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B MAIN  作者: 半半人
ヴィスティンハイム編
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三種の会遇


「うぅ…頭が痛い……」


 酔いが回った後、家に帰れなくなったアイゼンは喫茶店のベンチで横になっていた。


「二日酔いがあるから酒は好きになれない…」


 今日ぐらいは、と思った自分を律したい。頭は痛いし、気持ち悪いし、いいことが一つもない。


「ゼンさんが元気だったの前半だけだったしね」


 カウンターで片付けをするヴェルがくすっと笑った。


「早く来るといいね」

「…何がだ?」

「それも覚えてないの?ゼンさんがロムさんに家にある薬を持ってきてー、って言ってたんだよ」

「…嘘だろ」


 話によると家の位置を詳しく教えてしまったようだ。


「結構遠いのかな?」

「そんなことはどうでもいい…!」


 足元が覚束ない中、喫茶店を飛び出した。ふらふらとしながらも全力で家を目指した。



 家にいるキュリームとリグリーに会わせてはいけない!



◇◇◇◇◇


「グア……。キュリーム、リグリー。誰か来る」

「ど、どんな人?」

「ゼンじゃないのー?」

「ご主人の匂いがするけど、普通の人間…。ううん、悪魔の匂いもする…!」

「人間なのに悪魔の匂い…?」

「とにかく隠れよう。アイゼンさんも面倒事は避けたいだろうし」

「リガーは川に沈んでた方がいいかも」

「グアァン。それはひどいよ」


 三人は身を潜め、謎の人物の接近に備えた。


 そこはロムが現れた。さっさと用事を済ませようと思っていた。そう、家に入るまでは。


「…バレてないか…むぐっ!」

「キュリーム、静かに」


 だが、それはキュリームたちに気付いたからではない。


 異様な部屋の汚さに疑問を抱いたからだった。



 アイゼンさんは几帳面な性格だ。本は語順に並べるし、服はいつも綺麗だ。その人の家が汚ないはずがない。

 ロムはこの家に泥棒が入ったのではないかと考えた。アイゼンさん以外の人が汚したとしか考えられない!


 泥棒という点は間違いだが、アイゼン以外の他人がいるということに気付いたロムは能力を発動した。


 能力、聖炎。


 そして、生物だけが燃えるように炎を放った。ロムを軸に放たれた炎は一瞬家の周囲にまで広がり対象を捉えた。


 反応があった…!?


 広がった炎が何かを燃やすのを感じ、外へ飛び出した。


「あちっ!」

「うわぁぁ!何だこれ!?」


 突然のことに混乱したキュリームとリグリーはその場から逃れようと空に飛んだ。



 ロムは何かがいると察し、外に出てその光景を見た。頭で考えるよりも早く、言葉が出るよりも早く、



 殺す。



 悪魔であるリグリーに炎を放った。



「うわぁ!!な、何だよこれ!?」


 突然の攻撃に驚き、リグリーは混乱に混乱を重ねた。その結果…。


 能力、グラビトン。


 抑えられない力が表に出た。


「ぐっ…うぅ……!」

「キャ!!」


 リグリーを中心に強力な重力が発生し、ロムとキュリームを地面に押し付けた。


「あ、あぁぁぁ…と、止められない…。二人とも殺してしまう!」


 必死に止めようと意識を集中するが能力は解除されない!このままでは二人とも死んでしまう!


「…く、っそがぁぁ!!」

「ひっ!」


 な、何で立ち上がるんだ!?


 リグリーの感じる恐怖に比例し重力が増した。


「痛い…よ…うぅ…!」

「あぁ!キュリーム!どうすればいいんだぁ!?」

「ふぅぅ…!こ、こ、殺す…!絶対、に…!」


 立ち上がろうとするロム。助けを求めるキュリーム。能力を制御できないリグリーは二人のことを考えてその場から逃げ出した。距離を離せば能力の影響は小さくなる。そう思った。


「ぶはぁ!はぁ!はぁ!…逃げられた、か」


 立ち上がったロムは空を眺めた。そして、その視線を地面に伏すキュリームに向けた。


「…お前も仲間か?」

「……」


 小さな体に加えられた重圧はあまりにも重く、キュリームは痛みで思考能力が著しく低下していた。視界も不安定で状況が飲み込めないでいた。


「お前も殺…!」

「待て!!」


 顔色の悪いアイゼンがようやくたどり着いた。タイミングは最悪だった。


「…ゼン……?」


 アイゼンの声に気付いたキュリームが一番に反応を示した。


「ロム。お前がやったのか?」

「いいえ。自分は逃げた悪魔を追うので、そいつは任せた」


 ロムは先程のキュリームのことに気付き、リグリーの後を追った。アイゼンもロムが気付いたことを察した。頭痛も感じないほどに緊迫した状況だった。

 すぐにキュリームに駆け寄り、楽な姿勢で横に寝かせた。


「リガードゥルム!」

『グアッ!』

「どこにいる?」

『川の底だよ』

「…なぜそこにいるかはいい!何があったのかを説明しろ!」


 ロムが来たこと、ロムがキュリームに気付き攻撃を仕掛けたこと、リグリーの能力が暴走したこと。などを聞き、状況を把握した。


「二人を止めなければ…」


 私は横になるキュリームに顔を近付けた。


「大丈夫か?」

「うん…大丈夫…」

「そうか」


 申し訳ない。私を許してくれ。


「リグリーには()()()()()な?」


 心を鬼にした質問にキュリームは頷いた。


 リグリーのことはキュリームに任せた。



 この後のことは私にも分からない。最悪の選択をすることもあり得るな…。


 リガードゥルムにキュリームを預け、アイゼンは走り出した。



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