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僕らの非日常ハーレム生徒会!!  作者: 猿野リョウ
非日常編『もももも』
21/73

21:桜庭君の一日終了の知らせと非日常の始まり

      ∴∴∴



 あの桜庭君の一日がただの日常のままで終わるはずがない。



      ∴∴∴

      ∮∮∮



「…………」

「…………」

「…………」


 沈黙が心に突き刺さって痛い。

 僕達それぞれ離れた場所に座ってはいるけど、やはりさっきのアダルト直行便のシーンを見られたのはやばかったのだ。

 藍河先輩も陽菜ちゃんも頬杖ついてむすっとしていて機嫌が悪そう。


「なんであんなことしてたんですかぁ……? ところ構わず発情するような変態とは思いませんでしたぁ」


 陽菜ちゃんがグダァって感じで長テーブルに伏せ、やる気無さそうに口を開いた。僕に言ったのか藍河先輩に言ったのか、陽菜ちゃんの視線は上の空で分からない。


「ふん、青春の一ページを書き記そうとしただけだ。私と桜庭君の青き春を邪魔しやがるなどなんたる悪!」

「じゃ、邪魔って……、そもそも藍河先輩が悪いよ! だって生徒会室であんなことやってたらそのうち私が来るってことくらいわかるはずだもん! 私だって生徒会のメンバーなんだから」

「むっ…………」


 ほぼ反射的に反論をぶつけようとした藍河先輩だが、確かにその通りだと思ったのか口ごもってしまった様子だ。



「……抜け駆けはダメ、これ大事」

「抜け駆けも糞もあるまい。そもそも桜庭君の将来の伴侶とは私であり、生涯の伴侶も私なのだからな」

「は?」

「あ?」


 ガン飛ばし合ってる二人は置いといて……もう家に帰ってゆっくりしよう。


 僕がこっそりと帰ろうとしたら、


「あら、さくらん。居たのね」


 扉を開けた先に理世さんが居た。


「帰ろうとしたら駄目よぉ、早く座って座って」

「えー、ちょっと理世さーん……」

「大事な話があるのよ」


 と言われて、一触即発の二人がいる生徒会室へと押し戻される僕。


「そこの睨み合ってるお二人さん、話があるから一旦喧嘩は中断して」


 理世さんはドサッと椅子に腰かける。


「話ってなんだ? まさか生徒会に入るだなんて言うんじゃないだろうな」

「そんなまさかのまさか、あるわけないわよぉ。だって私は既に生徒会のメンバーだもの」

「はぁ? それこそまさかのまさかだろう。生徒指導部の教師と生徒会長である私の両名の許可がなければ、うちの高校の生徒会に籍をいれることはできないはずなんだぞ? 私はそんなこと初耳だから許可なんて出した覚えがない」

「はい、これ」

「な、何! 一体どうやって……」


 理世さんが僕らの前につき出したのは、大量な文面の上に大きく許可証と書かれたB4用紙であった。僕が生徒会に入ったときに貰ったものと変わりない。

 理世さんは一体どんな方法を使ってこの生徒会に?


「色仕掛けよ」

「犯罪じゃねーか!」

「いたっ」


 ビシッ! と、藍河先輩は理世さんの頭を叩いてツッコミを行った。


「生徒に色仕掛けされて何やってるんだあの生徒指導部は! 逆にエロい意味で生徒に指導されてるではないか!」

「そこまでディープなところまでは踏み込んでないわよ」

「お前の言うことは女から見ても魅惑的なボディのせいで全部エロく聞こえるんだよ!」

「同意」

「同意」


 陽菜ちゃんが同意の声を上げる、もちろん僕も。


「どうだ、二人もこう言ってる……って、桜庭君。君はもしかすると今までエロい目で須川理世を見ていたのか」

「…………え、なんだって?」


 ここでエロい目で見てるなんて言うのはナンセンスだ。

 藍河先輩からどんなアクションが飛び出てくるか分からないからね。


「いやらしく見てたのか」

「…………え、なんだっ──あ、すいませんごめんなさい、ちょっと調子こいてました、襟つかむのやめうぐっ」

「まあいい。後で問いただそう」


 そんな僕達を見て理世さんが、


「ていうかこんなことをやっている暇はないのよぉ? 私の言ってる話っていうのは生徒会のことじゃないから」

「げほっ、げほっ。……それじゃあ、なんなんですか?」


 理世さんに聞いてみる。


「実は銀河連邦の方から藍ちゃんを狙っている宇宙人がいるとの連絡を受けてね」

「ん、藍ちゃん? 私のことか?」

「藍河先輩のことっぽいですね」

「だから今日から私が警護しようと思っ──」


 ガシャァァーン!

 と、急に窓のガラスが盛大に割れた音がした。


「急になんでしょうか藍河先輩」

「さあな、全く私の生徒会室のガラスを割るとはどういう了見なのか」

「多分野球部だよ、ホームランだよ!」

「大事な話をしていると言うのにねぇ……」


 各々が違った反応をしてそちらの方向を見ると、


「も、もも、もももも、も、ももも、もも」


「桃だ」

「桃だな」

「桃だね」

「桃ねぇ」


 ん、おかしくない?


「「「桃だーーーーーー!!!」」」


 僕と藍河先輩と陽菜ちゃんで驚きの声を上げる。


「ももも、ももももも、もも、ももも」


 そこには、スーツ姿の桃の化身みたいな何かがいた。

 頭部が、川からドンブラコドンブラコと流れてきて中から桃○郎が出てきそうな大きな桃だった。

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