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B MAIN  作者: 半半人
ヴィスティンハイム編
32/173

能力、聖炎

 アイゼンが帰る少し前。ヴィスティンハイムの喫茶店に一人の男が現れた。


「あれ?ゼンさ…ん?」

「どうもこんにちは!!自分はロム・ワークソンだ!」

「ど、どうもいらっしゃいませ」

「ここにバーキンス・アイゼンはいるか?」

「えぇ。ゼンさんならいるわよ」

「そうか!どこに行けば会える?」

「さぁ。どこにいるかまでは知らないし…」

「なら、ここで待たせてもらう!!」

「はぁ…」


 ファーヴェルは厄介な人が来たなぁと思った。


「…コーヒーは飲めないから、サンドイッチ二つ!」


 まぁいっか。


◇◇◇◇◇


 帰宅してから数日。レブーフモルゲンに行ったことではっきりした。


 私に対してなんらかの制裁は行えない、と。


 それはそれでありがたい。自由に活動できるが、今までのように無茶はできないだろうが文句はない。

 今日はヴェルの元に行き、コーヒーでも飲みながらヴィスティンハイムの未来のことでも考えるとするか。

 数枚の紙とペンを持ち、私は家を出た。


◇◇◇◇◇


「ヴェル、いつも…の?」


 店の扉を開けるそこには見知らぬ男がいるではないか。


「ゼンさん、いらっしゃい」

「あ、あぁ。ところでお前は?」


 新人、じゃないな。


「お前は?じゃない!この顔を忘れたか!!」


 誰かは知らないが面倒な奴だということは分かった。適当にあしらって席に着いた。


「今日はミルクを入れてみようか」

「おい!無視するな!!」

「…コーヒーが出るまでだ。で、何の用だ?」


 そこで男のことをよく見た。背は普通、茶髪で短く、童顔。年は十代後半だろう。


「…誰だ?」

「ロム!ワークソン!だ!!」

「ロム…?」

「ナーフティー村の!」

「ナーフティー…?」

「門番の息子!」

「門番…?」

「悪魔が来たところを助けてくれたじゃん!!」

「…父親がリーン・ワークソンだったような……」

「あってるあってる!!」

「確か、召喚するタイプの悪魔に襲撃されてか?」

「いいよ!」

「あれ?その時スカートじゃなかったか?」

「それは妹だ!!」


 タイミングよくやって来たヴェルは変な顔をしていた。


「スカート…」

「自分じゃないから!妹だから!」

「…ふぅ……ヴェル、美味いぞ」

「うん」

「というわけで会話終了だ。またな」

「お前言ったじゃねぇか!!大きくなって悪魔倒したら弟子にしてくれるって!」

「弟子…」

「…ん?私をそんな目で見るな」


 過去の私が?あり得ないな。



「まぁ、思い出したことにして話を進めようか」

「あれは八年前…」

「え!?八年!」


 関係の無いヴェルがとても驚いていた。


「…ゼンさんって何歳なの?」

「34だ」

「嘘でしょ!!!!」

「…大声を出すな」

「ちょ、ロムさんは何も思わないの!?」

「相変わらずだなぁと思ったよ」

「嘘でしょ!」


 外見の話はどうでもいい。


「あの時は自分もガキだったけど、アイゼンさんはこう言いました」



 悪魔を倒せたら弟子にしてやる。って。



「それで…手に入れたんだ!」



 能力、聖炎っ!!


 ロムの周囲に白い炎が現れた。


「!!」

「ちょ!店燃えちゃうよ!!」

「大丈夫!この炎は狙ったものしか燃やさない!!」


 周囲に漂うものに加え、広範囲に炎を撒き散らした。


「!!」


 火の加減などではないな…。私自身が熱を感じているし、ヴェルの様子と喫茶店が燃えていないのもロムの言う通りだ。


「アイゼンさんはこう言いたかったんだろ?相手を殺して能力を手に入れろって…」

「ゼンさんも、なの…?」


 絶句し唖然とするヴェルと、誇らしげに笑うロム。能力を向けられたアイゼンは、



「それ以上は口を開くな」


 真剣な顔付きで、声に力を込めた。


「あんまり情報はないけど、アイゼンさんも能力があるから天魔大戦を…」

「黙れ」


 能力、ディック・アイアン。


 アイゼンはロムとの距離を詰め首を掴んだ。


「かっ、はっ!!」

「少し場所を移そう」

「ゼン、さん?」

「巻き込んですまなかった。金は置いていく」


 硬貨の入った袋をヴェルに投げ渡し、ロムを担ぐ形で外に出た。


「…多くない?」


 一杯のコーヒーに払う硬貨の量ではないことを、ヴェルは袋の重さから感じ取った。


◇◇◇◇◇


「お前は殺したのか?」

「はい。村を襲った連中なんで。普通に死にかけたけど」

「…そうか」

「そう言うアイゼンさんもなんだろ?」

「その質問には答えられない」

「自分はただ、アイゼンさんの弟子になりたいだけだ。能力はほんの自慢のつもりで…」

「分かった。お前の実力と能力は認める。だが、二度と見せびらかすような真似はするな」

「なんで!?こんな力があれば誰だって…!」

「褒め称えると思うか?残念だが、全員がそう考えるわけではないんだ。強大な力に恐怖し、排除しようとするに決まっている」

「それはアイゼンさんが政府に反抗的だからだ!」

「理由があるからだ!!」

「!」

「私が何も考えずに行動しているとでも?ふっ、ガキのままだな」

「…あの頃とは違う!自分だって色々と考えて生きてきたんだ!」

「お前の言いたいことは分かる。が、現実は複雑で残酷だ」

「それでも!自分にはやらなければいけないことがある!」

「私の弟子になってでもやりたいことか?」

「はい!悪魔を皆殺しにして、世界を救いたい……他に傷付く人を出したくない!!それでも、自分には力が無いから…アイゼンさんに教えてほしいんだ!お願いします!!」


 ロムは地に頭を着け、切実な思いを告げた。


「強くなりたいんです!アイゼンさんのように、誰にも負けない強さが必要なんです!!」


 ロムの意思は分かった。が、すぐに答えを出すことはできなかった。


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