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58:準備へ

 色々あって色々あった結果、日にちは変わって日曜日。僕は昼間の午後二時に起床した。

 朝に弱いという訳ではない。

 実際には二日前の金曜日に、だが十ヶ月以上も前に(投稿時間的に)宣告されたような気もする繋さんからのお達し。

 土日が僕の最後の休日と言われた。あれはつまり、時計の針が十二時を指して月曜日になったとき、そこからあの人から僕への攻撃が開始されるということなんだろう。

 だからこそ月曜日以降を余裕をもって迎えるために、ここでしっかり睡眠をとったのだ。前日は夜の九時にはベッドに潜ったから、半日以上は寝てたことになるね。


 まあとにかく今から僕がやろうと思っていることを一つ。

 明日に向けて、骨董品屋を町に構える凛子さんの元に向かい、アドバイスをもらおうという旨である──あわよくば繋さんからの襲撃から守ってもらおうという魂胆だ。

 あの人のお陰で李星人とのいざこざもうまい具合に収束したし、多分かなりすごい人間のはず。だから凛子さんの手を借りればきっといい結末が待っていると思う。


 そんなこんなで骨董品屋の前までやって来ました。


 なんて言えば協力してもらえるだろうか?

 僕はそれだけを考えながら、期待と緊張に震えつつ店の扉を開いた。


「あっ」


 店内に居たのは凛子さんだけじゃない。

 レジのカウンターに肘をついて凛子さんと談笑している謎の男。あれは……ハーフのいけすかねぇ金髪イケメンのアレク・エドワードじゃないか。真の姿は、頭部が巨大なすももの李星人──その王子! アレクサンゲリアン!



「やあ、サクラバくん!」

「アレク!? なんでお前が凛子さんのところに?」

「それはだな、彼女は僕の顔をすももから人に変えてくれた恩人でね。たまにお礼の品を持っていってあげているんだよ」


 アレクはカウンターに置かれていた小袋をつまんで見せる。


「それ……何が入ってるの? 掌サイズもないけど──」

「──李星人の細菌だよ」


 と、凛子さんが言う。


「細菌!?」

「うん、李星人は触れるだけでウイルスに感染しちゃうときがあるからね。それ故に積極的に李星人と関わろうとする人はいなくて、研究用のサンプルも入手しづらくて不足がちだから、アレク君に頼んでみたんだ」

「ギブアンドテイクってやつですな。これがボクとリンコの絆とも言える」

「アレク君……ある種の絆とは言えなくはないが、君の求めている絆とは少し違うかもしれない──と、私は思うよ」


 そうゆうもんかね──と言いたげなこちらに顔を向けるアレク。


「そうゆうもんだよアレク。まあ絆なんてのは曖昧なものだからさ、知らないうちに出来上がってるんだ。だからそう焦らなくてもいいんだよ」

「そーだよアレク君、物々交換で生まれた絆なんて取るに足らないものだからね」

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