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B MAIN  作者: 半半人
幼き日の憧憬
114/173

不穏


「お前が逃げ場を用意するとは珍しいな」


 二人になったレッズがディックの真意を探ろうとした。


「万が一ってやつだよ。実家の番犬にもこの辺見るように言ってから大丈夫だろ」

「リガードゥルムか。あいつの探知能力なら問題ないな。だが、それでもお前は万が一を考えたということは何かあるんだろう?」

「…まぁな。なんつぅか、嫌な感じがするんだよ。強い殺気が少しだけ漏れてるような、とにかくオレらが狙いってのは分かってる」

「私たちが?今、戦っているのは各地の仲間たちだ。私たちが狙われるなんてことはあり得ない」

「勘違いならいいんだけど」


 ディックの直感は外れない。表現できない違和感に無意識に気付いているからだろう。だが、無意識故に具体的ではない。参考にしようと思ったが、結局は警戒を強めることしかできそうにないな。


 レッズは遠方のリガードゥルムと言葉を交わし、いざというときは最大強度で能力を発動して欲しいと頼んだ。


◇◇◇◇◇


 多方向に指示を出すレッズの異変に各地で戦うバーキンスが気付いた。


 戦い方がらしくない。焦ってるみたいだ。


 現地での戦いはいつも通りであった。互いに押し合い、数を減らし合う。少ししたら敵は引き、こちらも引く。その繰り返しだった。


 先生は言っていた。「必ず戦いには意味がある。無意味に見える戦闘も必ずその先で影響してくる」と。なら、これまでの戦いに何の意味があった?何も無さそうに見えた。


 そう思わされていたとしたら。


「ホバック!!」

「な、何!?」

「ここを任せる!大丈夫、お前は強い。能力もなかなか様になってるぜ!」

「って、おい!!」


 バーキンスは護衛の悪魔に担がれ、ディックたちの元へ急いだ。そこでこれまでの戦闘を見直す必要がある。そう思った。


「先生!地図は…!」

「あるぞ。どうした?」


 バーキンスは戻るとすぐに懐にしまっていた手帳を取り出した。


「今までの戦いの違和感が分かった気がしたんで戻ってきた」

「…詳しく聞かせろ」


 バーキンスは鉛筆を片手に地図と手帳を交互に見て、日付と印を書き込んだ。


「あれ?バーキンス、ビルトンのとこにいたんじゃねぇのか?」

「急いで戻って来たみたい」

「え、何?何?」


 そこへ全員が集まりレッズとバーキンスの考察が始まった。


「これで全部、っと」

「これまでの戦闘地だな。これがどうした?」

「こうして見るとバラバラでランダムに見える。けど、戦った後に敵が逃げる方向に矢印を引くと…」


 全てに線を引くと、規則性の無い点に共通することを発見できた。


「南西と東の方向に集中してる」


 矢印を延長すると南西と東の一点に交差した。それぞれ近い方に逃げるという指示があったのかもしれない。


「更にこの点を繋げて円を描くと…」


 その中心に今現在ディックたちが使用している拠点が当てはまった。


「わざと日にちをずらして俺らに分からないようにしてたんだ。俺は前線で戦ってたから気付けたけど、遠くで指示を出す先生には全く分からないように仕掛けた罠かもしれない」


 レッズは地図とバーキンスの言葉を照らし合わせ、深く思考した。


 おそらくバーキンスに間違いはない。これが罠でなくとも、敵の戦術であることは確かだ。そして、ディックの勘。次に狙われるのはここであることは明白だ。


 レッズはことの深刻さにすぐに気付いた。ここから南西、東の二ヶ所は天使と悪魔領の丁度境界となっていた。そこへ敗走する天使と悪魔が集まるということは、


「連合軍だ。それも、領主と多数の天使と悪魔を同時に相手にしなければならない…!」


 各地での戦闘はこちらの位置を確かめつつ、天使領と悪魔領の人員交換による連携行動を円滑化することを考慮されていたのだ。天使は遠距離に弱く、悪魔は近距離に弱い。その欠点を互いに補えば即席とはいえ、相当に手強いものとなる。だが、これは綿密かつ大胆な戦略だ。即席であるはずがない。強大で広域な力を持つ何人かが手を組んだとしか考えられない。時間と手間を掛け、私たちを確実に殺すつもりだ。


「バーキンス。お前は持ち場に戻れ。その際、合図があればそこへ集まれと味方全員に伝えておけ」

「え、でも…」

「分かったな?」

「…」


 レッズの真剣な眼差しにバーキンスは言葉が出なかった。それほどに深刻な事態であることを察した。


「何かあれば必ずお前を呼ぶ。それまでは今まで通りにしていろ。このことはメルトリープには言うな」

「分かった」


 バーキンスは言われた通り、すぐに行動した。何がどういう状況なのかは分からない。だが、レッズがそう言うのならそれに従うだけだ。そう思った。


「今回は遊びじゃないぞ。よく聞いて、よく考えて、死なないよう全力を出せ」

「そんなにヤバイのか?」

「過去最強の群れと対峙するだろう。数も質もこちらより上だ」

「うへぇ…」

「そうなるとカフィーア。お前の力が最重要だ。役割を決める。カフィーアは空中で待機。敵半数以上を無力化することに能力を集中してほしい」

「お安いご用で」

「リースとディックはカフィーアを死守。その際、領主との戦闘は確実だ。絶対に勝て」

「任せとけ!」

「勝つに決まってんだろ」

「ジョインは…」

「俺ちゃんは?」

「お前は…敵に突っ込んで内側で派手に暴れてくれ」

「適当っ!?」


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