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B MAIN  作者: 半半人
幼き日の憧憬
101/173

原点


 目を覚ますと火の番をするディックと目が合った。日が差し込み、ここがどこかの森の中にいるということは分かった。それと同時に自分がいた場所はもう無いことを自覚した。


「何涙目になってんだよ?今頃になって悲しくなってきたか?」

「な、泣いてねぇよ…!」

「まぁ、それが普通だよ。オレだったらその辺の物に当たり散らして泣き叫ぶんじゃねぇかな…」

「お前らがいなければよかったんだ!」

「…朝から元気な奴だなぁ。昨日言ったろ?オレ達は違う。お前のとこを襲った奴等はそういうんだったってことだ」

「何が違うんだよ!」

「全部だ、全部。あいつらみたいに悪い奴もいるし、オレみたいなカッコ良くて良い奴もいる。分かるか?特にカッコ良さが違う。覚えとけガキんちょ」

「うるせぇ!そういうお前だって他の奴にやられるんだ!昨日のも運が良かっただけだろ!」

「運が良かったのはお前の方だろ」

「こんの…!」

「…煩いぞ」

「お、起きたか」

「私は能力を使って疲れているんだ。もっと休ませてくれ」

「お前もだガキんちょ。しばらくは食って寝てるだけしてろ」

「…!」

「分かったか?」

「ちっ!」

「お前がしっかり躾しろ。私は知らん」

「だから、そんなこと言うなって。おい、お前は寝んな!」

「……」

「フリ止めろ!」


 こいつら一緒にいるなんて嫌だ。でも、俺はこれからどうすればいいんだ。何にも無くなった俺は何もできないのか…。


「バーキンス。とりあえずお前の傷が治るまで面倒みてやっから、そっから先はお前が決めろ。何だったら近くの人間がいる国まで送ってやるよ」

「…考えとく」

「そうしろそうしろ」


 こいつは何を考えてるのかさっぱりだ。逃げることも考えておかないと。


◇◇◇◇◇


 オレは強い奴が好きだ。力だけじゃねぇ。頭が切れる、技術がある、そういった強さもありだと思ってる。だからな、何も知らねぇ分からねぇガキの相手をするのは苦痛で仕方ねぇ。


「…あのガキはどうした?」

「置いてきた。レッズもいるから大丈夫だろ。で、どういう状況だ?」

「いつもと同じだ。人間がかなり殺されてる」

「敵さんの数が多いなぁ。でも、悪魔だけみたいだし余裕そうだ」


 ディックは腕を二、三回回転させた。リースは背伸びをしてから首を鳴らした。


「これから戦うお前に言うのもなんだけどさ、これを見ても何とも思わない?」

「…卑怯だぜ」

「だったらオレに付き合ってくれよ。弱い者苛めは絶対に許せないんだろ?オレもそうだ。気分とかで人を傷付ける奴は」


 何があっても倒す。


「反対方向に仲間もいるし多分大丈夫」

「いつも通り暴れるさ。ただな、ディック。あんまりガキに感情移入して、お前自身が変わるなんてことは絶対にすんなよ」

「分かってる」

「話は終わりだ。行くぜ!」


 ディックとリースは翼を広げ、戦場に繰り出した。


◇◇◇◇◇


「ふあぁ……少し寝過ぎたか…」


 太陽が真上にある頃レッズは目覚めた。


 ディックとリースは合流し終えているだろう。戦いへの心配は無いが、人間達から攻撃されているかもしれない。あいつらは馬鹿だからな。やっぱり私も行くべきか…。


 その時、レッズはバーキンスを見た。


 ディックは教育するように言ったが、この子供がそれに値する人物なのかは私が決める。成長が見込めるうえに、それに見合った利益が期待できるか。あと一番に気になるのが気分だ。こいつが腹の立つ知能の低い小僧であれば見捨てる。そうなると目上の者に対する身の振る舞いから教えるべきか。って、まだそうと決まったわけではないのに何を考えているんだ。この件は時間を掛けて慎重に検討することとしよう。


 だが、よく考えてみろ。私達は主に弱い者である人間を助けることが多い。その時に注意を呼び掛けても異種である我々に耳を傾けないことが多々ある。ならば、その役割を同じ人間であるバーキンスに任せるのはどうだろうか?連携が取れずに苦戦した経験もある。それを無くせるならばすぐにでも利用して、あいつらの危険を減らしてやることができるな…。


 一人の工作員として成長し活躍してもらうことを主とし、ついでにバーキンスの育成に繋がればベストか。年齢的にも知識を効率良く、かつ、体に叩き込むことができる。


 最悪、壊れてしまっても構わない。


 そうなるとやはり、リースの力も借りなければならないな。後は、本人の意思とそれを手助けする分かりやすいゴールが必要だ。誰かに会うことでも、復讐でもいい。絶対に諦めないと誓えれば何でもいい。


 寝ているバーキンスに、


「覚悟しておけ」


 レッズはそう言った。


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