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B MAIN  作者: 半半人
三界大戦 前編
126/173

約束の四年


 ゼムレヴィンへ向かう道中。


「バーキンス…いや、アイゼン。お前が過去を話すなんて珍しいな」

「あまり覚えていないがそうらしい」

「そうか。それと、お前に一つ聞きたいことがある」

「何だ?」

「お前が硬化ではない、電撃の能力を使ったと噂されている。しかも、それはジョインさんのものと全く同じだとか」

「…何が言いたい?」

「殺して能力を奪ったのか?」

「違う」

「…もう一つ。お前は、硬化と電撃以外に能力を隠していることはないか?」

「ない。二つだけだ」

「それは…」

「本当だ。何を疑っている?」

「…いいや、何でもない」


 ホバックはそれ以上聞けなかった。それと、「仲間の能力も同じように使えればどうだろう」と提案しようとしたが止めた。


◇◇◇◇◇


 ゼムレヴィンに戻ったアイゼンはすぐに階申との会議を求めた。


「まずは、ゼムレヴィンを救ってもらったことに感謝します。ほら、皆も頭を下げてください」


 レナードに言われたせいか他の三人は嫌そうに頭を下げた。


「付き添いの方も席へどうぞ」

「遠慮しておく」


 正体を隠したホバックはアイゼンの後ろに立っていた。もし、敵対した場合に備えてのことである。


「以前、五国同盟から人間界統一まで四年掛かると言ったのを覚えているか?」

「はい。あれから一年三ヶ月が経ちました。おかげさまで今では六国同盟になり、対立は無くなりました」

「これからそのことについて話す。よく聞いてほしい」


 最初の一年は説得に費やした。何度か争ったが互いに譲り合って今では六国同盟に落ち着いた。そして、それからの二年は侵略を目論む天使と悪魔を共通の敵として認識し団結するだろう。この二年は以前話した保証される二年であり、この間には内部崩壊はありえない。


「その言い方だと四年目から内部崩壊すると?」

「その通りだ。正しくは意図的な内部崩壊だ」


 人間界が団結したということは全ての国が共通の情報を得たということになる。つまり、天使と悪魔は情報を得やすくなったと考えられる。今までは六つの国が別々に活動していたが同盟により一つにまとまった。それにより、一つの国にいた密偵が六つの国全ての情報を得られる機会を作ってしまったとも言える。


「どこかのスパイも抱え込んでしまった、というわけですね。それは覚悟しています」

「そこが狙いだ。レナード。エスティアーナの敗因は何か?」

「!!」


 私たちは人間に扮した敵がいると考える。つまりは、仲間が敵だと思い込んでしまう。だが、それは違う。ここであり得るのが、透明になれる能力を持つ者がいる。これである。それにより情報は筒抜けになり、こちらは疑心暗鬼に陥る。誰かが敵ではなく、見えない敵がいるというのが正解だ。


「お前は仲間を信じろ。一時的な味方ではなく」

「難しいですが、検討してみます」

「それともう一つ。四年目には天元界、魔人界、人間界の大戦があるからだ。さっき言った内部崩壊で弱った人間界を落とすのは簡単だからな」

「また天魔大戦が起こるということですか?」

「天魔大戦は天元界と魔人界の戦争だ。そこに人間界の少しが関わり被害を被った。だが、それとは比べ物にならない規模の大戦が起こる。それこそ、三界の全面戦争だ」


 戦争という言葉に全階申が反応し、空気が張り詰めた。


「ゼンさんの情報の出所や正確さを聞きたいところでしたが、そうなるのでしたらこちらも全力を尽くします。ヘイヴェンスの言葉を借りると、国のため、いや、人間を守ることが階申の務めですから。という訳で、シナ!ヘイヴェンス!ケイニー!これからはもっと働いてもらいます」

「承知した!」

「はーい」

「分かったわ」

「ほら、僕が久し振りにやる気を出したから皆が真面目に動くようになったんですよ」

「お前に向いてるのは戦略と経済だからな」

「良い考えがあるので人間界の心配はしないでください。それよりも、ゼンさんにはやることがあるではないですか?」

「あぁ」

「何のことかは分かりませんが」


 後に人間界では各国の軍事力を再度見直し、新たな武装と軍を形成する。


◇◇◇◇◇


 人間界、六国。ゼムレヴィン、ハインシス、ヴェントガーデン、ロブロン・ランス、レブーフモルゲン、ジェストレイン。


「天元界はどうだ?」


 そこでホバックが説明を始めた。


 天元界、六領。グラウス領、ボルート領、ジェネックス領、ブラン領、ドーネル領、ヴリエスト領。


「ジェネックスは一度戦ったことがある」

「なら話は早い。この中で戦闘に特化しているのはグラウス領とジェネックス領とドーネル領だ。他は能力に特化している」

「他にも詳しく教えてくれ。対策を練る」

「あぁ。…今日人間界に連れていったのはあの四人を見せるためか?」

「その通りだ。一番言葉を交わした相手が天使と悪魔を憎んでいてな。私の考えを通したいが相手の気持ちも分かる。だから、強く止めろとは言えなくてな」

「それを一緒に考えてほしいと?」

「そういうことだ」

「自分優先でいいのでは?アイゼンも言ってたろ。主役は自分。それに、その時代、その世界に相応しい方が残り、敗者は消える。それに従って生きればいい」


 そこでアイゼンは思い出した。ディックの言葉を。


 

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