロッドール達を攻撃した時も心が痛んだ。争いをしなければいけないこの状況を恨むしかなかった。


 せめて苦しまずに死んでほしい。命を奪う立場にありながらもルキエラは祈った。


 しかし、


「こっちは大丈夫だ!」


 標的は生きていた。土の壁で弾幕を防いだのは分かる。だが、それすらも貫いているだろうと思っていた。



 ロッドールは少し焦っていた。土属性と水属性を同時に使った壁を崩されると思ったからだ。敵には土の部分、つまりは壁にしか見えないのだが、実際には何層かの構造になっている。土の層、水の層と交互に重ねることで銃弾の威力を殺しながら耐久ができる仕組みになっていた。


 間に合ったぁ。危なかったぁ。


 ほっとしたのも束の間。


 ルキエラは体を変形させ、連射に特化した銃に切り替えた。そして、障壁となっている一点を狙って何発もの弾丸を放った。手応えとしてはこれで貫ける。そう思った。


「危っねぇ…!」


 それを予想してロッドールは土魔法で床を抉り、壁を囮にして身を潜めていた。


 おれっち一人ならこうやってればいいけど…。


 前にはアイゼン。後ろには魔法騎士団。ただ黙っているわけではいけない。何かしなければ。


「上のやつ攻撃してください…」


 ロッドールはシナのように力強く命じることができなかった。だが、魔法騎士団の一人一人が状況を察しそれぞれが魔法による攻撃を始めた。



 うん?壁の後ろから多くの人間が現れた?


 ルキエラは壁への攻撃を止め、銃を切り替えた。


 一発で頭を撃ち抜いてやる。


 精度と射程距離に特化した単発銃にし、狙いを定めた。

 すると、壁が消え白い煙が視界を遮った。


 何かを燃やした?おかげで標的を見失ってしまった。


 この時ロッドールは壁を消し、代わりに火と水の魔法を同時に発動させた。そうすることで水蒸気を発生させ狙いを外そうとした。


 ルキエラは煙の向こうに敵がいることは分かっていた。そんなことに関係なく銃弾を浴びせればよかった。


 怯んだ少しの間で攻防が逆転した。ロッドールの張った水蒸気の向こうから魔法騎士団の攻撃がルキエラに飛び交った。数の力で手数は圧倒的に有利であった。


 何かよく分かんないけど、ラッキーラッキー!


 ロッドールは慎重に場所を移し、戦場全体を見渡せる位置に留まった。


 銃の天使は気付いてない、よな?


 ルキエラは前方から来る数々の魔法を撃ち落としていた。魔力の通った弾丸で魔法を打ち消し、時には逸らすことで対処した。


 「全体を見ることは難しい。しかし、それが勝率を上げる」とレナードは言っていた。その意味が少し分かった気がする。


 まず、ゼンとエルドは一対一の肉弾戦。スピードはエルドの方が上に見えるなぁ。次に銃の奴。あいつの能力は大体分かった。距離を詰めれば奪えるけど、


「多分、無理。いや、普通に無理」


 蜂の巣にされて終わりだ。なら、やることは一つ。


 ロッドールはエルドに狙いを定めた。


 当てられるか分からないけど、



 やるだけやってみよう。



 ロッドールは火と水の魔法を解除し、雷の魔法を素早く放った。一番始めに避けられたが、使える魔法の中で最速なのがそれだった。不意を突けばなんとかなると思っていた。


 放たれた魔法はアイゼンの横を通り、エルドに当たる。はずだった。



 真っ先に異変に気付いたのはルキエラだった。煙が晴れたと同時に稲光が見えたからだ。


 遅れを取ったが十分に間に合う。はずだった。



 ロッドールはそれが撃ち落とされることも考えて雷の魔法にした。稲妻が直進することはない。


 その動きで弾丸を避ける!


 ロッドールの魔法はルキエラの弾丸を避け、エルドに向かった。



 よしっ!当たれ!!



 あらかじめ予想していた位置にエルドが移動した。


 当たった!!



 しかし、攻撃を避け反撃に転じたアイゼンがその線上に乗り出した。


「あ…」


 バチッ!!


「ごめん」


 エルドは一瞬の硬直を狙い、アイゼンに殴り掛かった。回避ができないと察したアイゼンは自分の拳をぶつけた。出来る限りの抵抗だった。


「痛あぁっ!!」

「ロッド!!」


 すぐさま距離を取ったアイゼンがこちらを睨んだ。


「ごめん」

「今ので8回目になってしまっただろう!」

「だからごめんてば…」

「外すならまだしも、私に当てるとはな!」

「謝ってんだから許してよ!!」


 その時、ゼンは怒るのを止め、はっと何かに気付いたようだった。


「お前の手柄ではないが…。そういう意味ではシナより強いとも言えるか…」

「何がどういうことなんだよ!?」


 アイゼンの切り替えにロッドールは着いていけなかった。


「いいか、よく聞け…」

「…えぇ!?本気で言ってんの?嫌だよ」

「できなければ死ぬだけだ」

「極端!」


 勇気を振り絞って行動に移したのに、なんだかなぁ。思い通りにいかないんだよなぁ。

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