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B MAIN  作者: 半半人
三界大戦 前編
129/173

発作


 強さとさ何か?その答えは分からないままでいる。それに一番近いと思っていたディックはいない。

 無力のバーキンスと決別するためにアイゼンを名乗り、口調を誰よりも尊敬するレッズのものに変えた。同じ目線で物事が見えてくるのではないかと思った。だが、所詮は真似である。本物を越えることは敵わない。

 そして、約束。未だにメルトリープを守れなかったことを責めている。あの時の選択が正しかったのか、そうではないのか。今でも自問自答している。


 考え込むことが増えたアイゼンはその日が近付くにつれ夢を見るようになっていた。二つの大きな敗戦とそこで自分だけが生き残る孤独感が強烈な印象を残す。


「…また……か…」


 極めつけは能力が勝手に発動することもあった。制御できずに全身が硬化する。内臓が硬化し、その苦しさで目を覚ますこともある。肺が硬化し呼吸ができなくなることもあれば、心臓が止まり徐々に意識が無くなっていく。最後には失神し、それにより能力が解除される。その繰り返しだった。

 ディックの能力を授かってすぐにこの症状はあった。能力を制御できるようになるまでは寝ることが恐怖だった。それが今になって起こるということは、アイゼンの精神状態が不安定であることに他ならない。


 静まれ…静まれ……。


 意識を集中し、能力の制御を試みる。だが、それでも硬化は引かない。そこでアイゼンは一点硬化で腕に硬化を集めた。

 そこで苦しさは無くなった。しかし、根本的な解決にはなっていない。

 

 三界大戦の前に、無事にディック達を救出しなければならない。そして、仲間も誰一人として死なせるつもりはない。


 誰かを率いることを知ったアイゼンは自分の立場を十分に理解していた。最善の判断と指示を最速で出さなければいけないと思った。

 そこでアイゼンは気付いた。さっきから頭の中を整理しようとしているが、その内容のほとんどが“何かをしなければならない”というものだと。自分で自分に圧を掛けていると。責任を感じるのは仕方ないとしても、激しい思い込みが良いとは決して言えない。


 気分転換に夜風に当たることにした。


◇◇◇◇◇


 ホバックとアイゼンは友情で繋がっていた。


 ホバックはアイゼンの異変に気付いていた。そして、ホバック自身も同じ気持ちであることはなんとなく分かっていた。


 アイゼンは恩師を失った。それは自分の安らげる場所を失ったのと同じある。

 ディック達が封じられた後、その仲間であったホバックの家族は戦いに巻き込まれそして亡くなった。そういう点で二人は似ていた。一人になったアイゼンとホバックは一時は互いに支え合って生き抜いた。しばらくして、アイゼンは自身を高めるために人間界へと足を運びそこで新たな知識を得て戻ってくると言った。結果としてアイゼンは能力を使えるようになり、戦術や戦闘技術を身に付けた。だが、アイゼンの心は未だに囚われたままだった。


 二年後の封印が解かれ、ディック達を救い出すその時まで。そこまで支えてやるのが友達として、仲間としての役目だとホバックは考えた。


 戦闘向きの能力ではないが、これからの戦いに命をかける覚悟であった。そして、それはアイゼンが連れてきた他の仲間にもいえる。仲の悪い奴もいるがいざというときは体を張ってでも守るつもりだった。


 何故か思い出す子供の頃のバーキンスを今のアイゼンと照らし合わせていた。そこで一つだけ疑うことがあった。アイゼンはこの戦いが終わったら死ぬつもりではないかと。

 アイゼンが絶望の中で生きることを諦めなかったのはディック達がいたからである。そして今はそのディック達を助けるために活動している。その目的を達成したら罪滅ぼしとして自ら命を断つのではないかと。確かめようがないし、言ったところで本当のことは答えないだろう。ならば、分からなくていい。どうせあいつはそんな奴なんだと割り切った。



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