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B MAIN  作者: 半半人
レブーフモルゲン編
26/173

ひとやす…み?

 とりあえず顔に抱き付く幼女を退かした。


「ただいま……って、誰もいない?」

「うん!今日は皆出かけてるよ」

「ん?そうか。なら仕方ないな…」


 扉を開けて家に上がろうとすると、リガードゥルムが飛び退いた。


「ご主人!!そこから…悪魔の魔力が!!」

「あぁ、そうか」


 リガードゥルムは普通は見えない魔力を視認することができるのだった。


「そいつ、変身してる悪魔かも!!」

「それはないから安心しろ」

「天使中の天使だもん」


 説明すると長くなるから省略させてもらおう。

 適当にリガードゥルムをなだめ、荷物を下ろした。


「変に誤解される前に言っておくがこいつは天使の…」

「キュリーム・フルライトだよ!」

「キス魔ならぬハグ魔だ。気を付けろ」

「えぇー、別にいいじゃん」

「よくない。とりあえず、レナードから貰った…。ほら、土産の団子だ」

「わーい!やったー!」


 元気で活発なキュリームに敵意が無いことを理解し、リガードゥルムは警戒を解いた。


「そうだ、お前も魔力の補充が必要だったな。後になったが心配するな」

「分かった。ご主人」

「じゃ、こいつと話があるから少し待っててくれ」

「やだぁ!この子と遊ぶ!!」

「食うか話すか遊ぶか一つにしろ」

「じゃ、遊ぶ!!」

「…気が済んだら呼んでくれ」

「はーい!」


 全く…。大事な話があるというのに。

 キュリームの性格を考えると仕方ないな。ここは割り切って、別の目的を達成するか。


 家に上がり、自分の部屋の本棚を漁った。


 まずは地図と、人間界の各国に関わる資料と……。あった!ディックの日記!


 机にそれらを広げ、情報を集めた。


 まず、リガードゥルムについて。記されている中から大事な部分だけを取り上げた。

 ディックの相棒であり、獣型の天使である。能力はガルファリオンというの探知と伝達に関わることらしい。元の身体能力が高いため、能力と均等がとれて良いとのことだ。


「魔力を感じるのではなく、見るというのはそういうことか…」


 なるほど、なるほど。


 次に、レブーフモルゲンについて調べた。軍事力はそこそこ、魔法に特化した国であるというのが大まかな印象である。グレン・シギアの件が絡むと何か陰謀があるに違いない。天使との裏の繋がりや、ロッドールのような人材の暗躍…。


 難しいことを考えていてもやはり家というものは落ち着く。

 今までの慌ただしい日常からようやく解放されたアイゼンは休息の良さを全身で体感していた。

 心身ともに安らげるというのはここまで素晴らしいものなのか…。長い時間かけ離れることでその大切さを思い出させてくれるのだな。

 何気なく本の文字を追っているとき、


「ゼーン!!遊び終わったぁ!」


キュリームが息を切らし、部屋に走り込んできた。


「それはよかったな」

「うん!」


 完全には落ち着けないな…。はぁ、とため息を一つ溢し椅子を差し出した。


「少し難しくて長くなるかもしれないけど、しっかり聞いてくれよ」

「うん!で、何話すの?」

「一つ目に遊び相手のリガードゥルムについてだ。同じ天使として何か知ってることはあるか?」

「ううん。全然知らないよー」

「そうか…。ならば、次の質問だ。ジェネックスという天使を知っているか?」

「知ってる知ってる!炎使うんだよ!」

「よしよし。そいつについて知ってることを頼む。武器や部下なんかの情報があるとありがたい」

「武器は使わないよ。でも、同じぐらい強い……ごめん、名前忘れちゃった。でも!もう一人いるよ」

「同等の力、か。能力は分かるか?」

「水だったよ!」

「…厄介だな。分かった。参考になった」

「うん!」

「最後に。お前、実は凄いんだな。能力の名前もふざけてるとしか思えなかったが…」

「でしょ!!って、ふざけてないもん!」

「す、すまない…。団子、食うか?」

「食べるっ!」


 キュリームを適当にあしらい、地図に目を向けた。

 こいつの話はあまり期待してなかったが収穫はあった。これを考慮して…。


へぇ(ねぇ)はひひしへふの(なにしてるの)?」


 団子を頬張りながら背中から抱き付くキュリームに思わずため息を吐いた。


「お前はいつもいつも……」

「?」

「はぁ。まぁいい。レブーフモルゲンは知ってるか?」

「牛乳が美味しいとこ!」

「それもあってるが…。団子といい、食に詳しいんだな」

「だって美味しいんだもん」

「本来の食事とは全く異なるというのに」


 人間と天使と悪魔の大きな違いは食にもある。

 人は食物から()()を得て生活している。

 天使は()()を、悪魔は()を摂取して生きている。そのため、天使であるキュリームが団子を食べるという行為は、ほぼ趣味といってもいい。体には何のメリットもないのだから。


「味覚は人と共通だというのが不思議だな」

「そう?」

「お前が気にしていないなら別にいいが」


 そうだ。リガードゥルムにも魔力を与えなければならない。


「色々と厳しいかもしれないな…。うぅむ…難しい……」


 魔力を含む鉱石や液体などの資源を狙い、人間と争っているためそれらはとても貴重である。

 刑務所の囚人で養われていたリガードゥルムの食欲を満たせるのか。満たせたとしてもそれを維持できるのか…。


 はっきり言って無理だ。早急になんとかしなければならない。

 他にも本を読み、思考を巡らせた。


「そうか…!キュリーム、美味い魔力(もの)を食いたくないか?」

「食べたい!」

「よし。リガードゥルムもいることだし外食するか」


 長い説明や質問も用意していたが、これならいくつか同時に解決できる。



 とりあえず、導魔法国レブーフモルゲンならこいつら腹を満たせるだろう。


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