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僕らの非日常ハーレム生徒会!!  作者: 猿野リョウ
非日常編『宇宙人襲来』
14/73

14:三つ巴の戦闘(開戦)

 この反応は……二人はどこかで出会ったことがあるのかな?


「この厄介者め! よくもあんなものをちーくんに持たせてくれたわね!」

「あらぁ……別に持たせたつもりはないのよぉ? いつの間にかぶんどられてたのよ」

「最悪じゃない! 管理くらいしっかりしてよ!」


 やはり知り合いのような感じである。


「私だってあなたに、彼等の正体を見抜くぐらいのことしっかりしてほしかったわよぉ」

「むぐぐ……」

「いくら愛してる男とは言え、あなたが身元をちゃんと調査していたらこんなことにはならなかったかも」

「う、うるさい!」


 あ、愛してる男って……そんなこと言われると困るなぁ……、いや恥ずかしいとかそう言うことじゃなくて…………隣の藍河先輩の殺気が。


「御託はもういいわリリス! 始めましょう戦いを! 邪魔者のあなたをぶっ倒して、封印の書を手に入れて、組織をナンバーワンにするんだから!」

「最初に御託を並べたのはあなたなんだけどねぇ? 後、あなた達の機関がナンバーワンになるのは無理よ」

「なんですって!」

「何故なら私達『宇宙機関銀河連邦(うちゅうきかんぎんがれんぽう)』は、言うまでもなく最強だからよ」

「……っ!」

「現にあなた達『秘密機関魔法連邦(ひみつきかんまほうれんぽう)』は私達銀河連邦を押し退け、トップの座に立ったことなんて一度もないわ」

「む、む、む、むむむむむむ、むかつくうううううう! 絶対アンタをぶちのめしてやるんだから!」

「かもんかもん〜、かかってきなさい陽菜ちゃん。あやしてあげるから」

「減らず口も今だけよ!」


 と、魔法と超能力がぶつかり合う戦闘が始まる。

 凶悪な炎撃や雷撃と、サイコキネシスで操られているらしい鉄塊や自動車(なんだか入口から大量になだれ込んできている)が激突して消滅した。

 こ、これは互角の勝負なのか!?


「にしても藍河先輩」

「なんだ桜庭君」

「宇宙機関だとか秘密機関だとか封印の書だとかワケわかんないこといってましたけれど。僕ついてけませんよこんなの……」

「私もだよ……とは言え、こんな激しい戦いだ。ここに留まり続けるのは危険すぎる、いつ巻き添えを食らうか分からんからな」


 ということはやっぱり、


「逃げるんですね?」

「いや、戦う」

「はい?」

「戦うしかない」

「何を言ってるんですか先輩! あんな超人対決の渦に僕達みたいな常人が突っ込むのは自殺行為ですよ!?」


 いや僕達は、ではなく、僕はか……。

 藍河先輩は紛れもなく完璧な超人だ。僕とは違って僕にない全てを持っている。


 それでも……それは人間の話だ。


 魔法やら超能力やらを使う人達を、普通の人間の中での超人と同じにはできない。


「いくら藍河先輩がすごくても……無理です。僕は藍河先輩をあそこに放り込むことはできない」

「……ありがとう、桜庭君。それだけ私を愛してくれてるんだな」

「そうは言ってない」

「だがな……私はあそこに突っ込もうとは思ってない! あの戦闘の渦中に飛び込むのは──君だ! 桜庭君、君だ!」

「うっそおおおおおおおん!」


 と、思わず叫んでしまったが、あっちは戦闘に集中している上に魔法と超能力の激突による轟音のお陰で聞こえていなかったようだ。


「そ、そんなぁ……僕こんなところで死ぬんですかぁ……」


 まだやりたいこといっぱいあるのに……。

 普通に普通なりの平凡で楽しい学園生活を送りたかった……。

 某海賊王の漫画を超える漫画を書く漫画家になりたかった……。

 彼女つくって手を繋いでデートして、夜景の綺麗な場所でプロポーズしてみたかった……。


「落ち着け君は死なない」


 藍河先輩……無理ですよそんなの……。


「だって、そんなの丸裸の無防備な状態で戦場に(おもむ)くのと同義です! まさに飛んで火に入る夏の虫ですよ!」

「いーや、それは違うぞ、桜庭君」

「え?」

「君にはたった一つ武器がある」

「それって……まさか」


 あの二人が狙ってる……あの……、


「そうだ、封印の書だ」


 藍河先輩はそのまま続ける。


「奴等二人は私が思うにけっこう単純な性格をしている。餌をちらつかせればノータイムで飛び付いてくるようなな」

「封印の書を使って囮になれと言うことですか?」

「大丈夫だ。封印の書はとても重要な物らしいし、そいつを盾にすればあいつらも簡単には仕掛けられまい」


 それにだな──と藍河先輩は言う。


「私は、君を……大好きな人を傷つけさせはしない」


 何があっても必ず守ってやる──藍河先輩にそう言われた僕はなんとも言えない気持ちになる。そりゃあ、女の子にそんな台詞(せりふ)をぶつけられるなんて思いやしなかったから。


 そいつは僕の台詞(せりふ)だぜ、藍河先輩。


「やるぞ。作戦は君が気を引いてるうちに私が二人を仕留める。それだけだ」


 僕は頷き、静かに立ち上がった。

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