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B MAIN  作者: 半半人
幼き日の憧憬
115/173

能力、パーラー・エンディエンド


 今回の戦いは防衛戦だ。拠点であり、司令塔である私が負けることだけは避けなければならない。相手は二つの軍で挟撃するつもりだと考えれば…答えは一つ。


「簡潔に言う。時間を稼げれば勝ち。できなければ負けだ」


 第一に拠点は捨てる。そもそも我々は少数の機動力を生かした戦闘に特化している。守る戦いには向いていない。

 そこで拠点を囮にし、二軍が集まった所を横から奇襲する。前半はそれで混乱し、カフィーアの能力で無力化できる。問題は後続だ。敵の数をある程度減らし、さらに一点に集めることができればジョインの能力で合図を送る。その合図で各地の仲間が我々の元に急行する。挟み込もうとする二軍を、全方位から奇襲し素早く片を付ける。これしかない。

 そうなると敵を一点に集める囮と時間稼ぎの二役を我々で担わなければならない。援軍は呼べない。異変に気付いた相手が何をするか予想できなくなってしまうからだ。ここにいる五人で全てに対処することが絶対条件となる。


「おそらく戦闘員の流れから、ここが戦場になるのは十日後だ。それまでに各々で備えてほしい」

「任せとけ!」

「十日か。ちょっと、俺ちゃん実家に帰るわ。妹に遺言でも…」

「笑えない冗談ね」

「鼻でもいいから笑ってくれよ」

「リースはどうすんだ?まさか、これから修行とか言わないよな?」

「んなわけねぇだろ。一週間は寝るから起こすんじゃねぇぞ」

「寝溜め?」


 監視されているかもしれないため変な行動はするな、とレッズ付け加えた。


 ディックたちを消そうと手を組んだのは当時、天元界、魔人界の領地を統べる六人の領主であった。この時天元界は五つ、魔人界は三つの領地があった。そのうち天元界からは四つ、魔人界は二つの領主が休戦し一丸となった。部下の数は約八万。それに比べてディックたちは六千であった。戦力差で見ると圧倒的であることに間違いはない。情報が少ないことも相まって勝率は低い。


 それをプレッシャーに感じてほしくないと思いレッズは気を使った。そして、一度拠点にいる者を遠ざけた。


 ディックはいつも通り単独行動で適当な敵を倒している。カフィーアはそれに付いていき、ジョインは実家に帰った。ここに残るは眠りに入ったリースだけ。


 だからこそ気付けた。


「隠れているのは分かっている。姿を現せ」


 レッズは何も無い一点を凝視した。


「見えているぞ」


 すると、そこに一人の天使が現れた。


「…いつから分かってやした?」

「つい最近な。能力をあまり使っていればこんなことにはならなかっただろう」

「いまさら遅いでやすぜ。昨日までの話は全部伝えやしたから」

「あぁ。それでいい。一つ聞きたいが、お前は情報を集めるように言われただけだろ?他には何も聞かされていないな?」

「それはどうだか」

「捕らえることには変わり無いが」


 能力、パーフェクト・ステルス。


 偵察に来た天使、ブラドは周囲の景色と同化した。否、全身が透明になった。


 さぁて、ここからどう逃げるか。おたくは見えるてるようでやすが、


 ブラドが魔力を更に解放すると周囲のものが徐々に色を失っていった。木々や地面も消えて無くなるが、触ることはできた。


「透明になる、かつ、透明にする能力か」


 能力、パーラー・エンディエンド。


 レッズは消えた木々を避け、何の問題もなくブラドを捕まえた。


「相性が悪かったな」

「おたく!魔力を見てんじゃねぇのかよ!」


 なるほど。ほとんど魔力の無い木々などの障害物を察知できないと考えたのだろう。


「一つ教えてやろう。魔力を見る、感じることのできる天使は極めて少ない。おまけに、魂を見る、感じることのできる悪魔も同様に少ない。覚えておけ」


 何らかの理由で情報が洩れていることは想定内だ。それに知られているものは敵の狙いとその大きさに気付いたということだけだ。作戦の本質はまだ伝わっていない。

 

「ま、待ってくれ!」

「お前は捨て駒だ。ここでどうなろうと大した問題ではない」

「おたくの言う通りだけど、仲間が何をしようとしているかは知ってる!だから、殺さないでくれよ!」

「ほう。では、聞かせてもらおうか」

「その前に、あっしを殺さないって約束できるか?証拠が無きゃ話せないね」

「それはお前が話した後に分かることだ。私にも良心はある。情報によっては見逃してやろう」

「…」

「…」 


 ブラドはレッズの目を数秒見た。そして、口を閉じることを諦めた。そして、作戦の内容を全て吐いた。それは予想しているものとほとんど同じであった。だが、一つだけ違うことがあった。


「嘘は無いな?」

「ほ、ホントだって!」

「…」

「…っ」

「どうやら、本当らしいな」

「はぁ」


 前線に領主六人がいるということだった。予想では後続に領主が配置し、前線で消耗した我々を倒しに来ると思っていた。


「他には知らないのか?」

「何んにも知らねぇよ」

「…嘘を吐け。何か隠していることは分かっている」

「うぅ。分かったよ。もう一人やべぇ奴がいて、そいつはおたくらじゃない奴を狙ってるって。後は何んにも知らねぇからな。ホントだかんな!」

「あぁ、そのようだな」


 誰を狙っている?そいつを人質にするつもりか…っ!!


 バーキンスか?



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