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B MAIN  作者: 半半人
ヴィスティンハイム編
35/173

戦力外だ…

 能力、ディック・アイアン。


 能力、聖炎!


「来い」

「はいっ!」


 以前ヘイヴェンスと戦った場所でロムと手合わせをすることにした。


「うらぁ!!」


 放たれた炎を避け、ロムの能力を正確に分析することに集中した。

 放たれた炎が目的に到達するまでの速度は普通の魔法と同じか。速度は並だな。


「よし、次は全力で来い。避けずに力を計らせてもらおう」

「はい!」


 広範囲の炎が全身を覆ったが、ジェネックス程の火力は無いな。威力も並といったところか。


「…まぁまぁだな」

「はぁ、はぁ…はい…っ!」

「次は精密さだ。お前はどれぐらいならできると思っている?今、私に放ったらどの程度狙い分けられそうだ?」

「…左右の半身ずつぐらい、かな」

「それは先ほどのように全身を炎で覆った場合、片方は燃焼でき、もう片方はそれがないということでいいか?」

「はい」

「では、全身を覆いながら、右の掌だけを燃焼することはできるか」

「できないと思う…」


 そうなると精密さも並だな。これは何度も能力を使うことで向上するだろう。いや、これは鍛えるべきものだ。何か訓練の方法を検討しておこう。


「あとは…距離だな」


 十メートル感覚で石を置き、それを的に見立て攻撃させた。距離と命中率を同時に計ることができるからな。


「やってみろ」

「はい!」

「ただし、飛ばす炎は拳大だ」

「えっ!?」

「…当たり前だ」


 飛ばす炎を大きくすれば当たって当然だ。さらに、規定の形に調整する力も見れるしな。


「う、うへぇ…難しい」

「おいおい。そこからか」


 形成するのに時間が掛かっているようだが、命中率はどうだろうか?せめて、二十メートルは…。


「あ、外した」

「…嘘だろ……」


 十メートルの的にすら当たらないだと?絶望的だな。


「…的を気にせず、限界までに先に放ってみろ」

「はい!」

「返事は良いが…」


 とにかく距離だ。命中率や調整も数をこなせば上達するだろう。


「よし、飛ばせ」

「はい!」


 ディック・アイアンで脚力を強化し、飛ばした炎をひたすら走って追うことにした。いちいち遠くで眺めるのは面倒だしな。

 放たれた炎を見つめ、可能な限り追いかけた。途中で山にぶつかったが、炎は消えることはなかった。その時、私も山に正面衝突したがロムには分からないことだ。黙っておこう。


「距離に関しては優秀だな。二キロ弱はあるな」

「はい!」


 総合的に評価すると十点満点中七点といったところか。威力などは並だが、指定したものだけを燃やすという“選択性”は様々なことに使えるだろう。成長後を含めての点数といったところだ。


「…悪魔系統では珍しい戦闘スタイルになるな」

「珍しい?」

「あぁ。悪魔の能力は外面に作用するため近接には向かない。この能力もそうだが、遠距離にも向いていない」

「最悪だ」

「そう考えるのは普通だが、戦いは様々な要因で勝敗が決まる。最悪だと決め付けるのはまだ早い」

「…はい」

「戦闘経験はどれぐらいだ?悪魔を殺せるぐらいだ。かなりのものだと思っているがどうなんだ?」

「それは…」

「魔法は使えるのか?」

「いいえ」

「なら、生身で悪魔と渡り合ったことになるな。頭脳戦はどうだ?」

「その…あの…」


 相当な身体能力か秀でた戦術を身に付けているのかと思ったが、ロムは変に微笑した。


「自分は何も…」

「ん?」

「弱ってた悪魔(やつ)を殺したんで、何もしてない…」

「…え?」

「体を動かすのは得意だけど、頭はそんなによくない」

「開き直るな」


 つまりあれか?楽して能力を手に入れて、実践経験はほぼ0ということか?


「戦闘スタイル以前の問題だ…はぁ。一からやるしかないな…はぁ…」

「そんな溜め息する必要ないだろ!」

「お前な…」


 敵の戦い方を見ていればそれを応用していこうと思ったのに、本人に知識が無いとは。模索していくしかないのか…。


「…現時点で評価すると、不合格だ。戦闘になったら全く使えない」

「そんな!」

「そう思うなら、死ぬ気で修行しろ」


 実戦形式で手合わせし、ロムにアドバイスしようと思ったが今はひたすら能力を使わせた方が一番だ。格好良く言うなら、自分を知るところから始めるといったところだな。


「第一、炎を自在に使い分けられるようにしろ。そうだな…枝を等間隔で三本立て、その三本に同時に炎を当て、真ん中だけに火を灯せ」

「は、はい…」

「第二、命中率の向上。今日やったように炎を小さく形成し、遠くの的に当てろ。最低でも百メートル先には必中させろ」

「うぅ、はい…」

「死ぬ気でやれ。そして、これぐらいのノルマは達成しろ。絶対だ」

「…はぃ」

「ん?」

「はい!!」

「よし。それができるまでは私が手を貸すことはない。できるまで何度も反復練習しろ」

「はい!」

「そうだ。能力は気絶する限界まで使え。そして、能力の使用時間を伸ばせ」

「…はい!」


 ロムはこれぐらいなら諦めないだろう。勝手な見解だが、大丈夫だろう。



 一方、ロムはアイゼンの予想に反し、結構弱気だった。


 

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