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B MAIN  作者: 半半人
幼き日の憧憬
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氷磁と雷

 木陰に隠れていたジョインは地上で交戦している敵二人、アグナとトゥティスを睨んだ。ジョインは能力の知らないの二人の初撃を食らってしまったのだった。


「ボソボソ……」

「隠れても無駄だって言ってんだろがい!!って言ってんぞ!出てこいや!!」


 単純にやりにくい…。レッズの言う通り相性も最悪だ。ここはカフィーアの元に戻った方がよさそうだな。


 ジョインは忍び足で移動した。


「…そこかい!!」


 能力、バリデビ!!


 アグナの能力は体を磁石に変化させる。能力を発動し、音がした方向に掌を向けた。


「集まって!!」


 カッ飛べや!!


 地表の砂鉄を磁力で一点に集め、鉄球と化した砂鉄を反発力で高速で放った。


「まだまだ!!」


 放った鉄球内部でさらに反発を起こし、散弾の様に広範囲を攻撃した。


「ボソ…」

「あぁん?ウチに任せろって、か!?なら、やってみいや!」


 能力、アイス・ワールド。


 トゥティスは少しの時間を掛け全範囲を氷漬けにした。


「うおっ!やんじゃねぇか!」

「ボソボソ…」

「照れてんのか!もっと胸張れや!」


「危ねぇ…。二人とも遠距離とかマジ最悪だ」


 ジョインは左肩を鉄球で貫かれ、左半身に軽度の凍傷を負ってしまった。


「サンキュー、レッズ。助かったぜ」


 先程の攻撃はレッズの指示で範囲外に逃れることができた。


 一回逃げようか。多分倒すのは無理だし、ディックの所に戻った方が良い。カフィーアを助けないといけないしな。


 ジョインは空を見た。敵は四人。あそこに加われば自分の身は守れるかもしれない。しかし、他の仲間には危険が及ぶ。そこでジョインは足を止めた。逃げるのは簡単だ。だから、


「それは最後だ。やるだけやってみるか」


 そうだ。一人でも手一杯なのに、そこに俺ちゃんが敵を引き連れて行ってどうする。逆に考えてみろ。二人の敵がこっちに集中してる。だったらそのまま引き付けておくか、倒せばいい。いや、倒すのは無理だな。片方倒してももう片方いるし、上に逃げられると面倒臭ぇ。レッズに作戦を考えて欲しいけど今はできねぇ。


「…頭悪りぃけど、一個だけあんだよなぁ」


 カッコ悪りぃし、絶対痛いし。いや、仲間のために頑張ってんなら何もカッコ悪いことなんてない。でも、そう考えるとディックが羨ましいな。


 ジョインは左腕と左足をポンポンと叩いた。少し痛みはあるが動作に支障がないことを確認した。


 よし、やるか!



「黙っちまったか?それとも逃げたか?」

「ボソ…」

「あ?面白ぇこと言うじゃねぇか!ははっ!笑えんぜ!」

「ボソボソ…」

「ただよこれだと地面まで凍っちまって鉄が集めにきぃんだわ!何とかなんねぇかな!?」

「ボソ…」

「とりあえず、ブッ飛ばした鉄を戻して!あぶり出すか!」


 アグナは放った鉄球の磁力を頼りに自分の元へ引き寄せた。そして、一つの塊にし手のひらで弄んだ。


「さて、どうすっか…っ!?」

「!」


 突然アグナの手に電撃が走った。


「ってぇな!」


「癖なんだよ。触れた物に能力使うの」


 ジョインの肩を貫いた鉄球は、反射的に発動した能力により電撃を有していた。またアグナの元へ戻るとは知らなかったが、手に持っているようなので放電させた。怒るアグナの次の攻撃を恐れ、ジョインは場所を移した。


「ボソ…」

「しっ!聞こえんか?」


 アグナは氷が砕ける音を拾った。等間隔で少しずつ動いている。それが足踏みによるものだとすぐに気付いた。

 すかさずトゥティスは能力を発動し、その移動先に氷の壁を産み出した。そして、氷の壁もろともアグナの散弾が貫いた。


「馬鹿が!狙い撃ちだっての!」

「…」


 氷の壁が崩れ、後ろの様子が見えるようになったがそこには何も無かった。ただ、足跡のように砕けた氷の跡があるだけだった。


「今ので完全に見失っちまったな」


 ジョインは混乱している二人を背後から見ていた。それもそのはず、ジョインは逃げる際に踏んだ地面にも能力を発動して電撃を残していた。それを一つずつ発動することでわざと音を立てた。本人は頭が悪いと思っているが、騙す、罠にはめるといったことには長けていた。


 こっからは我慢だ!


 逃げる際に触れていた木々から何度も放電を行った。それによりアグナとトゥティスの意識は前に集中し、背後の警戒が疎かになった。そして、その隙に接近した。氷を踏み締める音も放電の音で掻き消される。そう思った。しかし、なんとなく振り向いたトゥティスに気付かれた。距離にして数メートル。能力が発動する前に触れられる。ジョインは手を伸ばした。


「遅ぇんだよ!!」


 能力、バリデビ!!


 遅れて気付いたアグナは砂鉄を棘状に伸ばし、ジョインを貫いた。その速度は一瞬でありながらも正確だった。


 能力、アイス・ワールド。


 アグナが稼いだ数秒がトゥティスを救った。ジョインはあと少しの距離で全身が氷に包まれ、完全に静止した。


「ボソボソボソ…」

「ふぅ。危ねぇ危ねぇ!流石にお前もビビったろ?」

「ボソ…」


 トゥティスは頷いた。完全に意表を突かれたがアグナの反応速度に助けられた。そして、能力発動が間に合った。一人だったら負けていた。


 バチッ!!


 安堵した二人の目前で聞き覚えのある音が。放電の衝撃で体を覆う氷が砕け、ジョインはもう一歩前に踏み出し、トゥティスに触れた。


「砂鉄に触れてるお前も、な!!」


 能力、時限雷電!


 ジョインは二人に能力発動した。二人が反撃を試みるがそれよりも速く放電を行った。


「ボ…ソ……」

「…んだよ……一番の雑魚じゃ…ねぇの…かよ……」

「酷ぇ言われようだなぁ」


 ディックたちと比べると一番弱いことは自覚していた。だが、それでもいいと。そんな自分でもできることがあると教えてくれたのは仲間だった。


 痛ぇし、冷てぇし、痺れたけど…十分…頑張った…よな……?


 ジョインは痛みと安堵で気を失った。


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