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B MAIN  作者: 半半人
エスティアーナ編
54/173

開戦


 アイゼンが副将に任命されてから半年。天使からの襲撃はあったものの、大きな戦争にはならなかった。


 前回に負った傷が癒える頃、新たな戦争が始まろうとしていた。



「ゼノン将官!敵は三軍から構成されており、それぞれが約三千ほどの隊であります!」

「三千が三つ…。前に比べりゃあ少ねぇが、三軍もあんのか。クソ野郎ティエナには伝えたか?」

「はっ!」

「何か言ってたか?」

「いえ、特に何もありません!」

「なら、よし!一つ潰しに行くぞオラっ!」

「はっ!」

「ゼノン軍!!突撃用意!!今回も殺すぞ野郎共!!」


 おぉぉ!!!


「早いモン勝ちだ!ははっ!」


◇◇◇◇◇


「ティエナ将官!ゼノン軍が動きました!」

「ご苦労さん。やっぱり動いたねぇ。予想通り、予想通り」

「この後はどうするおつもりですか?」

「様子見」

「援軍は?」

「出さんわ」


 ティエナは考えていた。三軍の出現に対しどう動くのが最善か。


「アイゼン」

「何だ?」

「B隊連れて偵察しに行き」

「…良いのか?」

「何が?」

「副将が独立して動いても良いのか、と聞いているんだ」

「上の命令は絶対、や」

「…分かった」


 ティエナは交戦しないことをアイゼンに約束させ、自軍の配置について作戦を練った。


 アイゼンが偵察に行ってる間に作戦考えて…。ゼノンの様子見て…。最悪B隊は時間稼ぎで潰れても構わんし…。


 色々と考えを巡らせたが最善と呼べるものは思い付かなかった。


「…潰れたら困るなぁ」


 ティエナは五百人の兵に後を追わせた。


◇◇◇◇◇


 馬を走らせ、全体を見回してみた。敵はエスティアーナに対し、真横に三軍配置しているようだ。


 左側のゼノン軍が前進中ということらしい。そうのると左と真ん中にいる敵と混戦になる恐れがある。偵察はティエナ軍の正面に当たる右側の一軍のみに集中しよう。


「バーグ。今回の目的は奇襲ではない。交戦を避けるために隊の並びを変える。一列になって物陰を移動するぞ」

「分かりました」


 こちらは二軍。だが、人数はゼノン軍が六千。ティエナ軍が八千。数では勝っているが油断はできない。

 それに正面に配置した二軍を援護、挟撃できる中央軍が厄介だ。こちらも早めに手を打たないと危険だ。


 アイゼンは偵察による情報収集の重要さを分かっていた。相手を知ることは勝利に繋がる。些細なものでも役に立ち、危機を乗り切るきっかけになるかもしれない。


 アイゼン含めB隊全員が気を引き締めた。


◇◇◇◇◇


「ゴミ野郎!!」

「はいはい何ですか?」

「右はどうなってる!?」

「未だ動き無しです」

「そうか。なら言ってやれ!残り二軍だボケが!!ってな!!」


 ゼノンが先頭に立ち、行進を始め約二時間で左軍の一つを壊滅させた。


 圧倒的であった。



 しかし、一番盛り上がっている様に見えたゼノンは何かを感じ取っていた。


 敵は強かった。だけど、ちょっとだけ手応えがねぇな…。バレないように手を抜いているような…!


 この一軍丸々囮ってことか!?


 三千人はでけぇ。それを簡単に囮にもするってことは…!!


 残りの二軍はもっとやべぇ!!


「レナード!!すぐに引き返せ!!そして、ティエナに…!」



 全体に指示をしている最中に、ゼノンが大きく吹き飛ばされた。

 近くのレナードが身構え、その正体に警戒した。


「お前は…!」

「慌ててっけど今更遅ぇんだよ!バーカ!」



 能力、バオズ・マグネイド!!



 現れた一体の天使が能力を発動すると同時に全員の動きが制御された。


 起き上がったゼノンが素早く距離を詰め、メイスを振りかざした。


「テメェが大将か」


 しかし、メイスは天使の掌に吸い込まれるように動き、微動だにしなかった。


「この…野郎!」


 メイスを手放したゼノンが殴り掛かるも、強烈な反撃で再び吹き飛ばされた。


「テメェらはもう終わりなんだよ。俺様は超最強な磁石と同じでよぉ!テメェらの鎧とかを引寄せんだ!」


 磁石!?


 レナードはすぐに装備を外した。すると、言う通りに体に掛かっていた負荷が無くなった。


「副将!行軍の動きが著しく低下しました!」

「バーグ!!全員に鎧を脱ぐように伝えてください!」

「大将の次はテメェだよ!」

「早く行け!ティエナ軍と合流しろ!!」

「は、はい!」


 ゼノン将官が倒れてしまった…ここは僕が戦うしかない!


「ッラァ!!」

「ふっ!」


 速い!上段への蹴りを避け、後ろに下がった。


「お?さっきの奴より動けんじゃねぇか。なら…上げるぜぇ!!!」


 こいつ、まだ速くなるのか!?


 距離を詰められたレナードは回避に専念した。だが、人間よりも優れた身体能力を有する天使に勝てるはずがなかった。


「次で…トドメだ!」



 テメェがな!!!




 強烈な攻撃をその身に受けたにも関わらず、ゼノンは舞い戻って来た。そして、完全に油断していた天使の顔面にゼノンの拳が真っ向からぶつかった。

 速度、威力ともに申し分ないその一撃は、お返しと言わんばかりの破壊力を秘め、天使を大きく仰け反らせた。


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