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B MAIN  作者: 半半人
ヴィスティンハイム編
42/173

もう一つの戦場


「…儂は負けたのか……?」


 シグの一人言にアイゼンは頷いた。


「ふっ…儂らのことを放っておいて先に進めばよいものを。とんだ物好きだな」

「死なれては後味が悪いだけだ。それに、先ほど言ったように戦うつもりは無い。命のやり取りはなおさらな」


 それに、師匠が弟子を思うように。弟子も心配していたぞ。


 シグは重い体を起こした。すると、足元に寄り掛かるセディエルがいた。


「山の件は悪いことをしたと思っている。今は手持ちが無いが、必ずこの罪は償うつもりだ」

「数百頭の魔物と同等の物を用意できるのか?」

「可能だ」

「そうか…。セディエル、帰るぞ」

「オッス!でも、次はブッ倒す!」

「あぁ、返り討ちにしてやる」


 セディエルとシグは生き残った魔物を引き連れ、ふらつきながら飛んで去って行った。


「…はぁ……疲れた」


 まさかこんなことになるとは思いもしなかった。魔力も体力もかなり使ってしまった。


 死んでしまった魔物が何頭か転がっているのを見付けた。鹿や馬に似た外見をしている。


 悪魔は魂を食らうため本体には興味はない。つまり、ここで私がその肉を頂いても害は無いはずだ。


「…食うか」


 栄養補給は大切だ。体力を回復するし、食事は精神的にも癒しの効果がある。


「食おう」


 そこからの行動は早かった。


 シグの落雷が当たり燃え上がっている木を集め焚き火をし、適当な枝に突き刺した魔物を火で炙った。

 数十分が経ち、口元に肉を運んだときふとあることを思った。


「毒は…ないよな?」


 魔物の本体に興味が無いなら、その肉は食えなくても。ましてや、毒があれば外敵に襲われない。冷静な分析である。


 が、


「加熱してるし大丈夫だろう」


 アイゼンの決断力と躊躇いの無さは日常でも発揮された。



 それから半日、アイゼンは一歩も動けなかった。


◇◇◇◇◇


 アイゼンがヴィスティンハイムを経って二日目。一つの危機が迫っていた。

 そして、それに気付いたのは一人だけだった。


 コーヒー畑の手伝いを終え、一人で課題をこなすロムはある異変に気付いた。それは生まれた持った性質であり、人間の五感の一つであった。


 ヴィスティンハイムには存在しないはずの、可燃性の液体の臭い。


 その臭いを辿り、正体を探った。



 アイゼンさんは言っていた。

 ここ、ヴィスティンハイムは森や山などを隔てて六つの国と隣接している。西のゼムレヴィン。北のハインシス。北東のジェストレイン。東のロブロン・ランス。南東のヴェントガーデン。南のレブーフモルゲン。この六国に囲まれてるのもあって、天使にも悪魔にも攻められること滅多に無い。が、人間は別だ。逆に言えば六国を同時敵対することもあり得る、と。


 そして、臭いがする方角は東側。ジェストレイン、ロブロン・ランス、ヴェントガーデンのどれかな?


 更に、アイゼンさんは言っていた。

 おそらくゼムレヴィンを乗っ取ろうとする動きが見られるかもしれない。その時は何があってもヴィスティンハイムを守り抜け、と。


 東側は森があり、身を隠すにはうってつけだ。たまたまここの木々を的にして訓練していたがそれを人間に使うのは気が引けるなぁ。


 だが、その気持ちはすぐに消えた。



 銃を携え、火器を背負った集団が目に入った。コーヒー畑に来る服装じゃない……。動きも明らかに怪しい。


 敵だ。ロムは身構え、周りを見た。



『アイゼン式戦闘術、その一。状況確認。地形と敵の数は最低でも把握しろ』


 アイゼンさんみたいに難しい作戦は考えられないけど、自分だって…!


 今のところ分かる敵の数は二十四人。格好はほとんど同じ。うーん、どうしようか?


「正面から行ったら絶対やられる。一対一に出来れば…」


『お前の能力もそうだが、遠距離も向いてない』


 近距離も遠距離も駄目ならどうすればいいんだ?それぐらい教えてくれても…。


 ロムは考えた。自分にできること、能力を利用した戦法など。



「…隊長、誰かいます」

「一班、迎え撃て」

「「「はっ!」」」


「やっぱり、頭使うの嫌いだ」


 能力、聖炎。


 放たれた白炎は突撃してきた三人を燃やした。銃や火器に引火しないように人だけを狙った。


「来い。どうせ数だけだろ?」

「全班、プランA」


 隊長と呼ばれていた男からの合図で残りの二十人が配置に付いた。囲まれる形になったが関係ない。


「やれ」


 全方向から火炎放射器で炎を浴びせられた。飛び火して森の木々も燃え上がり、そこら一帯の気温がぐんと上がった。


「自分の聖炎は狙ったものを燃やす」


 それは人や物以外にも効果はある。それが炎であろうが水であろうが魔法であろうが関係ない。

 狙うのが面倒だったので全方向に人だけを狙った白炎を放った。


「ぐあぁぁ!」

「た、耐炎装備が…!?」

「隊長っ!」


 予想以上の手応えにロムは嬉しかった。この能力は強い。結果、自分は強い!


「あんた、隊長なんだろ?勝負しよう」

「言われなくても…!」


 ナイフ!?


 腰から引き抜かれた光沢物に反応し、ロムは体を捻った。服を掠めたが傷は無い。


 まだいける…。



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