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僕らの非日常ハーレム生徒会!!  作者: 猿野リョウ
史上で地上で最も最高級ブランドと謳われた日常編
37/73

37:誰だお前!?

 午後四時半。

 生徒会室には誰も居なかった。


「あれ、まさか朝のことがショックで帰っちゃった? でもそうだったとしたら理世さんが居ないのはおかしい。何かの用事で遅れてるのかなぁ」


 僕はいつものようにバッグからゲーム機、3GSを取りだして電源を入れた。

 ピロリロリンと間抜けな効果音でゲームが始まる。

 今はまっているソフトはモンスターハント4G。

 生徒会メンバーの皆でモンスターを狩りに行くのがここ最近のトレンドだ。


「とりあえず一人でなんか倒しにいこう。一狩り行こう」


 と言ってから、しばらく武具の加工をしたりアイテム買ったりアイテムを調合したりして、チラチラとドアの方を見たけど、一向に誰も来る気配がないので本当に一人でモンスターを狩りに行くことにした。

 悲しい。



 二十分くらいして、黒い竜を倒した。



「うわっ鱗ばっかいらないし! 甲殻くれよ甲殻! 今回の報酬鱗祭りじゃん」


 つらっ……。

 誰も来ないからって独り言で気を紛らわせるとかもう嫌だ。


 そう思ってるとガラッと戸を開ける音が響く。

 待ち人来たり!

 僕はパッと顔を上げ、戸まで駆ける。

 だがそこに居たのは藍河先輩でなければ陽菜ちゃんでもなく、当然理世さんでもなく、なんか日本とイタリアのハーフみたいな金髪のイケメンが居た。



「やあ、サクラバくん」

「…………」

「…………」


 沈黙。

 誰だお前。

 僕はお前が誰か知らない。

 うちの高校の制服を着ているからうちの生徒ではあるはず。

 あっ、そうか、多分生徒会に用があってここに来たんだろう。けど、その際生徒会のメンバーの名前を知らずに「えーと、そこの名も知らぬよく分からん男に用があるんだけど」なんて言えるわけないから、しっかりと生徒会について下調べをしたんだろうな。

 ふむ、そんな努力に生徒会として応えてやらねばいけないな。



「──あの、何か生徒会に用が?」

「まあ、生徒会に用があるということにはなるのか? とにかくそれは後でいい、実は見ての通り今日からボクもこの学校に通うことになったんだ、よろしく」

「えっ、ああ、うん」


 手を出し、握手を要求してきたので思わずそれに反応してしまう。

 握手したのはいいけど、初対面なんだからまるで前に会ったことのある友人みたいに話すのはやめてほしい。


「えーっと、それで用は?」

「ん? 特にないよ?」


 金髪のイケメンは生徒会室に置いてある椅子をてきとうに引っこ抜き、ドスンと腰を下ろした。

 そして何も喋らなくなった。

 ずっとこっちを見ている。


「用……ないんだ……ふぅん……」


 僕もさっきまで座っていた椅子に座り、ゲームを再開する。

 ゲーム機から発される音だけが虚しくこの教室を駆け巡る。

 風で窓がカタカタと揺れる。

 あのイケメンがニコニコしながらこっちを見てくる。


「それってなんなの?」


 と、聞いてきた。


「ゲ、ゲームだけど」

「なんてやつ?」

「モンスターハント」

「へえ、面白そうだ、ボクも買ってみるとするか」

「…………」

「…………」



 こうして十分前後ときたま話したり、沈黙状態になったりを繰り返した。



 僕はなけなしの勇気を振り絞り一世一代の一言を(ひね)り出す。



「あのちょっといい?」

「うん? 何?」

「……君、誰?」

「…………」

「…………」

「えっ、ちょっと待って本気で言ってるの? ボクだよボク! アレクサンゲリアン十三世だっての!」


 は?

 アレクサンゲリアン?


「アレクサンゲリアン十三世って……? あの李星人の?」

「そうだ、思い出したか!」

「ふん!」

「ぐぉえっ! なんで殴った?! ちょいまって殴ろうとするのやめて! あああああああ、おかしくないこれえええ?! 理不尽んんんんんんんんんんん!!!」


 なんで李星人が?

 なんで人間の姿で?

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