表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/73

46:カフェの中に!

 指定された場所はまめかふぇと呼ばれる喫茶店。

 洋風と和風の入り交じった和洋折衷案だ。

 ぶっちゃけると、入り交じったというか入り雑じった感じで、折衷案どころか和と洋が大喧嘩している。互いに尊重しあい互いの良さを等しく輝かせる妥協点を探るのではなく、互いが自身の良さという武器で激突しあい飲み込みあい侵食しあい、五分五分の闘いを繰り広げることでバランスを保っている感じだ。

 これがもし絵になるとするならば。

 漫画に、アニメに、映画に、なるとするならば、恐らくは表現しきれないのでまず映像化計画がおじゃんになる。

 喫茶店の内装のせいで大事な計画が破綻すれば、内争だって起きかねない。


 ともかく、そんな喫茶店の扉に取り付けられた鈴をカランカラン鳴らさせながら、僕は藍河先輩誘拐犯との対面を果たそうとしているのであった。


 まめかふぇに一足踏み入れた僕を迎えてくれたのは、マスターの白崎黒乃さんだった。


「やあやあ桜庭君、こんにちは。私の焼くパンケーキが食べたくなったのかい?」

「こんにちは白崎さん。夕方なのでどちらかというとこんばんはですかね。ちなみにパンケーキは注文しません」

「じゃあいつものカプチーノ?」

「今日お金を持ってきてないんですよね。だから何もいらないというか」

「何しに来たんだ君」

「友達と待ち合わせです、多分もう来ていると思うんですけど」


 僕が辺りを見回そうとすると、白崎さんは「あー……」と唸ってからこう言った。


「もしかしてあの人?」


 白崎さんが目線で示した所に居たのは、大学生くらいのちょっと大人びた感じの優男だった。

 可も不可もない服装に、可か不可と言われれば可に一辺倒な顔。

 僕の予想通りだ。


「あの人も友達と待ち合わせだって言ってたけど」

「そうそう、そうですよ。ありがとうございます」


 僕はそう言って彼の座る席へと足を運び、そして向かいの席に腰かける。

 コーヒーを啜る優男がカップを口許から離した。


「元気そうだね、桜庭くん」

(つなぎ)さんも元気そうで何よりです」

「フフ、確かに僕は毎日元気だけれども」


 そうやって。

 繋さんは。

 藍河繋さんは。

 藍河先輩の兄は。


 (わら)った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ