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特別ということがあります。
概ね、良い意味に使われることが多いこの言葉、しかし使い様によっては人を異分子扱いする事態をも招きかねません。
妬みであったり、蔑視であったり。
マイナスの感情がそこに作用すれば、「特別」は巨大なモンスターとなり、使われる当人に襲いかかります。
中学、高校の一時期、私は不登校をしていました。
高校の時は、学校にいることが苦痛になったら早退することを許可してもらっていました。
そんなある日、担任の先生から言われました。
「自分を特別だと思っているの?」
衝撃でした。
私は確かに自分を「特別」だと感じていました。
けれどそれは決して優越感に類する感情ではなく、むしろ自分を恥じるような感情からくる「特別」でした。
勉強はできても、周囲に溶け込めない劣等生。
社会における異端。
強く引け目に思っていたのです。
そしてそれ以来、その先生を信頼することができなくなりました。
今ならまあ、先生のお気持ちも解ります。
職員室での立場等もあったでしょう。
しかし思春期の私に、そこまで慮る余裕はなく、ただ、先生の狭い見解に落胆するに終わりました。
特別は人に幸も不幸も呼ぶ言葉です。