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B MAIN  作者: 半半人
ハインシス編
12/173

戦略的重罪

「バーキンス・アイゼン。そなた有罪とする。グレン・シギアへ連行する」


 …え?


「…ここはどこだ?」


 周りを見ると多くの人に囲まれている。どこかの大きな部屋のような…。


「ん?グレン・シギア?」


 人間界最大最凶の刑務所のことか?


「すいません。何を言ってるのかさっぱりなんだが」


 さっきからこちらを見ている中年男性にそう言うと、


「さっぱりだと!?あれだけのことしておいてよくもぬけぬけと!!」


すごい剣幕で怒られた。私が何をしたというのだ?悪いことは何も…。

 そこで昨日のことを順に思い出した。天使と悪魔からハインシスを守った。宴会があった。…酒を飲んだ……。まさか…!?


「ハインシスに大損害を与えたのは他ならぬそなただろう!!」


 大損害?大破壊ならシナのせいだが?


 ようやく意識がはっきりとしてきた。ここはゼムレヴィンの…裁判所だ!再び周囲を見ると人に紛れたシナの姿があった。何があったのかと目で合図したところ。両手を揃え、ごめんと発したような気がした。


「グレン・シギアに連行後詳しく、罪の重さがどれほどのものか調べさせてもらう!以じょ……」

「まあまあ裁判長」


 中年の裁判長の言葉を遮った声はやけに軽かった。


「大損害ではありますがハインシスを救ったことも確かです。ここは我々全階申が責任を持ち監視するというのはどうでしょうか?連行先で逃げられたなんて最悪ですしね」


 珍しく席を立ち、しっかりとしたことを言うレナードに全員が注目した。賛成や反対の声が上がり少し騒がしくなった。


 だが、私だけは分かっていた。ここに至るまでの全ての事柄がレナードに思惑通りだと。


「お前…やってくれたな…!」

「恩を仇で返すわけじゃないですが、ここは大人しく言うことを聞いてください」


 殺気を込めて睨んだが、笑顔でそれを受け流された。



 そもそも、ハインシスが戦場になるように仕向けたのはレナードだ。そこに私が行くと決まった時、シナにある程度の説明をし、本人にも気付かれないように矢に細工をした。そして、酒に強力な睡眠薬を入れ無理矢理裁判に持ち込む。シナには勝利の女神役を、私には破壊の原因である悪役として仕立てあげたのだ。国規模の破壊の元凶として重罪を言い渡される私にはその場を打開する術は無い。

 だが、権力と実力を持つゼムレヴィン国務階申。その中でも一番の発言力を持つレナードが監視下に置くと言えば、政治的力で私を制御することができる。犯罪者になるか、ゼムレヴィンに飼われるかという強引な二択になるように完璧に誘導されたのだ。


「中途半端に拘束するということがどれだけ愚かな行為か分かっていませんよね?」

「第一階申様、今は発言の時ではありませんが?」

「裁くことは簡単にできます。ならば、生かして利用した後に殺すということでもいいのではないでしょうか?」


 どちらも最悪だが、


「…裁判長。あなたの言う通り、私がハインシスを破壊しました」


レナードの思い通りになるのだけは御免だ。


「邪魔なものは消すだけです。天使、悪魔、もちろん人間も当てはまります。今!この場で!証明して見せましょうか!?」


 なってやるよ。お前の用意した悪役に!!


 ディック・アイアンを発動し、拘束具を破壊した。天使系統の魔法を目の辺りにし、全員が声を挙げた。


「何をしている!!こいつを早くグレン・シギアに連行しろ!!」


 熱くなった裁判長がレナードの言葉を無視し、近くで待機しているグレン・シギアの役人に指示を出した。

 裁判所から引きずり出される前にレナードをじっと見た。この借りは必ず返す、という思いは伝わったはずなのに。それでも、あいつは笑っていた。


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