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B MAIN  作者: 半半人
幼き日の憧憬
113/173

意味は「集う場所」


 時が経ち、バーキンスは十二歳になった。レッズの知識とリースの戦闘技術を身に付け、各地の味方の援護に駆り出されていた。


「ここの指揮は俺に任せろ!戦闘のみに集中してほしい!」


 バーキンスはレッズとは違う視点で戦場を見ることができる素質があった。レッズはあくまで客観的に、自軍の全戦闘力を把握したうえで最善の配置、最善の攻守を素早く展開することができる。そして、相手の戦力を考慮したうえでの策をいくつも用意し、それに当てはまる戦い方をする。バーキンスはその場、その場での最善策を導き出すことに長けていた。

 簡単に言うと、多くの策を予め用意するか、その場で切り抜けるかの違いであった。


「バーキンス!敵がそっちに向かったぞ!!」

「大丈夫!返り討ちにしてやる」


 体内の魔力量も上がり、身体能力も天使と悪魔に近いものへと向上していた。


 身構えたバーキンスは敵の襲撃に備えた。


「…上か!」


 少し反応が遅れたけどまだ間に合う。最小の回避と最短の攻撃で…。


 能力、クリティカル・アウト。


「全然駄目ね。私が助けなかったら死んでたよ」

「誰か死ぬか。俺は余裕だけど」


 嘲笑うかのような表情でメルトリープがバーキンスの隣に舞い降りた。


 メルをこっちに向かわせたのはディックか?別にいらないのに。


「助かった。けど、俺は本当に大丈夫だったから」

「へぇ。それじゃあ、これからの指揮官様の働きを見せてもらおうかなぁ」

「いちいちむかつくなぁ!」


 勝負後、二人は互いの実力を認め合った。が、どうも上手い距離感が掴めずにいた。大事な仲間ではあるが素直になるにはもう少し時間を要するだろう。


 二人の活躍で争いを鎮静化し、次の戦場へと向かう。この繰り返しだった。戦場で場数を踏む毎にレッズとリースの一番弟子の人間という名が広まっていた。


「弟子?勝手にしとけ」

「弟子と名乗るからには私の品格に傷を付けるな」


 リースは乗り気ではなかった。レッズはまさに先生の心情であった。


「何でオレの名前が出ねぇのかな。オレもバーキンスの兄貴分で強いのに」

「ディック以外に自分は強いと言ってほしくないのだけど。撤回してジョイン」

「何マジにしてんの。冗談だよカフィーア」


 何故か二人も嬉しそうであった。


「まっ、それもこれもオレが凄いからな。バーキンスが噂になるほどの男にしたのは何を隠そうオレだからな」


 一番嬉しそうなのはディックであった。人間でありながら、家族を失いながら、様々なハンディを背負いながらも活躍するバーキンスから良い刺激を貰った。


「んじゃ、オレらも負けてらんねぇな。次いくぞ!」


 少数の機動力を生かし、ディック達も更に成果を上げた。


 だが、リースだけは違和感を覚えた。いざという時のために隠している集団にも奇襲があったという。内部告発によるものか、はたまた敵に相当の策士がいるか。おそらく後者だと思ったリースは黙ってその答えを探ろうとした。


 そして、その予防策としてバーキンスに頼らなければいけない時が来た。


◇◇◇◇


 今だ各地での戦闘は落ち着かずにいた。だが、戦闘中であるバーキンスをディックに呼び出された。地名の無い、未開の地でたった一人で待っていた。

 そこは清々しい晴天と背の低い草が生い茂る広大な草原以外何も無かった。


「良い場所だろ?戦いが無ければオレは畑仕事でもしながらのんびり暮らしたかったんだ」

「ここは?」

「地図にも無い、名前も無い場所だ。近くに人間がいたけど、それはそれでかなり遠くだ。山二つは越える」

「で、俺に何の用?大事なんじゃねぇの?」

「そうそう。もし、全部が終わったらさここで皆と暮らしたいなぁって思ってよ」

「全部終わる日が来るのかなぁ…」

「オレは死なないから良いんだけどさ。あ、あと噂になってるようだけど、ただのバーキンスじゃ締まんねぇよな。そこでオレがカッコいい名前を考えた。使っていいぞ」

「いらないよ。俺はただのバーキンスだ」

「そんなこと言うなって。フルネームで言うと、バーキンス・アイゼンだ。文字数、言いやすさ、両方良い感じだろ?」

「アイゼン…ってどういう意味だよ?適当じゃないよね?」

「さぁな。ガキんちょにはまだ早かったか?」

「ガキじゃない!」


 ディックは小馬鹿にするものの、バーキンスを一人の男として対等に見ていた。リースやレッズの様に指導してやることはできないが、ただ前に立ってその背中を見せてやろうとずっと思ってきた。

 

「あいつらもそのうち来るだろうし、早めにやろうか」


 なっ、アイゼン。


 分厚い掌で頭をぐしゃぐしゃされたが、悪い気はしなかった。


 その後、レッズ達も合流し四階建ての建物が完成した。


「もしオレ達がバラバラになってもここに集まろう。秘密基地的な感じでテンション上がんだろ?」

「隠れ家は多い方が良い。それには賛成だ」

「ディックがそう言うならそれが正解。でしょ?」

「こういうの嫌いじゃないぜ」

「雨風がしのげれば何でもいい」

「この土地には名前が無いというのなら私たちが名付けるとしよう。そうだな…戦場で散り散りになった仲間を集める物語にちなんで」


 ヴィスティンハイム、でどうだろう?


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