43:お食事はどうでしょう?
★★★
「というわけで、生徒会の仕事の一つとして部活を頑張った人達のためにお菓子を作ったするというのはどうでしょう?」
僕はまばらな位置に佇む三人に案を述べた。
「私はいいと思うな」
「私もそれでいいわよ」
「ちなみに何を作る気なんだ? 桜庭君」
「とりあえずクッキーを焼いて、一袋五百円で売ります」
「金取るんかい!! しかも高くないか!?」
「良心的な価格だと思いますよ?」
「どこがだ!」
でも実際安いもんだろう。可愛くて美しく、憧れの存在とも言えるこの三人の美少女(一人は明らかに二十歳を過ぎているので少女ではないが)の手作りクッキーをたったの五百円、ワンコインで食べられるんだから。例え味がどうなっていようと。
「中々楽観的な発案ね。食べ物を提供するというのは私が言い出したことだから否定はできないけれど、さすがにクッキー一袋だけで五百円というのは高校生にとって痛いと思うのよ、だからきっと誰も買わないわ。買ったとしてもほんのごく小数でしょうね、だって最寄りのコンビニで購入した方が明らかにお得なんだもの」
「理世さん、別に僕は楽観視なんてしてませんよ。ちゃんと売れる確信はあります、大成功間違いなしのウルトラCな経営戦略ですよ」
「ふぅん……」
「何故ならうちの生徒会の御三方のネームバリューは凄まじいですからね。校内で男子生徒からかなりの人気を誇ってますよ! 生徒会の麗しき三聖女達の手作りクッキーなんて爆売れにきまってるじゃないですか! 僕なら買いますよ!」
「……まぁ、確信って断言してしまっていいのかは分からないし、知名度ストップ高だからといって売れるかなんてそれはまた別物だと思うけれど、いいとは思うわ。私だって人気あるって言われて嫌な気持ちにはならない」
「おおっ!」
やはり僕の考えは正解だった!
僕って中々優秀な経営者になれるかもしれない!
「けれど、生徒会は商売をするための組織じゃないのよ?」
「あらら」
よくよく考えたら確かにそうだよね。
「て言うか一旦生徒会とはなんたるものなのかをしっかり学んだ方がいいかもな」
やれやれという風な藍河先輩。
「ですねー、この学校の生徒会が今まで何をしてきたのかもまともに知りませんしね」
すると陽菜ちゃんが唖然とした表情で、
「ちーくん」
と僕の名を呼んだ。
「何? どうしたの?」
「ちーくんは去年、一年生の時も生徒会に居たんだよね?」
「うん、多分」
「多分?」
「ぶっちゃけ居たのか居なかったのか自分でも分からないくらいに働くことがなかったんだよね」
入学式と卒業式、てきとーな行事くらいの時しかうちの生徒会は活動していないと思う。
それに入学式と卒業式なんて生徒会以外の人も当然のように働くから、尚更生徒会の存在意義が……。
「ダメだこりゃ」
陽菜ちゃんは手を顔に当て愕然としていた。
どうやらガッカリさせてしまったようだった。
ふむ、今年からガンバルしかあるまい!




