11:逃げ!逃げ!逃げ!
「陽菜ちゃん! まずは僕の言うことを──」
──聞いてくれ! と続けたかったが、言い切る前に陽菜ちゃんが攻撃を仕掛けてくる。
さっきの紫お姉さんよりよっぽど現実感を感じさせない、まるで魔法のような──いや、魔法少女なのだからそうなのだろうけれど、にわかに信じがたい攻撃だった。
て言うか、魔法少女なら制服じゃなくてそれなりの衣装に着替えたりはしないのだろうかと思うけれど、今はそれどころじゃない。
ゴウ! と何かが一気に燃焼するような音と共に、陽菜ちゃんの手のひらにサッカーボールほどの大きさの炎球が生まれ、それをこちらへと投げつけてきた。
「ちょっ、陽菜ちゃん!!」
「くそっ! 避けろ、桜庭君!」
僕達はバッ、と横っ飛び。
僕はお腹から衣服を傷付けながら着地し、藍河先輩はクルリと空中で一回転して綺麗に着地。ハリウッド映画に出てくるエージェントなのかと思うレベルである。
炎球は出力を調整していたのか、後ろの骨董品屋に直撃する前に消滅した様子。
「立て、早く逃げるぞ」
「でも事情を説明しないと!」
「今のあいつにあれこれ説明しても、まともな反応が返ってくるとは思えん! どういうことなのかは分からんが、多分あいつも封印の書を追ってるんだ。そして不幸にも、君が敵だと認識してしまってパニックというかショックというかそれに近い状態なんだろうよ。残念ながら百パーセント濡れ衣の勘違いだがな」
バチバチバチ! と、今度は雷の球体を生み出そうとする陽菜ちゃん。
「もう攻撃の準備ができたようだ。さっさと行くぞ、死にたくなければな」
「……分かりました」
「とにかくここと同じで人気の少なくて、そして周りに建物が少ないところ、そんな場所へ行くぞ!」
藍河先輩は僕の腕を掴み、強引に立たせる。
僕達は全力で走りだし、陽菜ちゃんから距離を取ろうとする。
「うう……なんでちーくんが……ううう……」
うわ言のように聞こえた。既に陽菜ちゃんに背を向けているため表情は見えない。中々まいっているように思える。
「あそこの電柱! すぐそばを曲がるぞ!」
と、言って狭い細道に入り込む藍河先輩、続いて僕が細道に入った瞬間。
バチバチ、バキャン! と雷が何か当たって砕けるような音がした。
電柱が砕けたんだろうけれど、確認してる暇はない。後ろを見ている余裕があるのなら少しでも早く前へ進むのだ、逃げるのだ。
短くてすみません!
ただし誓います!
なるべくできるだけ毎日更新したいと!




