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B MAIN  作者: 半半人
レブーフモルゲン編
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聖剣、レイスティア

 国事に関わる王と大臣、他にも政治に携わる何人かの人物と長机を囲んだ。


「バーキンス・アイゼン…本人で間違いないか?」


 身分を明かすものが何もなかったので、私は期限切れの通行書を見せ付けた。


「これでいいだろう?」


 かなり恥ずかしいがここは冷静さを貫くしかない。会話を切り出す人物に目を向けた。


「た、確かに…!本物だ…」


 他の人物もざわついたが一人一人を目で制した。


「雑談をしに来たわけじゃない。それぐらい察しろ」


 リガードゥルムがこちらの手の内にあることがレブーフモルゲンという国にどれほどの影響を及ぼすのかを考えろ。

 全く、思考の鈍い連中だ。


「間を繋ぐための演技なら今すぐ止めろ。一手で国ごと滅ぼすぞ」


 そんな力は無いが、はっきりと発言することで説得力が生じる。それに気圧されたのかざわつきが止み、全員の顔が変わった。


「お前さんは、何が望みだ?」

「ここにいる全員がお前を消そうとするとは思っていないのか?」

「レブーフモルゲンを嘗めるな」


 どうやら先程のは全てが偽りだったようだ。


「ふざけた話し合いよりは大分マシだ。本題に入らせてもらおうか」

「その前に一つ。今はお前さんがあの兵器を持っていると言って間違いないな?」

「あぁ」

「承知した。なら、本題に入ってくれ」


 話し合いと言ったが、それは間違いだ。こいつらの態度は私を下に見ている。交渉にすら至らないと決めつけているものだ。


 それを正すところから始まるな…。


「まず、お前たちが隠してたことを知っている。これと同等の価値のあるものを頂きたい」

「何が欲しい?金ならいくらでもあるぞ」

「それだよ。もし、私が金を貰い、他に情報を売ったらどうする?レブーフモルゲンは全人類を敵に回すことになるぞ」


 脅しはこれぐらいにして、


「まぁ、そんなことはしないが。そちらが何を計画していたのかを教えてほしい」


 金や地位は私にとっては必要のないものだ。いや、金は少しぐらいはあってもいい。


「ただの好奇心だ。それさえ…いや、それと少しの口止め料を貰えば他言はしない」


 国の防衛、侵攻、何でもいい。役に立つ情報であるなら、取引する価値はある。


「もういい。お前さんが公言しようがしまいがはこの際気にせん」

「「!?」」


 周囲が静かにざわめいた。


「本心、だろ?」

「あぁ」

「少しなら教えてやろう。あの兵器はただの威圧の道具だ」

「威圧?」

「あれを見付けたのは、悪魔領での騒ぎを知ってからだ。圧倒的な破壊力から利用できると思ったのだ」

「悪魔に対する牽制ってことか」

「そうだ」

「どうやって捕まえた?この国、いや。どんな人間でも不可能じゃないか?」

「言っただろう、」


 少しだけ話す、と。



 周りの空気が再び一変した。


 これ以上は更に機密性が高いということか。そうなると、踏み込むのはここまでだな。


「これで、互いの腹を少し晒したわけだ。これからはもう少し友好的にできることを望むよ」


 ここで手に入るものはこれぐらいだろう。用も済んだし帰るとしよう。


 アイゼンは席に座った状態でその場にいる人物の顔をしっかりと見た。何かを企んでいるかもしれないと思ったからである。


 すると、


「いやぁ、ごめんね。急に召集かかるから遅れちゃったよ」


 一人の男が後ろの扉から入ってきた。


 金髪で赤の制服を身に付けているのが分かった。



 金髪…?キュリームを拐ったのは…服は青だったな。違うか…。


 後ろを向かずにその男への興味を失った。



「あれ?席が、一、二……七って。一人はお客さんかな?どーも、シーフス・カリヴァンで……」


 カリヴァンは椅子に肘を掛け、アイゼンの顔を覗き込んだ時。


 アイゼンは微かに香るコーヒーの匂いを捕らえた時。


 ほば確信的に



 始動した。



 聖剣、レイスティア!!



 能力、ディック・アイアン!!



 一瞬、一動の攻防は誰の目にも止まらなかった。


「…もしかして、同族?いや、あっちの同属?」


 驚きながら笑うカリヴァン。


「お前の顔と名前、覚えたぞ…!」


 突然の痛みと吐き気に襲われたがアイゼンは何事もなかったかのようにすっと立ち上がり、金を受け取りその部屋から退出した。




「…全て断つんだけどなぁ。聖剣でも斬れないものってあるんだ」


 アイゼンの背を見送ったカリヴァンは右手を見た。少し落ち込んだものの、新たな楽しみを見付けた喜びを実感していた。



 一方。通路を歩いていたアイゼンは不快感で壁に寄り掛かってしまった。


 とっさに、表皮だけでなく内部全ても硬質化しておいて良かった…。


 服を捲り、強い痛みのある腹部を見た。

 だが、服や皮膚には一切の損傷は無い。内臓だけを攻撃されたような痛みだった。


 そのような芸当は人間には不可能だ。天使系統の能力で間違いない。


 だが、その予想は能力の本質とは大分異なっていた。


「シーフス・カリヴァン、か」


 あいつは私の能力にも気付いていた。ロッドールとは違う、私寄りの人間のようだ。

 できるだけ争いたくはないが、避けられないかもしれないな…。



 痛みと吐き気が引いたところで、キュリームの存在を思い出した。


「あいつ…っ!?」




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