炎と雷と
能力、ラフイゴの炎拳!
「ちっ!ムカつくけど、自分の力。借りてやるよ」
ジェネックスの放った初撃の威力が普段よりも高いことに気付いた。そして、それがヴリエストによるものだと。
ジェネックスの周囲を渦巻くように炎が現れては消えを繰り返していた。それを警戒してかセディエルとタリエットは距離を置き、様子を見ていた。
「自分らも近距離派なんだろ?なら、殺り合おうぜ」
ジェネックスが拳を突き出すとその方向に炎が放たれた。堪らず二人は左右に避けた。
能力、雷鳴の拳!
回避後に巨大な拳を具現化し、ジェネックスを殴り付けた。だが、払うような動作のあとに放たれる炎で攻撃が逸れた。
「自分で殴りに来いよ!ビビってんじゃねぇ!」
「そういう能力なんだよ!」
地面を蹴る力に加え、炎の噴出による推進力でセディエルとの間合いを一気に詰めた。攻撃が届く距離になり、ジェネックスは体を捻った。そこで炎の噴出を強め、炎を纏った回転蹴りをセディエルに食らわせた。辛うじて拳を目の前で交差するように具現化し直撃を免れたがその威力に吹き飛ばされ、後に激しい炎がセディエルを包んだ。
「次!」
左右に回避したため、助けに行けなかったタリエットにジェネックスは向きを変えた。
「お前、よくもセディエル君を!許さないぞ!」
「知らねぇよ」
同じく間合いを詰め、炎を纏った拳を繰り出した。狙うはもちろん顔面である。
攻撃が当たるそれよりも速く、タリエットがジェネックスに掌を突き出した。それと同時に青白い膜のようなものがタリエットの周囲に現れた。そして、その膜がジェネックスの攻撃を防いだ。続けて攻撃を放つもタリエットには至らなかった。
一度距離を取り、弾むように一歩踏み出し、両の踵、両の肘から炎を噴出し体を高速で回転させた。その回転による遠心力と炎の推進力により加速した拳をタリエット目掛けて振り下ろした。
だが、それすらも通じなかった。
タリエットは大技を放ち、隙が生まれたジェネックスに拳を向けた。その直後、その動きに合わせるように青白い拳が現れ、ジェネックスを殴り付けた。
その威力は先程ジェネックスがセディエルに放ったものと同等かそれ以上だった。
すぐに立ち上がり口に溜まった血を吐き捨てた。
「あの野郎っ…!」
ジェネックスは握り締めた拳に炎を集め、火球を生み出した。そして、さらにそれに炎を重ね全力で放り投げた。
しかし、その火球はタリエットが放つ二つの青白い光線に打ち消された。
タリエットは人差し指と中指を立て、それをジェネックスに向けていた。
「…んなんだよ!その能力!!」
防御に優れ、近距離では高い威力を誇り、遠距離による攻撃も防がれた。攻守ともに完璧であり、一切の隙が無い。
「これか?これはな」
能力、グーとやったら超気持ち良い。頭がパーでジャンケンポン。
「だ!」
「…バカにしてんのか?」
後ろから迫る巨大な拳を体に纏う炎の出力を上げて逸らした。
「邪魔すんじゃねぇ!」
巨大な火球をぶん投げ、セディエルがいるであろう場所を広範囲で火の海にした。
「もう一回!」
ジェネックスはタリエットとの距離を詰め、目の前で頭を思い切り下げ、その回転により踵落としを繰り出した。タリエットは同じく、掌を前に突き出し攻撃を防いだ。
「パーバリア!」
タリエットの周囲に現れた青白いものの正体はエネルギーであった。高密度のエネルギー体がいわばバリアとなってタリエットを守っているのだ。
ジェネックスも掌をタリエットに向け、そこへ炎を集中させた。そして、そのバリアに向け渾身の殴打を放った。バリアにヒビが入り、間髪入れずに二撃目の体勢に入った。だが、バリアが消え、タリエットが拳を突き出した 。
「グーハンマー!!」
衝撃を持つエネルギー体が拳の形となり、タリエットの動きに合わせジェネックスを迎撃した。炎の噴出で直撃を避けながら距離を離すが、タリエットの放つ光線がジェネックスを貫いた。
「チョキビーム!」
二本の指先に集束したエネルギーが弾丸のように一瞬で放たれているのだが、青白い光の軌跡がまるでビームのように見ることから本人はそう呼んでいる。
タリエットの能力は簡単に言うと、エネルギー体による遠近の攻撃強化と防御特化である。本人は扱いやすいようにジャンケンで使い分けていた。
ジェネックスはタリエットの能力を大体把握した。攻守を切り替える際の隙がほとんどないこと。近距離攻撃、遠距離攻撃、防御のどれもが格段に優れていること。
「めんどくせぇ…。口悪女!」
「……」
「無視してんじゃねぇ!俺を盾にする時触れたんだろ!?だったら、もっと俺を強くしろ!!」
「どうなっても知らんからね」
能力、ラクト・リエット。
Oブースト。
ジェネックスの周囲を渦巻く炎がより一層激しくなった。




