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B MAIN  作者: 半半人
エスティアーナ編
51/173

逆算と戦略


「主役が来たところで作戦や陣形について説明します。仕事しながら本気で考えたので多分大丈夫です」


 仕事しろよ。と思っただろうが、レナードの頭脳は郡を抜いている。本気ということはそれほどに大事だということだ。


「ちょっと待ってください。そこの人がボクよりも魔法に優れているということですか?説明してください」


 ケイニーがロッドールに怒りを表した。それもそのはず。ケイニーは研究者でありながら魔法にも精通する魔法使いの頂点である。

 それが急に現れた人物に重要な戦闘を、しかも魔法の面で任せるとなると第三階申であるプライドが許すはずがない。


「ボクは認めませんよ」


 そういえばヘイヴェンスにも実力を求められたことがあったな。

 アイゼンはそれに似た光景を思い出していた。


「いや、そんな怒んないで…おれっちも呼ばれて来ただけでさ。そこんところよく分かってないんだよねぇ…」


「まぁまぁ。ケイニーさんがそういうのも分かるけど、戦いは常に最悪を想定しなければいけない。もし、最強の魔法使いである貴方が戦場に行っている間にゼムレヴィンが攻撃されたらどうします?逆に、絶対的な力を持つ人に国の防衛を任せたいんですけど…」


「……いやぁ、そうだよねぇ。最強のボクが国を守んなきゃ駄目だよねぇ。ヘイヴェンスなんか役立つだもんねぇ」

「…殺すぞ」


 ケイニーはレナードにおだてられてその気になっていた。先程までロッドールに向けられていた敵意が嘘のようだった。


「で、最強のボクが国を守り、ロッドール君がフリッド・フランに行く。で、次は?」

「話が戻ったので説明を始めます。さっき言ったように、僕とシナとアイゼンとロッドールを主として攻略します。しかし、」


 レナードはフリッド・フランの地図を机に広げた。


「フリッド・フランは水上都市であり、陸路が二つの橋しかありません。空を飛べる天使とでは圧倒的に不利です」


 私もそのことを考えていた。以前、ヴェルが「フリッド・フランに行きたい」と聞き、私なりにフリッド・フラン攻略法を練ったことがあるが一人での攻略は不可能だと悟った。その理由の一つとして水上にあること。橋があることが問題だった。


「ちょっと待って。天使は空を飛べるのに、何で橋を残したままなの?誰も来れないように橋を壊すのが普通でしょ?」


 シナの言うことはもっともだ。その証拠に私とレナード以外が首を縦に振っていた。


「簡単ですよ。橋を壊さない方がお得ですから。壊すなら、大勢の人間が渡ってる時に壊した方が…。あとは言わなくても分かりますよね?」


 罠としての利用価値が十分にあり、橋を使うしかない人間を一網打尽にできるからだ。


「橋を渡り切ることを第一の課題だと思います。天使は空を飛び、近接戦闘に優れているため機動力が鍵になります。天使の数は約二千。こちらは全魔法騎士団四千。前線に三千とアイゼンとシナ。後衛に残りと僕とロッドール。これが考えられる中で最善のバランスになります」

「私はシナを向こうまで渡らせる役割だということでいいのか?」

「はい。機動力を隠し温存しつつ、シナは風魔法の応用である浮遊魔法を使える数人を率いて敵の内部に入ってください。内部の連携を乱した後にアイゼンが合流。続いて後衛の僕たちが追撃します」

「もし失敗したら?」

「すぐに撤退してください。橋を渡った後の戦闘が予想できませんから」

「分かったわ」

「ロッドールは橋に接近する天使を撃墜、もしくは、進行を妨害することを第一に行動してください。前衛を魔法騎士団と共に支援する、といったところです」

「わ、分かった」

「僕は随時指示を出します。絶対に見逃さないでください」


 レナードが講じた作戦とは思えないほどだ。全階申が普段の気の抜けた様子とは異なることに違和感を持っていた。


「…ゼン?」


 恐る恐る話しかけてきたのはロッドールだった。


「あの、怒ってないよね?」

「過去のことは気にしていない。勝利したのは私だしな」

「ならよかったぁ。でも、レナードらしくないなぁって思ったんだけど。どう?」

「…」

「いつもは“失敗してもいいや”って感じがするんだけどさ…今回はかなりガチな感じじゃん?」

「あいつは…いや。私も同じか……」

「?」

「気にするな。性格は最悪で信頼できないかもしれないが実力はある。そこだけ忘れなければいい」

「はぁ…」


 その後レナードが一人一人に作戦を伝え、一度休憩を取った。


 私は近くのバルコニーの手すりに寄り掛かり考え事をしていた。誰も何も言わなかったが、この戦いは本当にゼムレヴィンのためのものなのだろうか。

 いや、このことを知っているのは私だけか…。


「複雑、ですね」

「…その話は終わった後ではないのか?」


 黄昏ている私の隣にレナードがやって来た。


「ちなみに今どんな気持ちですか?」

「少しの怒りと後悔、懐かしさと虚無感。…上手く表現はできないが」

「僕もですよ」

「それと、レナード。私は兵を率いるつもりはない」

「…分かりました。そのことはシナにも伝えておいてください」


 事の始まりは十年前に遡る。

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