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B MAIN  作者: 半半人
エスティアーナ編
57/173

能力、銀姫の鉄刀


 今回の戦いも、闘いにあらず。接戦に見えて、一方的であることに気付いている人どれだけいるのだろう。


 哀れとしか言えない。散っていた仲間もまた、弱さが招いた当然の結末。



 力が無いのなら歯向かわなければいい。何故、それが分からないのだろう?




 力が無いことに気付いていないのだろう。きっとそうだ。




 目の前に現れた人間もきっとそうなのだ。



◇◇◇◇◇


 天使の企みに気付いたアイゼンは隊を率いて作戦を決行した。



「…今だ!!」


 身を潜めた隊員に槍を持たせ、前方と左右から奇襲を行った。


「一人も逃すな!!羽を狙え!!援軍を呼ばせるな!!」


 空を飛べる天使が見付からないように行進するには私たちと同じく歩かなければならない。そうだと分かれば簡単だ。


 対人同様に蹴散らすのみだ。


「ヴィンガー!後は頼んだ!!」

「はい!どうぞ、先に進んでください!」


 前方を走り敵を弾き返すヴィンガーが笑い、下がってきた。


「後ろは我々が死守します!隊長は…いえ、副将は前だけに集中してください!」


 ヴィンガーは敵軍の中心を指差し、後方で戦う仲間の元へ消えていった。



 ここから、だな…。




 能力、ディック・アイアン。




 混戦状態でありながらも顔色一つ変えずに佇む女性の天使が一人。腰に剣と細身の刀を携えていた。


 こいつだ…!!



 私は正面から殴りかかった。まずは様子見だ!どう動く?



 拳が到達するまでの間、私は彼女の動きに細心の注意を払った。全力であり、臨機応変に対応できるように放った攻撃をどう対処するのか…。


 恐れと少しの期待を含んだ私の拳は、何の抵抗もなく彼女を捉えた。



 そこで恐怖した。



 全力で、力を込めて、拳を振り抜いた。手加減など一切無い。


 硬化した拳を彼女の細く白い片腕に止められた。



 何が起こったのかさっぱり分からなかった。



 それに対し、彼女は呆れていた。

 相手は人間でありながらも天使の能力を使える。ということは強いのかもしれない。そう思っていたが、攻撃は遅いし威力もない。攻撃が目の前に来てから止めただけなのに、それにすら気付いていないようだったからだ。


 ただの雑魚。



「己の無力さを知りなさい」


「え…?」



 能力、銀姫の鉄刀。



 アイゼンは彼女が剣の柄を握り直したところまでは目で追えた。だが、そこからは未知の領域だった。



 始めに感じたのは鋭い痛みだった。



 次に襲って来たのは腹部への衝撃と込み上げてくる吐き気。




 そこでようやく気付いた。




 刀による斬撃と峰による殴打を数回、いや十数回も受けたのだ!!



「ぐ、あぁ!!…あり得ない……!!」


 なんて速さだ…!!それよりも!!速いだけではない!硬化を上回るほどの刀の切れ味とそれを振るう高等な技術!!


 今までで一番の強者だ!!



 油断はなかった。だが、それ以上に集中しなければ




 死ぬ。



 簡単に死ぬ!




 十分な間合いを取っていたが、それ以上に離れた。策は無い。だが、何もしないよりはいくらかマシだ。


 そして、彼女の様子を伺った。何か足掛かりになるかもしれないと思った。


「…今ので殺せなくて残念だったな」


 これもただの強がりだ。


 そのつもりだった。




 だが、彼女も同じことを思っていた。

 

 硬化していることは知っていた。それすらを上回る斬撃を浴びせた。しかし、死んでいない。


 ただの硬化ではない…?


「貴方、その能力をどこで?」


 彼女の僅な揺らぎをアイゼンは感じ取った。


「お前は……」


「殺せば関係無いか」


 くそっ、考える時間を与えてはくれないか…!!


 純粋な戦闘力ならあちらが数段も上だ。だが、負けるわけにはいかない。


「サイリス様!両軍の総司令の死亡を確認しました!」

「なっ!?」

「そう。後は前だけ。貴方達、私のために死になさい」


 はっ!!



 敵の士気が跳ね上がった。それに対し、こちらは絶望的だった。


 この戦いだけで二人を失うなんて……。私だけではこいつらを止めることはできない…。例え、サイリスと名乗る総指揮官を倒しても味方がその後に続けるとは思えない。


 駄目かもしれない……。




「アイゼン!!!」


 らしくない顔ですね!


 馬に乗ったレナードが隣にいた。


「レナード…!!」

「左軍は壊滅。右軍のティエナ軍も奮闘して敵を食い止めています。残るはここだけです!」

「どうしてここに!?こいつらの進軍にはB隊しか気付いて…」

「僕たちはその程度ってことですよ」


 レナードは一冊のノートを渡した。


 そこには三軍対二軍、まさに今の私たちの戦略が展開されていた。

 ティエナ将官は戦いながら、指示を出しながら、脳内で無数に近い戦闘を繰り広げていたのだ。そして、その中から相手の真意を見抜き、我々をここに導いた。


 ここでアイゼン、レナード、サイリスが出会うのは運命だったのかもしれない。


「で、こいつはどれぐらい強いんですか?」

「分からない。だが、恐ろしく強い」

「じゃあ二人で同時に攻撃しますか?」


「駄目だ。お前はあいつの動きに()()()必要がある」


 能力、ディック・アイアン!!


「少し待っていろ」


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