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B MAIN  作者: 半半人
エスティアーナ編
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決別を望む

「あの後なんとか逃げ切れたんですね。途中から記憶が無くて」

「お前はよく生きていたな」

「カチ割れた頭を魔法や薬で治したんですよ。それから感情が表に出なくなったんですけど、死ぬよりは何倍もマシですから。贅沢は言いません」

「お互い助かった身だから分かるだろう?…あの時死んでいたらどれだけ良かったか。お前は天使に捕まった人間がどうなるか知ってるか?」

「はい。だからこそ、ですよね?僕たちが生き残ったからこそ…」


 復讐できるんですから。


「…私たちが負けたことで多くの人を苦しめたことも十分理解している。だが、フリッド・フランではそんなことはさせない」

「同じくです。思ったよりゼンさんが冷静で良かったです」

「どういうことだ?」

「以外と熱くなるじゃないですか。一度決めたら最後までやる性格なのは知ってますし」

「そこはしっかりと割り切っている。エスティアーナのことは忘れない。だが、それを引きずって勝率を下げるような真似はしない。至って冷静だ」

「でも、右腕の痣を隠す癖は今でもありますよね?ヘイヴェンスと戦ったとき、服を切られてキレたって聞いてますけど」

「…」

「まぁ、どうやって腕を治したかは聞きませんけど」

「そういうお前は色々とやってそこまで登り詰めようだが。随分と変わってしまったな」

「前とは違うのは知ってます。でも、こっちも気に入っているので特に気にしてません」

「…私の方こそ心配したが、大丈夫そうだな」

「はい。今はゼムレヴィン国務第一階申のレナードですから。フリッド・フランを取り返すことを第一に考えて、サイリスとの因縁はその次です」

「ふっ。では、私は明日に備えるとしよう」


 少しだけ確認したいことがあるからな。


「あ、でもゼンさん」

「そうだ。言い忘れていた」


「「早い者勝ち」ですよ」


 どっちがサイリスを倒しても文句は無しだ。



◇◇◇◇◇


 えっと……。


「おれっちに何か用…?」


 ロッドールはレナード以外の階申に囲まれていた。


「ロッドールは何個の属性を使えるんだい?」

「私は戦いの前に味方の能力を把握したいだけよ」

「貴様がどんな人間なのか見定めに来た…。ん?貴様どこかで……?」


「見事にバラバラ…」


 何でこんなことになったんだろう…。

 争いを好まない自分に問いてみた。そしてその理由をすぐに見つけた。いや、思い出した。


 給料がいいからって軽はずみなことしたなぁ。死んだら何にもならないのにさ。でも、やんなきゃいけないし…。

 ロッドールはゼムレヴィンの農家に生まれた両親と妹を持つ平凡な家庭だった。だが、両親が四十代の時に生まれたため早くに働かなければいけなくなったロッドールはゼムレヴィンの軍に入った。寮に入れば家族への負担が減るし金も稼げると思っていた。天魔大戦中は人手不足で稼げると思っていた。

 しかし、人間は天使と悪魔に資源を削られるだけで得られるものがほとんどなかった。当然思ったようにはならなかった。少しでも多く稼いで家族のためにと努力したが、個人の力にも限界がある。


 その焦りに気付いたのか、レナードから誘いが来た。「実験を手伝ってくれたらこれ、弾みますよ」と言った。何か怪しいとは思ったが話の内容を聞いてみるとそうではなかった。雷属性の魔法が扱えたロッドールはいくつかの的を用意され、それに魔法を当てるということをした。魔法の使用回数や命中精度などの参考資料としてデータを取りたいということだと聞かされていた。実験ってそういう意味なんだ、とロッドールは思った。


 実験から三週間ほど経った日。レナードが言った。


「人間が天使や悪魔に勝つ方法ってあると思いますか?」

「え?それって…今のままじゃ勝てないってこと?」

「はっきり言ってそうですね。お互い能力を持っているといっても、人間だけ劣ってますからね。でも…!」


 レナードは的にしていた木箱を開いて見せた。


「友人に天使の能力を扱える人がいるんですよ。彼はとても強いんですが、前例がないので…。試させてもらいました」


 木箱の中には麻袋が入っていた。ただの麻袋ではない。血が付着して黒く固まっていた。


「それは…?」


「君は初の実験成功者です」


 麻袋の中には四肢が切断された天使が入っていた。


「知ってますか?天使と悪魔を殺すと能力を手に入れることができるんです。ですが、ほとんどが失敗するみたいで」 

「……まさか…?」

「そこで、確率を上げてみたんです。何人も殺せばいずれかは成功するんじゃないかと思ってました」

「…今までのは全部……?」

「はい。成功したのでこれからの報酬に期待していてください」


 それと。後に引けないということを忘れないでください。


 ロッドールは知らない間に能力を手に入れた。だが、人として何かが欠落してしまったことには本人も気付いていた。


「何で…おれっちにさせたんだ……?レナードは強くなりたくないのか?」

「敵の能力を手に入れるなんて、気持ち悪いじゃないですか。それに、僕に必要なのはそんな強さではありません」


 始めは言ってる意味が分からなかった。だが、今回の戦いではっきりと分かることになる。


 レナードは天才だ。

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