41:レッツシンキングタイム! その2
次の案?
ねーよそんなの。
「先輩は面白い仕事とか思い付きますか?」
「思い付かんな。当然だが、そもそも仕事って面白いもんじゃないしな」
そりゃそうだ、これは反論なんてしようもない汎論。
デスクワークにだってフィールドワークにだって働くという事全般に言えることなのだ、『仕事は面白いもんじゃない』。
「僕が間違ってたんですかね」
「……桜庭君」
「漫画のような夢のある生徒会にしたかった。みんなで楽しく仕事をしたかった。ただ辛い仕事はしたくなかっただけなのに! ただ面白おかしく働きたかっただけなのに! それは無理らしいですね……この概念はもう覆せやしないんだから、『仕事は面白くない』。…………結局こんなことになってしまった」
「どんなことになったんだよ。あと昼ドラサスペンスのクライマックスで断崖絶壁から海を見ながら穏やかな表情で胸の内をさらけ出して自供しだす犯人みたいな雰囲気出すのはやめろ」
「突っ込みが長いやいっ!」
「私もそれは思った。『昼ドラの犯人みたいな顔すんな』でよかったな」
「それ僕が犯人みたいに悪そうな顔してるって言ってるんですか?!」
「そうとも言う」
「えっ!?」
僕はそんなに悪人面じゃない!
神木○○介みたいな中々イケてるな面してるんだぞ!
「ぶっちゃけ桜庭君の顔はノーマルすぎて笑っちゃうレベル」
「崖際に追い込まれた犯人は滝から発されるマイナスイオンのせいで自供を始めるらしいです」
「話を変えて現実逃避するのはやめるんだ!」
「て言うかなんなんですか!? ぶっちゃけぇ、顔ノーマル過ぎてえ〜まじウケるぅぅぅとか言っちゃって!! 僕はショックです!」
「そんなギャルっぽく言ってないから!」
「藍河先輩がそんなヒトだったなんて失望ですね!」
「嬉しそうにしやがって!」
僕がそう言うと藍河先輩はあたふたと焦って目を泳がせた。
どうしようどうしようと悩んでいる先輩は意を決したようで、スッと近付いてきて僕をその胸に抱き寄せた。
「あ、藍河先輩!?」
Eカップのおっぱいだーー!!!
柔らかいぞー柔らかいぞー! 気持ちいいぞぉぉぉ!
うわぁいい匂いがしてきたぁ……このままスンスン空気を吸い込みながら眠ってしまいたいくらいだよ!
「ふっ、幸せそうじゃないか桜庭君。安心しろ、君がいかにノーマルで、イケメンよりもブサイクよりも特徴がなくて可哀想な男でも、顔面を硫酸で溶かされても」
シチュエーション怖っ。
「私は君のことを変わらずに愛しているから」
でもこんなことしてるとさすがに陽菜ちゃんが──、
「あたたたた!」
「ぐあっ!」
「わぁっ! 陽菜ちゃんが藍河先輩の後頭部に猛ラッシュをぶちこんだ!」
予想通りだった。
僕はこのテンプレ展開に思わず実況を入れてしまう。
「こらぁ! 黙って聞いてたら……私のちーくんとイチャイチャするなぁ!」
「当たり前のように人の後頭部をトンカチでぶっ叩くとは、私じゃなかったら死んでたぞ!」
パンチじゃなくてトンカチだったのかよ!
ちょっと真面目に注意したくなるわ!
「私はアンタの頑丈さを信じてるから。多分この世界の……誰よりも」
「夕崎……」
「今まで主人公と死闘を繰り広げてきたライバルが、ラスボスと戦っているときに急にやって来て、主人公を鼓舞して共闘を始めちゃうみたいな熱い展開の時の雰囲気出すのやめよう!」
「桜庭君ー……突っ込みが長い長い」
あんたとアンタ……どっちだっけ……。




