表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
B MAIN  作者: 半半人
グレン・シギア編
17/173

能力、フォース・イーレブン

「本当にすまなかった」


 ザリオンは地面に頭を着け、深く項垂れた。


「ふざけるな…!」


 ザリオンの気持ちは分かる。仕方のないことだとは分かっているが、


「…くそっ!!」


 怒りが収まることはない。


「お前もそうだが…何より、ロッドールは許さん…っ!」


◇◇◇◇◇


 ザリオンに攻撃を仕掛ける時。


 交わした言葉は少ないが、拳だけでそれが最後になることを物語っていた。

 右腕に硬質化を収束し、全力の一撃を放つ意志を示した。対するザリオンも真っ向から勝負する気迫と目付きで私をじっと見た。


 少しずつ距離を詰め、射程内にザリオンを捉えた。絶対に当たる。そう確信した。



「はい、お疲れさまでーす」



 全身の力が抜け、動作の途中で倒れ込んだ。何が起こったのか全く分からなかった。

 事態を把握しようとザリオンの方に目を向けるが、同様に倒れていた。


「何が…起きている……?」

「案内した時みたいに教えよっか?」


 お前は!?


「ロッド…!?」

「変に身構えんなよ。友達だろ?」


 ロッドールの笑みは面白いというものでなかった。何かを得たという満足感を表すようなものだった。


「それ、脱力じゃなくて元に戻っただけだから」


 元に戻った…?


「ま、ざっくり言うと。おれっちの能力は“奪う”ことできるんだ。何でもね」

「…まさか!?」

「何でもってことは」


能力も対象になるってことだよ。



「ま、色々と条件はあるけど」


 こいつ…!相部屋であること、すぐに友好的であることはその条件を満たすためだったということか!?


「でも、さすがにさ。ザリオンの“やっぱり俺のとは少し違う能力”って言った時はビビったよ。やっぱりってことはどっかでその情報を知ってるっことになるからね」

「ザリオン!お前も仲間だったのか!?」

「…っ」


 くそっ!

 罠に嵌められることはどうでもいい。恥も、後悔も無い。


 だが、その能力だけは!渡すわけにはいかない!


「ロッドオォ!!」


 体を無理矢理起こし、ロッドールに殴り掛かった。


「ディック・アイアン。だっけ?」


 全力で振り切った拳は、ロッドールには無意味だった。硬質化した体表にぶつかった拳は鈍い音を立て、形が崩れた。


「つっ!」

「マジでびくともしねぇ…チ○コも硬くなんのかな?」

「…くっそ……!」

「硬質化って防御力も攻撃力も上がるから無敵じゃん」


 ロッドールが攻撃動作に入った。能力が使えない今、生身でこの攻撃を食らうのは危険だ!回避するしかない!!


「と、おれっちあんまり喧嘩とか運動とか苦手だからさ。今日はもう帰るわ。んじゃ」


 ロッドールは看守室の方に走り出した。


「待て!!」

「うげっ!?」


 先読みしたザリオンがロッドールに体当たりし、体勢を崩した。


「話が違うぞ!!」

「いや、あんたら罪人がそれ言えんの?」

「お前が…」

「ザリオン!そのまま土に顔を押し付けろ!!」

「!」


 能力を扱う者が弱点を知っていて当然だ。最も簡単かつ、効果のある攻撃が


 窒息。


 水があればなおさらだが、土でも近い状況にまで持っていける。いくら硬質化しようが呼吸ができなければ失神する。


「うおっ、と!!」


 首元を硬質化し地面に押し付けられるのを阻止するが、


「うおぉぉ!!」


 私は低姿勢で腕を振るい、地面に手を擦らせてロッドールの顔を叩いた。土を握り締め、口の中に捩じ込んでやった。


 ここまでの流れでニ対一の私たちが優勢かと思われた。だが、それでも全く歯が立たなかった。


 大地が小さく震え、大きな亀裂が入ると同時に激しく波打った。これは、土魔法による地質操作か!?


「べっ!うぇ、気持ち悪い…。まぁ、そんなこんなで、奪うってことは使えるっことでね。何個もね」


 奪った能力を複数同時発動ができるというのか!?


「おれっちは、この能力を神話にちなんで“フォース・イーレヴン”って呼んでるんだけどあんま関係ないか」


 余裕の表情を見せ、周囲に壁を作り上げた。


「んじゃ、今度こそバイバーイ」


 深追いせず、目的だけを達成するか…。レナードに似た思考をしている。いや、あいつの差し金か?


 今は何であれ、


「お前にはいくつかの質問に答えてもらうぞ」


ザリオンには洗いざらい吐いてもらおうか。


 壁が時間の経過とともには崩壊し、完全に無くなる頃にはもう誰もいなかった。


「ザリオン。お前は自分の能力を取り返したかっただけなんだろ?それで、ロッドに協力した。そうなんだろ?」


 強烈な怒りをザリオンに向けたが、力を奪われたために仕方なくしたことだとは分かっていた。責める気持ちをぐっと堪え、今はロッドールにそれをぶつけることした。


◇◇◇◇◇


 イーレヴン。それは、神話に登場する人物の名前であった。全能神の無限の金が入っている袋、つまりは財布を盗み、その金で人間と悪魔を統一させた盗人である。天使はその金を怪しく思い、イーレヴンに手を貸さなかったことで裁きを免れたとか。

全能神が財布が無いことに気付き、連帯責任としてイーレヴンから全ての指を取り上げ、人間からは羽を、悪魔は風貌を獣に変えさせ、今に至ると言い伝えられている。


「名の通り、相手のモノを奪い私物化する能力か。天使系統の魔法だな」


 あいつも私と同じ…いや、それはない。


「お前には協力してもらう。互いに能力を取り返すためだ」

「あぁ。本当にすまない。この借りはしっかりと返させてもらう。だが、何か策はあるのか?」

「危険な人物がもう一人いるだろ。そいつの力も借りるんだ。仲間は多いに越したことはない」


 私を敵にしたことを後悔させてやる…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ