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僕らの非日常ハーレム生徒会!!  作者: 猿野リョウ
非日常編『もももも』
27/73

27:奴等のアジト

      ∮∮∮



 生徒会室に戻ろうとする僕達は道中で藍河先輩に遭遇することはなく、それは藍河先輩が李星人を殲滅して生徒会室に戻ったのか、もしくは李星人にやられて捕まってしまったのか、その二つのどちらかであることが確定したということだ。

 藍河先輩はああいう状況で敵前逃亡するような性格ではないので、奴等から逃げたということはないだろう。


 あの二つの可能性の前者であってほしいと祈るばかりだが。


 結局、生徒会室には人一人居やしなかった。

 藍河先輩は戻ってきてなくて、陽菜ちゃんも李星人だって影も形も見えない。



「時間がないのに……」


 僕は思わず歯軋(はぎし)りする。

 これからどうすればいいのか。思考する前に携帯の着信音が鳴り、場に合わぬ明るい音色を奏でられ──僕はすぐに携帯を取り出す、ダイヤルしてきたのは凛子さんだ。


「……もしもし、凛子さんですか!? 陽菜ちゃんが居なかったんです! この薬が効くのっていつまでなんですか!? 教えてください!」

『なんだなんだ、ガトリングのように畳み掛けてこないでくれ。まあ、そんなことだろうと思って、李星人のアジト……隠れ家を探しといてやったよ』

「本当ですか!?」

『恐らく李星人のおうちに連れ込まれてるんだろうね。隠れ家に行けばきっと会えるはずさ』

「早く教えてください、凛子さん!」

『おーけーおーけー、了解了解。そんじゃま、通話モードをスピーカーに変えてくれないかな? リリスに替わってもらうだけでもいいけど』


 凛子さんが理世さんに何を話すのか知りたかったので、僕は画面をタッチしてスピーカーホンに変えた。


「理世さん」

「私?」

「凛子さんが話があるみたいで」


 携帯を生徒会室内の机の上に置いた。


『スピーカーにしたかい? それとも替わってくれたかい? あーあー、リリス聞こえるー?』

「ええ、よぉく聞こえるわよ」

『そっか話ってわけじゃないけど、F-204を出してくれない? ホログラフィー機能を使いたいんだけど』

「あー、分かったわ」


 理世さんは制服のポケットの中をゴソゴソと探った後、会議用の長机にぽいっと何かを四つ放り投げた。

 立方体のサイコロ? なんなんだろうか。

 四つのサイコロは若干ずれた正方形の頂点となり、その瞬間頂点同士が緑色の光の線によって紡がれ、本当の四角形が出来上がった。


「これは……一体?」

「組織の開発した技術の結晶ってやつよぉ」


 ニヤニヤと口の端を吊り上げて笑う理世さん。


『今からそこらの地域のマップデータを転送するよ、奴等のアジトの位置情報もね』


 間もなくして四角の領域内に立体の3Dホログラムがヴォン、とそれらしい効果音を鳴らして出現した。


『転送完了っと』

「すごいですね、これ鉄道模型みたいです」

『鉄道はないけれどねぇ』


 模型以上のリアリティだ。まるで今空から撮っている街並みを映しているかのように。


「ねぇ凛子、この赤い点が李星人の今のアジトの位置なの?」

『より正確に言うならアジトの入口』

「ということは……この建物の地下にあるってことになるわねぇ」


 赤い点は大きな建物の少し下で光っている。


「一体どこの地下なのかしら」

「凛子さんはどこか分かりますか?」

『うん、多分驚くと思うなー』


 へへへ、と笑う凛子さん。驚くことに期待してそうな声色だった。


「?」

『まあ、よく見てみなよ。君なら分かるよ桜庭ジュニア』

「……んー」


 ホログラムでできた街並みに映る一つの建物を凝視する。目を凝らしに凝らす。

 分かると言われても、僕は空から街を見たことないから分かるはずがないと思うんだけどなぁ。


「あっ」


 と、僕は口をぱっくりと開けてしまい。


「学校じゃん!」


 建物を私立平凡高校と仮定した場合、生徒会室と定義されるであろう場所の窓ガラスが割れていた。しかも全く同じ位置のガラスが。



 て言うかそんなこと関係なく見覚えのある校門や校門から続く学校の形状、僕らの通う高校だと言う証拠はいくらでもあった。



『それじゃね、お二人さん。潜入任務頑張ってくれ』


 ブツっと通話が切れた音がした。

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