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僕らの非日常ハーレム生徒会!!  作者: 猿野リョウ
史上で地上で最も最高級ブランドと謳われた日常編
39/73

39:生徒会って何やってんの?

 五月二十六日。月曜日。

 五月最後の一週間。



 李星人について一つ。

 アレクサンゲリアン……人としての名前はアレク・エドワーズである彼なのだが、どうやら生徒会のメンバーになりたいということで色々と策を講じているらしい。

 だけども、さすがにずっと同じ空間に居れば李星人であることが生徒会メンバーに露見してしまう可能性もなくはないわけで、僕はどうやってアレクを追っ払おうか迷っている。

 まあ、きっとそんなことはどうとでもなるだろう。





 午後五時。

 生徒会一同のやっていることはてんでバラバラのようで統一感に溢れていた。

 理世さんは何を思ったか食器をいつの間にか置かれていた棚に黙々と詰め込み、陽菜ちゃんは生徒会室に冷蔵庫を設置しようとして四苦八苦し、藍河先輩は熟練の職人のような顔付きで太陽光発電で起動するIHコンロを作製していた。


「まじで何してんだあんた達は」


 と言いたいところだったけど、そんなこと言えないくらいにみんな真剣に作業をしていた。

 しばらくして藍河先輩が端に積まれた椅子の山から一個引っこ抜いてこちらへ歩いてくる。

 ちなみに僕の居るところはこの教室の隅っこだ。椅子にちんまりと座らせてもらってる。


「あの藍河先輩」

「なんだ? 桜庭君」

「生徒会室で御食事処でも開くつもりなんですか?」

「そんなつもりは全然」

「て言うか長机はどこに──」


 今まで生徒会室の六割、七割を占めていたと言っても過言ではない大量の長机。

 時には勉強に、時には荷物置きに、時にはベッドに、様々な用途で活躍し愛されてきた若干邪魔な長机。

 それが今日の放課後いつも通りこの教室へやって来たら長机の数がたった一つになっていて、しかも教室の隅に追いやられていたので、完全に荷物を置くことしか能がないただの机に変わってしまっていたのだ。


 長い机とは言っても所詮は机。たった一つでは数人分のバッグだけでスペースを無くしてしまう。

 今では四人分の通学バッグによってお湯を入れたポットと湯呑みしか置けないのだ!



「──長机? ああ、あんなにあっても無駄だし、廃棄処分するのももったいないからデンジャラススクラップイーター君に喰わせた」

「なんじゃそれ!? 喰わせたってなんなの?!」

「理世が今日持ってきてくれたんだ。燃えるゴミも燃えないゴミもまとめて喰って新しい何かを産み出してくれる便利な犬型ロボットだ」

「多分それ排泄物!」

「汚いぞ」

「すいませんッ!」


 でも間違いなく犬のふんにきまってる!


「ところでどうしてこんな家庭的な台所を作ろうとしているんです?」

「うん、よくぞ聞いてくれた。実はだな生徒会のこれからを考えてだな──」

「──これからを考えた結果、争いの中での食糧難を乗り越えるためにクッキングスペースを作ることになったって一体どういうことなんですかぁ!!」

「まだ何も言ってないからな? ちなみに生徒会は全然食糧難なんかじゃないむしろ過剰供給され過ぎて無償で提供したくなるほどだ。後、人の話はちゃんと聞くことだ、じゃないとハゲるぞ」

「僕ハゲちゃうの!?」


 育毛剤どこおおお!!!


「よく聞け、これからを考えた結果、生徒会室でも食事ができるようにしなければならないと気が付いたのだ!」

「は、はぁ……なんでです?」

「いいか、ここ最近は何かと私達の命にとって不都合な体験ばかりしてる。魔法使ったり超能力使ったりするやつらに追われたり、あわや奇形の異星人に造り変えられそうになったりな!」

「それがどうして台所造りに発展したんですか?」

「食糧だ」


 食糧? 食糧難?


「もしもこの先あのようなことに巻き込まれるとしたら、私達は色々と策を練ったりもしなければならないだろう。そしてそうなれば!」


 藍河先輩は語気を強め、握った拳を胸にあて、どこの軍隊だよと言いたくなるような仕草をした後、答えを出した。


「お腹が減ることもあるだろうぉ!!」


 そりゃ人間ですものね、お腹も減ります。


「腹が減っては戦はできぬと言うしな。て言うかぶっちゃけ生徒会なんて特に仕事はないし、てきとうに理由つけて何か活動したいだけだよ。とりあえずはこの生徒会室を快適なレストルーム。いや、まるで我が家のように改造し、幸福に包まれた夢の放課後を過ごしたいだけなのだ!」


 なるほど。分かりました。

 欲望ですね。欲にまみれた醜い願望ですね。


「特に仕事はないって言いますけど、考えたら何かあるんじゃないんですか? 少しくらいは」

「いやわざわざ仕事を探してまでやらないよ。漫画に出てくるような真面目生徒会長ではないんだぞ私は」

「でも僕は漫画のような生徒会に憧れて生徒会に入ったんですよぉー! 何か漫画みたいな面白い仕事しましょうよぉ! ね?」

「うーん、通う学校の一部屋にキッチン建ててる時点でかなりアニメチックだと思うんだけれどなー」


 まあ、いいかぁ──と、藍河先輩は面倒臭そうに小首を傾げ言う。


「何か生徒会の仕事というものを考えてみよう!」

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